「舌下腺」に腫れや痛みを感じたら要注意!怖い病気かも!?

お口のトラブル 2018.09.05

口の中が乾いたり、唾液が出にくくなっていませんか。

舌の下側にある舌下腺(ぜっかせん)が炎症を起こすと、唾液が出にくくなって口の中が乾いたり、そのせいで食事や会話に支障を起こすことがあります。

また、症状が進むと舌下腺が腫れ、痛みをともない、発熱や膿が出たり、もっと深刻な病気が隠れている場合があります。

特に男性がなりやすいものもあるので注意が必要です。

なんとなく舌の下側に違和感がある、腫れが気になるという方は、ぜひこの記事を読んでください。

舌に違和感!「舌下腺炎」の腫れや痛みに要注意

まずは、「舌下腺」についてご紹介しましょう。

舌下腺とは、唾液腺のひとつで舌の下側にあり、他にも、耳たぶの周囲には「耳下腺(じかせん)」、下顎の骨の下には「顎下腺(がっかせん)」があります。

耳下腺は、粘度の少ないサラッとした唾液を分泌し、舌下腺と顎下腺は、粘度が少ない唾液と粘度の多い唾液の二種類を分泌します。

唾液は1日に1リットル分泌され、そのうちの約5%を舌下腺が分泌しているといわれています。

この唾液を分泌する唾液腺の中に、「唾石(だせき)」という固い石のようなものが詰まったり、唾液の分泌が低下して起こるのが「唾液腺炎」です。

その唾液腺炎のひとつが「舌下腺炎」で、舌下腺が腫れたり、痛みを感じることがあり、膿が出ることもあります。

舌下腺炎が慢性化することで、唾液腺が硬くなってしまい、唾液をうまく出すことが出来なくなり、口の中がひどく乾いてしまい、食事や会話が思うように出来なくなる場合があります。

しかし、多くの場合は無症状で痛みをともないません。

そのため、気付くことが遅れ、かなり症状が進んでから舌下腺炎と判明することがあります。

この症状は中高年になると出やすいので、口の中に違和感を感じたら早めに口腔外科を受診することをおすすめします。

 

「舌下腺炎」の原因は?

「唾液腺炎」の原因は、ウイルス感染、細菌感染、自己免疫力の低下、アレルギー性のものに分けられます。

「舌下腺炎」は細菌感染によって引き起こされることが多く、急性の舌下腺炎の場合は、痛みがあったり、腫れが出たりするので、すぐに分かります。

しかし、慢性の舌下腺炎の場合は、唾液が減少し口の中の乾燥が起こるくらいなので分かりにくいです。

また、急性炎症が起こることは稀なので、一般的には慢性舌下腺炎が急性化したものと考えられます。

舌下腺炎の症状が進むと膿が出て「化膿性唾液腺炎(かのうせいだえきせんえん)」になります。

急性の化膿性唾液腺炎は、殺菌性のあるうがい薬で口の中を清潔に保ち、抗菌薬を服用することで回復します。

慢性の化膿性唾液腺炎で口の中の乾燥がひどい場合には、うがい薬や人口唾液を使って症状を緩和させることもあります。

ちなみに、唾液腺の中で最も炎症を起こしやすいのは耳下腺で、代表的なものは「ウイルス性唾液腺炎」です。

これは、俗にいう「おたふく風邪」です。

「唾液腺炎」は、口の中を清潔に保ち、酸っぱいものを口にして唾液の分泌を促進することで予防することが出来ます。

 

腫れて痛みもある!舌下腺の腫瘍は危険!?

口の中や口の周りに腫れや痛みが続き、顔面麻痺にまでなりそうな症状になったら、「唾液腺腫瘍」かもしれません。

唾液腺腫瘍の原因は、現在のところほとんど分かっていません。

また、唾液腺腫瘍は種類が多いのですが、その中でも悪性の腫瘍は10%ほどで、残りの90%は良性です。

この唾液腺腫瘍は、腫瘍がどこに出来ているかで悪性のリスクが変わります。

唾液腺腫瘍は、耳下腺と顎下腺の発症率がほとんどで、全体の80~90%を占めています。

悪性腫瘍リスクが最も低いのは耳下腺で20%、顎下腺は40%、といわれています。

そして、舌下腺は、90%と最も高くなっています。

舌下腺は、腫瘍の発症頻度が最も低いのですが、悪性腫瘍リスクが最も高い部位です。

舌下腺炎であれば、ガンになる可能性はほとんどなく、前述したように、うがいや投薬治療での回復が見込めます。

しかし、腫瘍ですと薬だけでは回復しないので、手術が必要になります。

では、次項では「唾液腺腫瘍」について、もう少し詳しく見ていきましょう。

 

舌下腺の腫れや痛みを甘く見てはいけない!舌下腺は悪性腫瘍リスクが高い!

