下顎が痛い!顎を押すと痛みを感じることもある顎関節症とは
お口のトラブル 2018.11.26下顎のつなぎ目である顎関節のしくみとは?
顎関節症のお話をする前に、「顎関節」の仕組みについてお話ししていきます。
顎の関節は、突き出た形をした「下顎頭(かがくとう)」と、へこんだ形をした「下顎窩(かがくか)」で作られています。
下顎頭と下顎窩はそれぞれどのような部分なのでしょうか。
まず、顎の関節自体は耳の穴のすぐ前の方にあり、実際に触ってみるとすぐにどの辺が関節かわかります。
次に、この関節の部分に手を当てたまま、口を開いたり閉じたりしてみてください。
そうすると、関節の軸となっている下顎頭の動きがはっきりとわかるでしょう。
上の方に少し突き出た方が下顎頭であり、頭蓋骨の下の方に付いた下顎頭を受けとめる部分が下顎窩で、左右の顎関節に存在しています。
また、下顎頭と下顎窩の間には、「関節円板」というものがあります。
関節円板は基本的に、口の開け閉めや左右の運動など複雑な口の動きをスムーズにしてくれるとされています。
それでは、口を開けたり下顎を押すと痛いと感じることもある、顎関節症についてお話ししていきます。
下顎を押すと痛い!顎関節症とは?
顎は、とても複雑な機能を持っています。
関節以外にも筋肉や神経も集中しており、下顎を一生懸命支えてくれています。
しかし、この顎の関節やその周辺が何かの原因で痛いと感じたり、動きにくくなってしまう状態になることがあり、それを大きくまとめて「顎関節症」としています。
一体どんな症状があるのでしょうか。
①顎に痛みがある
食事や会話など、顎を動作させると痛みを感じたり、押すと痛いという症状です。
人によっては、一日中痛いと感じる人も入れば「夜だけ」「寝起きだけ」と限られた時間にだけ痛みを感じるケースもあります。
また、顎以外に、耳・頭・顔などに痛みが生じる場合があるとされています。
②顎に運動障害がある
顎関節症の人は、口を開けたり動かしたりする際、左右のバランスが対象ではなくなっている可能性も少なくなく、口を大きく開けると痛くなるため、口を大きく開けるのが難しい人もいるとされています。
悪化すると、左右に顎がずれてしまうなどの不具合も出る場合があります。
③顎を動かすと異音がする
口を開けた時に「カクカク」と骨がずれるような音がする人はいませんか。
その場合もまた、顎関節症が疑われます。
痛みが生じない場合、この異音に慣れてしまうケースもあることから、顎関節症の治療が遅れてしまうこともあるといわれています。
顎関節症になってしまうとされる要因は?
顎関節症になってしまう理由はいくつかあります。
例えば関節円板ですが、これは下顎頭と下顎窩の間にあるクッションの役割を果たします。
その関節円板の組織がずれることで、顎関節症を引き起こしてしまうことがあるのです。
正常に関節円板が機能していれば、口を開け閉めしたり、水平の動作をした際にクッション材の役割を果たし、下顎頭と下顎窩の骨が当たってしまうのを防いでくれるといわれています。
しかし、関節円板がずれてしまうことによって、口の動作の際に「カクカク」と音が鳴ったり、口を開ける動作がしにくいなどの不具合が生じてしまうとされています。
また、他にも「咀嚼筋の筋力の低下」考えられます。
逆に長時間、または慢性的に咀嚼筋を使っている場合も、顎関節症になってしまう原因として挙げられます。
他には、顎を支えるじん帯の障害・変形性関節症という病気によって起こるケースもあります。
顎関節症は様々な原因が挙げられるため、きちんとその原因を突きとめ、適切な治療をしていく必要があります。
口を開けたり、下顎関節を押すと痛いと感じ不安を抱いているのであれば、医師に診てもらうことをお勧めします。
こんな人も注意!顎関節症になってしまう原因と予防
また、前項以外にも、意外な理由で顎関節症になってしまう可能性があります。
いくつかその理由をお伝えしていきますので、今後生活を送る上で注意してみるのもよいでしょう。
・急激なストレス
ストレスにより、下顎を含め体全体に余分な力が加わり、顎関節症を招くとされています
定期的に運動をするなど、ストレス発散をするようにしましょう。
・寒い場所にいて歯をくいしばる
寒い場所にいて歯をくいしばってしまうことによって、顎関節症を招く可能性があります。
冬など寒い日は暖かい服装をして、歯のくいしばりが起こらないようにしましょう。
・姿勢がよくない
長時間の頬杖や、猫背などは全身の骨格が歪みやすく、それによって顎関節症を誘発してしまうともいわれています。
意識して姿勢を正すように、普段の生活で心がけるようにしましょう。
また、もうすでに顎関節症によって、口の開け閉めや押すと痛いという場合にも、私生活を一度見直してみるとよいでしょう。
動かしたり押すと痛いから顎関節症を治したい!その治療方法とは?
それでは、病院ではどのような治療がされるのでしょうか。
ここでは、一般的におこなわれる顎関節症の治療方法の一部をお伝えしていきます。
●スプリント療法
スプリントという歯科用のプラスチックである「レジン」などで作られた装具を装着します。
その装具を付けると、嚙み合わせを正常な位置に戻そうという力が働きます。
嚙み合わせが正常な位置に戻ると、自然と筋肉の緊張が取れて、スムーズな口の動きが期待できるというものです。
この治療以外にも、様々な治療方法があり、重度である場合は手術での治療になることもありますので、心配な方は一度医師に相談してみましょう。
・自分でできる応急処置
下顎や関節などが痛いと感じる場合は、まず安静にすることが大切といえます。
それと同時に、症状を悪化させないためにも、強く関節を押すことはもちろん、大口を開けたり顎を使い過ぎるのは避けましょう。
下顎を押すと痛い意外な理由!それはリンパの流れが悪いからかも?
これまで、顎関節症によって下顎に痛みが生じているとお伝えしてきました。
しかし、下顎の痛みは顎関節症以外にも考えられます。
その1つの理由として、リンパの流れが関係している可能性もあるのです。
●疲労物質が溜まっている
リンパの流れが悪くなると顔がむくんでしまったり、場合によってはむくむことで刺激をすると痛いと感じる方もいるといいます。
そのまま放置しておくとむくみだけではなく、顔がたるんでしまったり、ほうれい線・シミ・ソバカスなどのトラブルの原因にもなります。
そのため、リンパ管やリンパ節を日頃からマッサージし、リンパの流れを解消するようにしましょう。
●リンパマッサージの方法
①オイルやクリームをフェイスライン・頬・首筋に塗ります。
②親指と人差し指で顎を挟んで、顎の先から耳の下の方まで3回スライドさせましょう。
この時に、しっかり力を入れておこなうために、テーブルに肘を付きながら頭を乗せて重さでおこなうと力が入れやすいでしょう。
③耳の下のリンパを痛いけど気持ちいい位の強さで、押すように刺激します。
④最後に下顎全体を手全体を使って撫でながら、鎖骨に流すように3回滑らせます。
顎関節症をそのままにせず適切な治療を受けよう!
下顎を押すと痛い原因は、顎関節症が1つの原因として考えられますが、他にも色々な原因が考えられます。
顎から異音がしたり、口を開けると痛みを伴うようであれば、時間を見付けて病院にいきましょう。
また、リンパの流れが悪くなることによって下顎がむくんで押すと痛い場合は、マッサージなどを日常的に取り入れるなどし、リンパの流れがよい状態を保つようにしましょう。