奥歯がない状態を放置すると体全体に悪影響を及ぼす!?

お口のトラブル 2018.09.24

奥歯の基礎知識

成人の奥歯は上下左右に各2本ずつ、合計8本あります。

奥歯は前歯に比べてサイズが大きく一見頑丈に見えるので長持ちしそうですよね。

しかし、食事をする時に最も負担が大きく、歯ブラシが届きにくく磨きにくいので、虫歯や歯周病になりやすいという弱点もあります。

厚労省のデータでは、奥歯は前歯に比べて約15年以上も寿命が短いそうです。

奥歯の役割は食べ物をかみ砕くだけではありません。

顔の輪郭形成や脳の発育を活性化、声の鮮明な発音など、体全体の健康に影響を与えています。

つまり、奥歯がない状態を放置しておくと体全体の健康面に悪影響を及ぼすとも言えるのです。

また、奥歯のあった場所の傷を放置しておくと、そこから菌が体内に侵入して健康不良を招く恐れもあります。

では、具体的に人の体にどんな悪影響が起こる可能性があるのか?

奥歯が抜けてしまったらどうしたら良いのか?

それぞれを分かりやすく解説していきます。

奥歯のない状態を放置した時に起こる歯のトラブル

まずは歯のない状態を放置しておくと、口腔に起こり得る悪影響について解説します。

1.噛み合わせが悪くなる

永久歯は上下顎に14本ずつあります。

これらの永久歯が正常に噛み合わさることによって、「噛む」「飲み込む」「発音する」「口元を整える」といった役割を果たしています。

歯を失ってしまうと両隣の歯が倒れこみ、今まで噛み合っていた歯が伸びるように動くので、噛み合わせが悪くなります。

この状態が重症化すると出っ歯になってしまったり、話す時に息が漏れて声の発音が不明瞭になる可能性もあります。

また、奥歯は他の歯に比べて強い力で噛むことができます。

その奥歯を一本失うだけでも約30%~40%の噛む力を失ってしまうとされているのです。

そして、使う歯も偏ってくるので、噛み合わせが悪くなってしまいます。

2.虫歯や歯周病になりやすくなる

歯が抜けた状態だと歯茎だけで歯を支えることになるので固定しづらくなり、歯が動いてしまいます。

そうなると、歯のすき間に食べ物が挟まりやすくなり、汚れが蓄積しやすい状態となります。

また、噛む回数が減ることで唾液の量が減り、これらの相乗効果が虫歯や歯周病の可能性を増やしてしまいます。

3.残った歯にダメージが蓄積する

奥歯が抜けた状態を放置しておくと、必然的に残っている歯だけで噛むことになりますよね。

そうなると、噛む時に抜けた奥歯にかかっていた負荷を、残っている歯に分散しなければならないので、健康な歯にもそれだけダメージが蓄積するようになります。

奥歯のない状態を放置した時に起こる体のトラブル

奥歯のない状態を放置しておくと、体全体にも悪影響を与えます。

では、どんな悪影響があるのか体のトラブルについて具体的に見ていきましょう。

1.胃に負担をかける

先程もお話ししましたが、奥歯は1本失うだけでも約30%~40%も噛む力が失われるとされています。

そうなると、食べ物を細かくなるまで噛み砕けなくなるので、胃がそれを無理に消化しようとして、今まで以上に負担がかかり、胃炎のリスクが高くなります。

胃炎になると胃のあたりに不快感や痛みを伴い、嘔吐や吐血、食欲不振を招く恐れがあります。

2.脳への刺激が少なくなる

歯の根の周囲には歯と歯槽骨をつなぐ歯根膜という組織があり、噛んでいる感覚を感じることができます。

その噛んでいる感覚が弱くなると、それだけ脳への刺激が少なくなるので、記憶力の低下など、認知症のリスクを高めてしまいます。

これは食事の時に噛む回数が少なく、食べ物をすぐに飲み込んでしまう人にも言えることなので、あまり噛む習慣がない人は食事の時に噛むことを意識しましょう。

3. 顎関節症になりやすい

噛み合わせのバランスが悪くなると、顎関節症になる可能性が上がります。

顎関節症になると、顎が痛む、口が開かない、顎を動かすと音がする、といった症状が出ます。

日常生活に著しく悪影響が出る病気ではありませんが、治療次第で避けられるリスクですので、早期治療をお勧めします。

4.顔の形が変形する

奥歯のない部分を避けて噛むようになるので、顎の筋肉の太さが徐々に不均一になっていきます。

そうなると顔の筋肉のバランスが不均一になり、老けて見えてしまいます。

5.力が入らない

人は重いものを動かす時に奥歯を食いしばって力を入れますよね。

その時に上手く歯を食いしばれないと全身に力を入れづらい状態になります。

試しに歯を食いしばらないように口を開けて重いものを動かしてみてください。

体に力を入れづらいはずです。

奥歯のない状態を放置しておくと、この力の入らない状態が継続されてしまいます。

放置しないで!抜けた奥歯を改善する治療法

先程までの内容で奥歯のない状態を放置すると体全体に悪影響が出ることは分かりました。

それでは、奥歯が無くなってしまった場合はどうしたら良いのでしょうか。

基本的に歯科医に治療して貰うことになります。

治療方法は3つ種類ありますので、あなたに合った治療法を選びましょう。

●ブリッジ

