口腔の体操をしてお食事を楽しめる高齢者になろう!

お口のトラブル 2019.08.27

どの年代においても、口腔機能は生活をするうえでとても大切です。

いったん口腔機能が低下してしまうと、噛む力や飲み込む力も低下してしまいます。

その結果、誤嚥性肺炎など命に直結する病気に陥る可能性もあります。

一方で、訓練すれば口腔機能を維持したり、改善したりすることができます。

今回は口腔機能を鍛える方法として、高齢者むけ口腔の体操についてご紹介していきます。

高齢者の口腔状態について

人の唾液は1日に1~1.5ℓ分泌されますが、唾液の量は年齢と共に徐々に低下していきます。

高齢者の中には唾液量が通常の1/2~1/3までに低下している人もいるといわれています。

唾液は口腔内の潤滑剤としての役割や、口腔内の汚れを洗い流す役割を担っています。

そのため、唾液量が少なくなれば話しづらくなったり、虫歯や歯周病になりやすくなります。

もし歯周病や虫歯になってしまえば、入れ歯を使うことを余儀なくされる可能性もあり、食べる楽しみも減ってしまうかもしれません。

また、年齢と共に変化するのは唾液量だけではありません。

咀嚼する際に使用する複数の筋肉は、年齢と共に低下する傾向があります。

咀嚼筋が低下してしまうと、舌の動きが悪くなり、食べ物を上手に喉の方へ送り込めなくなってしまいます。

これらのことから、高齢者は口腔の体操を行うことが重要です。

次項では、唾液の分泌を促進したり、筋力の維持・向上を目的とした口腔体操のご紹介をしていきます。

口腔の体操を行う前の準備体操

口腔の体操を行う前には、まず準備体操を行うことが大切です。

準備体操では、深呼吸と首の体操を行います。

まず深呼吸は、手をお腹に当てて、鼻からゆっくりと息を吸い込み、口から吐くようにします。

お腹を膨らますように大きく深呼吸をする腹式呼吸を意識すれば、副交感神経を刺激することでリラックス効果が期待できます。

深呼吸を数回ほど繰り返した後は、首の体操に移ります。

首の体操は、食べ物を噛んだり、飲み込んだりするときに使う筋肉をほぐす効果があります。

首の体操はまず、ゆっくりと時計回り、反時計回りに首を回すことから始めます。

次に、ゆっくり首を左右に倒す体操を行った後、首を前後に倒す体操をします。

首の体操が終わった後は、肩を大きく上げ下げしてほぐすようにしましょう。

これらの体操を1~2分間繰り返すようにします。

ただし、首に痛みがある方や首の手術をして動きに制限がある高齢者の方は、首の運動はスキップして深呼吸や肩の運動を中心に行うことをおすすめします。

ここまでの準備体操が終われば、いよいよ口腔の体操を行っていきます。

高齢者むけ唾液の分泌を促す口腔の体操

人の顔の周りには、唾液を分泌する唾液腺が3つあります。

それが、耳下腺・顎下腺・舌下腺です。

これらの唾液腺を刺激するマッサージを口腔の体操に取り入れれば、唾液量が低下した高齢者の方でも唾液の分泌が促すことが出来る可能性が高いです。

耳下腺への刺激は、耳たぶの下から奥歯のあたりに手を当てて、円を描くようにクルクルとゆっくりマッサージをします。

顎下腺への刺激は、顎の下の柔らかい部分に指を当てて優しく押していきます。

このとき、顎下腺全体をマッサージできるように、耳の下から顎先まで順番に優しく刺激していくことが大切です。

次に舌下腺のマッサージです。

舌下腺は顎の先から舌の付け根に位置しています。

舌下腺のマッサージは、舌の真下に位置する下顎に指を当てて、指の力で舌をぐっと押し上げるように刺激していきます。

これらのマッサージは各10回ほど実施するようにしましょう。

唾液腺のマッサージをした後は、舌の体操を行っていきます。

高齢者むけ舌の機能向上を目指した口腔の体操

前述したように、舌の動きを維持することは食べ物を口の中でまとめて、喉の方へ上手に送り込むために大変重要です。

