子供が退屈しがちな歯磨き指導!保育園ではどのように行う?
口臭 2019.10.18保育園で歯磨きの習慣づけ!乳歯の歯磨きの重要性
乳歯列が完成する保育園の時期は、子供の食の幅が大きく広がり、よく噛んで味わう楽しみが健やかな身体を育んでいく期間です。
それと同時に、歯の健康を守る「歯磨き」を習慣づけていく期間でもあるため、保育園での歯磨き指導は子供にとって大変重要と言えます。
好奇心旺盛で飽きっぽい子供たちに、いかに歯の大切さを伝え、歯磨きの習慣へと繋げるかは、歯磨き指導での最たる課題ですが、何よりもまずは保育士が歯について知っておく必要があります。
まず、理解しておきたいのは、子供の乳歯がいかに虫歯になりやすいかということです。
子供の乳歯は、永久歯に比べてやわらかく、歯の表面を覆うエナメル質が薄い特徴があります。
そのため、虫歯菌が生成する酸に対して抵抗力がなく、一度虫歯になってしまうとあっという間に重篤化します。
さらに、虫歯は隣接する歯にまで広範囲に拡大するため、乳歯の虫歯リスクは軽視できるものではありません。
また、将来的に抜けてしまう乳歯ですが、乳歯の虫歯は直下に待機する永久歯の発育にも影響を及ぼす可能性もあります。
例えば、生えてくる永久歯の形や質、色に異常が生じたり、さらには顎の発達に関わる歯並びにも影響してくる場合があります。
このような乳歯の特徴と影響について、まずは子供たちに指導する保育士がしっかり理解しておきましょう。
保育園での歯磨き指導はいつから始める?
実際に保育園で歯磨き指導をするといっても、未満児から5歳児まで、預かる子供の年齢には開きがあります。
そのため、歯磨き指導はいつから、どのように行うべきなのか、悩む方もいることでしょう。
結論から言うと、歯磨き指導は歯の生え始めから少しずつスタートすることをおすすめします。
ただし、ここでは本格的な「歯磨き指導」というよりも、「歯磨きの習慣づけ」という位置づけです。
では、まずは歯が生え始める生後6か月、0歳児の歯磨き指導から見ていきましょう。
歯の生え始めの頃は、前歯の数本しか生えていないため、歯ブラシを使った本格的な歯磨きは必要ありません。
しかし、「食後の歯磨き」を習慣づけていくために、ガーゼなどを使って口内を軽く拭いてあげることをおすすめします。
と言うのも、子供は口内に異物を入れられたり、触られたりすることに敏感なため、まずは少しずつ慣れさせていくトレーニングが求められます。
歯磨きが楽しいと思えるように、歌を歌いながらスキンシップの一環として行うと、より歯磨きの習慣づけをスムーズに進めることができます。
保育園での歯磨き指導!1歳児は習慣づけを目的に大人のサポートを
次に見ていく歯磨き指導の年齢は、1歳児です。
1歳になると乳歯がだいぶ生え揃い、食事もしっかり味わって食べられるようになります。
しかし、その分虫歯になるリスクも大きくなるため、保育園での食後の歯磨きは徐々に本格的に行っていく必要があります。
保護者の方が用意した赤ちゃん用の歯ブラシ、もしくは子供用の歯ブラシを持たせ、サポートをしながら一緒に歯磨きの練習をしていきます。
その際は、誰かとぶつかったり転倒したりすることのないように、必ずイスに座らせた安全な状態で行ってください。
保育士が歯を磨いている様子を見せながら、子供に真似させると良いでしょう。
もちろんまだひとりでは上手く磨けないため、最後は保育士が仕上げ磨きを行います。
仕上げ磨きでは、膝の上に子供の頭を乗せ、お腹や脇で固定しながら行う「寝かせ磨き」がおすすめです。
口の中も覗きやすいため、磨き残しをしっかりチェックすることができます。
特にチェックしたいのは、虫歯ができやすい前歯、噛み合わせの溝、歯と歯の間です。
ダラダラと長い時間行わず、できるだけスピーディに、かつ楽しみながら磨くようにしましょう。
なお、始めのうちは歯ブラシを噛み潰す子供も多いので、保護者には「本人磨き用」と「仕上げ用」の2本を用意してもらうのが望ましいです。