それでは、「唾液腺腫瘍」について見ていきましょう。

「唾液腺腫瘍」の発症率は、10万人に0.4~13人とあまり高くありません。

しかし、自覚がないだけで有病率はもっと高いといわれています。

種類の多い「唾液腺腫瘍」の特徴をまとめてみました。

・全体では、50~60歳代の発症率が最も多い

・良性腫瘍は、20~30歳代の発症率が多い

・悪性腫瘍は、65歳以上の高齢者の発症率が高い

・良性の多型腺腫は、女性の発症率が高い

・良性のワルチン腫瘍は、男性の発症率が高い

*「多型腺腫」や「ワルチン腫瘍」については、後述します。

このように「唾液腺腫瘍」は、種類が多いのでつかみづらいデータになっています。

しかし、先程もお話ししたように「舌下腺」は悪性腫瘍リスクが高いので、腫れや痛みが続くようでしたら、早めの受診をおすすめします。

 

喫煙が舌下腺の腫れや痛みを誘発!?腫瘍の原因に!

先程、「唾液腺腫瘍」の原因は分かっていないとお話ししました。

しかし、分かってきていることもあるのです。

前述したように、ワルチン腫瘍は男性の発症率が高いことで知られています。

そのなかでも、特に喫煙者の発症率が高いのです。

男性の非喫煙者に比べて、喫煙者はワルチン腫瘍の発症率がなんと8倍も高いといわれているのです。

たばこの刺激は、唾液腺を刺激するようです。

ヘビースモーカーの方は注意しましょう。

 

【男性に多いワルチン腫瘍について】

・唾液腺腫瘍の10%がワルチン腫瘍

・40歳以上の男性喫煙者の発症率が高い

・耳下腺やその周辺に生じる

・腫瘍が複数出来る場合がある

*複数の腫瘍が出来ると、手術も数回に分けて行うことになります。

40歳以上の喫煙者で、口の中や耳の周りに違和感があったり、腫れや痛みはありませんか。

また、食べ物を飲み込みづらくなったり、口の中が乾く、口が開けにくいなどの症状も要注意です。

喫煙は「百害あって一利なし」といわれますが、口の中の粘膜や潰瘍を刺激します。

ワルチン腫瘍にならなくても、喫煙は「舌下腺」や「顎下腺」にも刺激を与え、他の症状を誘発する場合があるので吸い過ぎには気を付けてください。

 

口の中に腫れや痛みを感じたら唾液腺腫瘍かも!?

最後に、前述しました「多型腺腫」と、代表的な「粘表皮ガン」についてご紹介しましょう。

 

【多型腺腫】

・唾液腺腫瘍の70%が多型腫瘍

・発症年齢は20?30歳代、男性より女性の方が発症しやすい

・良性だが長い間放っておくと、約5%の患者が悪性化してしまう

・良性だが手術後、約2%再発してしまう

 

【粘表皮ガン】

・悪性の唾液腺腫瘍の3?15%が粘表皮ガンで、最も多い

・低度、中度、高度と悪性度が細かく区分される

・低度、中度の悪性粘表皮ガンは女性に多い

・高度の悪性粘表皮ガンは男性に多い

・全体の生存率は90%

・高度の悪性だけに絞ると生存率は約40%

 

これまでは、粘表皮ガンは良性腫瘍とされていましたが、研究が進み、現在では悪性腫瘍に分類されるようになりました。

そのため、粘表皮ガンといっても、低悪性のものはほとんど良性腫瘍と変わりありません。

しかし、良性腫瘍といっても、「舌下腺炎」などのように投薬では回復しないので、腫れや痛みなど違和感を感じたら、深刻な状況になる前にすぐに受診しましょう。

 

舌下腺の腫れや痛みは放っておくと深刻な状態に!

これまでご紹介したように、口の中が乾いたり、舌の下側に腫れや痛みは、深刻な病気が隠れている場合があります。

口の中に違和感を感じたら、早めの受診を心掛けましょう。

日ごろから、口の中を清潔に保ち、酸っぱいものを食べて唾液の促進を心掛けると病気の予防になります。

また、喫煙される方は、病気を誘発する危険があるので吸い過ぎには注意しましょう。

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