しかし、高齢者の中には舌の動きが良くない方もいます。

そこで、口腔の体操の中に舌の体操を取り入れることが重要です。

舌の体操はまず、口を大きく開けることから始めます。

口を大きく開けた後は、舌の上下運動を行っていきます。

舌の上下運動はまず、舌を口の外に出して顎を舐めるように下方向に出来るだけ伸ばしていきます。

次に、鼻の下をなめるように、舌を上方向に出来るだけ長く伸ばしていきます。

舌の上下運動の後は、舌で唇全体を時計回りに1周舐めます。

時計回りに舐め終われば、次は反時計回りに1周舐めるようにします。

唇を舐める体操が終われば、次は舌で口の中の右頬・左頬をそれぞれ交互に円を描くようにクルクルと舐めるようにします。

これらの体操は1分間ほど実施するのが理想です。

朝・昼・晩の歯磨き前などに1日3回するようにすれば、習慣化して忘れずに実施することができます。

舌の体操が終わった後は、誤嚥を防ぐ口腔体操を行っていきます。

高齢者むけ誤嚥を防ぐ口腔の体操

誤嚥を防ぐためには、もし誤って気道に水分や食べ物が入り込んだとしても、それらを気道の外に押し出す力が大切です。

その力を鍛える口腔の体操が、発声練習です。

その名も「パタカラ体操」です。

パタカラ体操は、口を閉じる動き、舌で食べ物を送り込む動き、食べ物を飲み込む動きを鍛えることが出来ます。

パタカラ体操は1文字ずつ発声練習を行うことから始めます。

まず、パタカラのパの字を「パ パ パ パ」と発声していきます。

次に「タ タ タ タ」と発生していき、順番にそれぞれを10回ずつ発声をしていきます。

パタカラの文字を1文字ずつ発生していくことが出来れば、次はパタカラとつなげて発声をしていきます。

「パタカラ パタカラ パタカラ」とこれも10回ずつ発声していきます。

これらの発声練習をするときに大切なのは、はっきりと発音をするだけではなく、力強くお腹から声を出すようにすることです。

お腹からしっかりと声が出せれば、気道に物が入り込んでも自分で出せる力が付きます。

また、高齢者の誤嚥防止のためには発声練習だけではなく、咳をする練習も大切です。

発声練習とセットで「ゴッホン」とわざと咳をする練習もメニューに入れるとより効果的な口腔の体操になります。

発声練習と咳をする練習が終わった後は、筋力を鍛える口腔の体操を行っていきます。

高齢者むけ筋力を鍛える口腔の体操

口腔機能を維持するためには、頬と口の周りの筋肉を鍛えることが大切です。

口の周りの筋力を鍛えると食べ物が口から流れ落ちたり、口の中に残ってしまうことを防止することが期待できます。

口の周りの筋肉を鍛える運動は声を出し運動から開始します。

声出し運動は、「おー」「うー」「いー」と1文字1文字を大げさなくらい口で文字の形を作り発音するようにします。

これらの文字は、顔の周囲の筋肉をしっかりと活用して発声する必要があるため、口の周りの筋肉を鍛えることが出来ます。

口の周りの筋肉を鍛える体操が終われば、次に頬と口の周りを鍛える体操を行います。

口と頬を鍛える体操は、口を膨らましたり、すぼめたりする運動です。

ポイントは最大限に口を膨らましたり、すぼめたりすることです。

ただし、高齢者は特に息を止めてしまうと危険ですので、鼻からゆっくりと息をすることを意識しながら行うようにしましょう。

口腔の体操でいつまでもご飯を美味しく

ここまでお伝えしてきた高齢者むけ口腔の体操は、機能が低下してから取り組むのではなく、機能低下を特に感じなくても普段から積極的に行うことが大切です。

例えば、食事をする前に口腔の体操を行えば、舌や口・頬の筋肉もほぐれた状態で食事ができるので、よりスムーズに食事をすることが出来ます。

ぜひ、この機会に日常生活に口腔の体操を取り入れて、いつまでもご飯をおいしく食べれるようにしましょう。

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