人口の歯を失った歯の箇所に設置して、人口の歯から左右に伸びた冠を両隣の歯に被せて固定する方法です。

失った歯が1~2本と少ない本数に対して使える治療法で、口の中の異物感が少なく外見は自然な仕上がりになります。

ブリッジのデメリットは冠を被せる時に、その冠に合わせて両隣の歯を大きく削らなければなりません。

また、食べ物を噛む時に歯を失った部分にかかる負荷が、土台となる両隣の歯だけで受け止めることになるので、通常の1.5倍以上の負荷が加わります。

ちなみに、失った歯の両隣が虫歯でなければ接着ブリッジという治療法もあります。

接着ブリッジのメリットは、両隣の歯を削らなくても済むことです。

他はブリッジと同じです。

ブリッジの上位交換と言ったところですね。

治療後は土台の歯が虫歯になりやすいので、念入りに歯磨きをしましょう。

部分入れ歯による治療法

人口の歯と人口の歯肉を、残っている歯に金属のバネや磁石を用いて固定する治療法です。

この治療法は奥歯を数本失った場合も使えるので、歯を1~2本失った状態でしか使えないブリッジが不可能な場合に有効です。

ちなみに、歯を全て失った場合は部分入れ歯だけでは不十分なため、人口の歯肉を顎に密着させる総入れ歯となります。

部分入れ歯のメリットは、健康な歯を大きく削るブリッジと違い、残った歯を削る必要がありません。

部分入れ歯は取り外しが可能なので、洗浄しやすく清潔な状態を保ちやすいのも特徴です。

もし、噛み合わせに不具合が生じた場合は修理することもできますので、ゼロから作り直すなんてこともありません。

部分入れ歯のデメリットは、歯肉と人口の歯の間に人口の歯肉を挟むため、ブリッジに比べてどうしても噛む力が劣ってしまいます。

部分入れ歯を処置する箇所によっては歯に引っかけたバネが目立つので、外見が気になることがありますし、バネをかけた歯に負荷がかかるため、歯の寿命が短くなりやすいです。

バネがかかる部分の隙間に汚れが蓄積しやすく虫歯になりやすいので、バネのかかる部分を意識して磨くようにしましょう。

人口の歯である部分入れ歯は虫歯になることはありませんが、健康な歯よりも汚れやすいです。

人口の歯でも汚れを放置すると、健康な歯や歯肉にも汚れが付着しますので、あなた自身の本物の歯だと思って清潔に保つことを意識することが大事です。

また、部分入れ歯を洗浄する時は顎から取り外し、バネや人口の歯肉も磨き残しがないようにしっかりと磨きましょう。

部分入れ歯を磨く時に気をつけて頂きたいのが、力を入れ過ぎると部分入れ歯に傷がつき、汚れがつきやすくなってしまうので、力を入れ過ぎないように丁寧に磨くことです。

インプラントによる治療法

インプラントは、金属の人口歯根を顎の骨に埋め込んで固定し、それを土台に人口の歯を取りつける治療法です。

人工歯根を顎の骨に埋め込むので金属部分は外見からは分かりませんし、顎の骨に固定されているので、噛む力も自分の歯と大して変わりません。

顎に固定された人工歯根を土台に人口の歯を支えるので、ブリッジのように他の歯を削る必要もありません。

デメリットは、健康保険適用外の外科手術が必要で、1本当たり数十万円の治療費がかかります。

ブリッジや部分入れ歯の場合は、一般的な材料を用いると健康保険の適用となります。

一般的な材料を用いない場合は健康保険の対象外となりますので、どの治療を選ぶにしても歯科医から十分に説明を聞いてから治療を受けてくださいね。

インプラント治療の注意点は、顎の骨の量が少ない場合と、歯周病など歯の健康状態に問題がある場合はインプラント治療を行えません。

そのため、普段から歯の健康状態に気を配ることがより大切になります。

また、インプラント治療を施したとしても人口の歯根が顎の骨にくっつくまで3カ月から半年ほどかかるので、食事にも気を配らなければなりません。

他にもインプラント歯周炎という病気があります。

インプラント歯周炎とは、人工歯根が入っている部分に細菌が繁殖し、炎症を引き起こす病気です。

通常の歯周病よりも重症化しやすいのが特徴ですので、インプラントのつけ根も念入りに汚れを落としましょう。

また、先程からお伝えしていることですが、奥歯のない状態を放置することで体への悪影響を引き起こすことがあります。

放置しないためにも、ここまででご紹介した治療法を取り入れてみてはいかがでしょうか。

奥歯がない状態は放置しないこと!

奥歯は前歯に比べて約15年以上も寿命が短いです。

奥歯がない状態を放置すると…

・噛み合わせが悪くなる

・虫歯や歯周病になりやすくなる

・残った歯にダメージが蓄積しやすくなる

・胃に負担をかける

・脳への刺激が少なくなる

・顎関節症になる

・顔の形が変形する

・力が入らない

これらの症状を引き起こす可能性があります。

それらを回避するための治療法としては、下記の3つがあります。

・ブリッジ

・部分入れ歯

・インプラント

治療後は、健康な歯と一緒に人口の歯も大切にメンテナンスしていきましょう。

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