2~3歳から本格的な歯磨き指導を!磨き方とぶくぶくうがい
2~3歳になると、いよいよ奥歯まで乳歯が生え揃います。
これまでは習慣づけの練習でしたが、ここからは本格的な歯磨きの練習に加えて、ぶくぶくうがいの練習も進めていきます。
したがって、本格的な歯磨き指導は、うがいもスタートするこの時期を目安に行っていくのが望ましいでしょう。
ではまず、歯の磨き方やぶくぶくうがいの指導方法についてそれぞれ見ていきましょう。
【歯の磨き方】
生え揃った上下奥歯の乳歯は、溝に食べカスが溜まりやすい分、磨き残しも多くなります。
そのため、2~3歳の歯磨きのポイントは、虫歯になりやすい奥歯の噛み合わせをしっかり磨けるようにすることです。
歯ブラシをゴシゴシと前後に動かし、噛み合わせに歯ブラシが当たっていることを意識させてください。
また、1本の歯につき10カウントごと数えて丁寧に磨いていきましょう。
【ぶくぶくうがいのやり方】
口内の細菌や食べカスを洗い流すぶくぶくうがいは、3歳で約半分、4歳で7~8割の子供ができるようになりますが、一人一人の成長に合わせて焦らず段階的に教えていきましょう。
ステップ①:口に水を含み、「べー」と声を出して水を吐き出す
ステップ②:口に水を含み、3秒ほどキープさせて吐き出す
ステップ③:口に水を含み、頬をぶくぶく動かして吐き出す
なお、保育園で歯磨き粉を使う場合は、誤飲などの可能性を考慮し、ぶくぶくうがいができるようになってからにしてください。
4~5歳児は本人磨きがひととおり完成!染め出しでさらにやる気促進
前項では、乳歯列完成後からの歯磨き・うがいの指導方法についてお話ししてきました。
4~5歳児になると、これまでの大まかな磨き方から細かい磨き方にステップアップしていきます。
奥歯の付け根や歯の裏側、歯と歯の間、犬歯など、細かい部分を注意して磨くことを心がけ、ひととおり自分の歯が磨けることを目標にすると良いでしょう。
特に、5歳児の年長クラスでは、歯磨き指導の一環として、歯磨き後に歯垢の染め出しを行うことがおすすめされます。
昼食後、いつも通り歯磨きを行った後に染め出しを行うことで、どこに汚れが残っているのかを鏡でチェックします。
染め出しを見ながら歯磨きをすることで、子供たちの達成感も大きくなり、さらに歯磨きへのやる気を促すことができるでしょう。
また、染め出しを実施した様子は、保育園のお便りを通して保護者に報告し、子供の歯に対して一層関心を持ってもらうようにしましょう。
歯磨きの大切さを楽しく・分かりやすく伝えよう!
保育園での本格的な歯磨き指導では、歯の磨き方・うがいの練習をしていくだけでなく、歯磨きの必要性や虫歯の怖さを分かりやすく子供たちに伝えていくことが大切です。
と言うのも、ただ単に「虫歯は怖いもの」と漠然とした言葉で言っているだけでは、子供たちに伝わりません。
また、子供は成長していくにつれ、習慣的な「歯磨き」という行為に退屈し、飽きてしまいます。
そのため、歯を題材とした絵本や紙芝居、動画などで興味を惹きつけながら、視覚的に分かりやすく子供に対して体現することが推奨されます。
インパクトのあるキャラクターを見ながら楽しく読み聞かせをすることで、飽きることなく印象的に子供の記憶に残りやすくなります。
また、保育士によって虫歯の劇を演じるなど、より一層子供に興味を持ってもらう方法は様々です。
このような特別な歯磨き指導は、全学年もしくは2~5歳児クラスを対象に、歯科検診に先駆けた6月頃を目安に実施します。
子供が積極的に歯磨きと向き合えるように、楽しく・ワクワクするような歯磨き指導を行っていきましょう。
歯磨き指導は習慣づけから!
未満児から5歳児までの子供を預かる保育園では、子供の成長に応じた歯磨き指導を行っていかなければなりませんが、何よりもまず大切なのは歯磨きの習慣づけです。
保育園で歯磨きができても、家庭でできていなければ意味がありません。
「食べた後は歯を磨く」ことを慣れさせ、家でもきちんと歯磨きができるようなサポートを保育士は行っていきましょう。