唾液のアミラーゼってどんなもの?デンプンはこう吸収される

お口のトラブル 2018.11.23

唾液の持つ働きの中でも、消化液としての役割はとくに有名でしょう。

唾液はアミラーゼという酵素によってデンプンを分解し、体に吸収できる形に変えていきます。

しかし、アミラーゼはなにも、唾液だけに含まれるものではありません。

また、アミラーゼにも実は種類があったりします。

ここでは、唾液などが持つアミラーゼとデンプンの関係などについてお話ししていきます。

唾液にはさまざまな働きがある

普段意識することは少ないと思いますが、唾液にはさまざまな働きがあります。

たとえば、口内の粘膜を覆って湿らせておくことで、食べ物を咀嚼したり飲み込んだりすることを助けたりしています。

ほかにも、食べ物が歯などに付着しづらいようにしたり、口内を洗い流して口内の環境を保ったり、虫歯などのトラブルから歯を守ったりする働きも持っています。

そして、それらさまざまな働きの中でも、唾液の重要な役割としてとりわけ認知されているものに、消化液としての役割があり、アミラーゼという消化酵素が含まれております。

このアミラーゼによって、食べ物のデンプンを分解しているということを聞いたことがないでしょうか。

学校の授業などで聞いたことがあるような気がしますね。

しかし、実際そのアミラーゼがどんなものなのかについては「あまり詳しくはない」という方が多いと思います。

次項ではそのアミラーゼについて少し詳しくお伝えします。

デンプンの分解酵素「アミラーゼ」とは?

さて、ではアミラーゼについて少し掘り下げていきましょう。

アミラーゼは、デンプンを分解して糖にする消化酵素です。

主に唾液に多く含まれています。

ここまでは多くの方がご存知かもしれません。

しかし、アミラーゼは、ほかにもすい臓から分泌されるすい液にも含まれているということはあまり知られていないかもしれませんね。

食べ物がこれらの消化液と混ざり合うことでデンプンが分解され、体に吸収されていくことになります。

そしてこのアミラーゼですが、実は種類があり、「αアミラーゼ」や「βアミラーゼ」などの種類に分けられます。

αアミラーゼは主に動物の唾液などに含まれているもので、人間の場合もこれが当てはまります。

一方、βアミラーゼは主に植物が持っていて、たとえばサツマイモなどに多く含まれています。

また、それぞれの作用にも少し差異があり、アミラーゼというのはデンプンを分解する酵素の総称であるのです。

今回はこれ以上触れませんが、実際のところ、実はほかにもアミラーゼはあります。

では、人が消化に利用しているアミラーゼはどのように働くのでしょうか。

アミラーゼがデンプンを分解すると

デンプンというのは、糖類が無数に連結した構造をしていて、このままでは吸収できません。

そのためには、これを分解してブドウ糖などにする必要があります。

そこで、デンプンを分解するアミラーゼの出番となります。

アミラーゼには糖類の連結を切断し、バラバラにする働きがあります。

これによりデンプンは麦芽糖に分解されます。

「ブドウ糖になってないじゃないか」と思った方はその通りですが、食べ物の消化はアミラーゼだけで完結するものではありません。

アミラーゼによって麦芽糖に分解されたデンプンにはその後、他の酵素によって麦芽糖からさらに分解され、吸収されるときにはブドウ糖などになるという壮大なストーリーが待っているのです。

また、アミラーゼは唾液以外に、すい液にも含まれていると先に述べました。

次項ではそのことも含め、吸収されるまでのお話をします。

すい臓もアミラーゼでデンプンを分解!そしてブドウ糖へ

すい臓から分泌されるすい液にもアミラーゼは含まれています。

食べ物はすい液と混ざり合いながら十二指腸を通り、そのときに残っていたデンプンも麦芽糖に分解されます。

つまりは、唾液のアミラーゼによって分解しきれなかったデンプンを、すい液のアミラーゼによって分解するという二段構えの戦術です。

ちなみに、すい液にはアミラーゼ以外にも多くの消化酵素が含まれており、脂肪やたんぱく質なども分解します。

そして、麦芽糖に分解されたデンプンですが、小腸にたどり着くと小腸に存在する酵素の働きによって、ついにブドウ糖などに分解されて吸収されます。

デンプンは変身を2回残していたわけですね。

なお、麦芽糖が小腸で分解・吸収される際は、さまざまな酵素の働きによって、ブドウ糖だけでなく果糖などにも分解されます。

麦芽糖の変身のパターンは一つではないということです。

ただし、これらは同じ単糖類と呼ばれるもので、ここで小腸に吸収されるというのは同じです。

これらの旅路を経て、デンプンは人間の体の一部となって活躍するのです。

唾液の分泌が不足すると?

さて、唾液などに含まれるアミラーゼがデンプンを分解し、体に吸収するまでの流れをご紹介してきました。

体にとって必要な栄養素を摂り入れるために、唾液がたいへん役立っていることはお分かりいただけたかと思います。

しかし、唾液にはほかにも、さまざまな役割があると冒頭で述べたことを覚えているでしょうか。

唾液の分泌量が減ると、さまざまな問題が起きることが予想されます。

ここでは、唾液の分泌量が減った場合に起こり得る問題について触れておきましょう。

その問題は以下のようなものが挙げられます。

・食べ物が飲み込みにくい

・味を感じにくい

・口の中が乾燥する

・口臭が強くなる

・粘膜が傷付きやすくなる

・歯垢が付きやすくなる

どれもできれば無縁でいたいようなことばかりですね。

これに加え、当然ここまで述べてきた食べ物の消化吸収にも影響が出ることになるわけですから、唾液の分泌量が減ることはなかなかに恐ろしい事態です。

とはいえ、実は唾液の分泌量は加齢などに伴って減っていくものでもあります。

最後に、次項では唾液の分泌量が減る原因などについてお伝えします。

唾液の分泌を促進するには?

最後になりますが、先述のさまざまな問題から無縁でいるために、唾液の分泌を促進していくための方法などについてお伝えしていきます。

まず考えるべきは、唾液の分泌量が減る原因についてです。

唾液の分泌量が減る原因はさまざまことが考えられます。

たとえば加齢やストレス、薬剤の副作用などが考えられます。

原因を取り除くことができれば、事態は好転させられるでしょう。

加齢に関しては人間である以上どうにもなりませんが、ストレスなどであればその原因を取り除くことで対処できます。

ストレスを溜めないように適度に発散する、そもそも受けるストレスが少なくなるようにするなどは有効です。

また、薬剤などについては医師と相談すると良いでしょう。

それから、これらに加えて唾液の分泌を促進させる方法もあります。

まずは、食事のときによく噛んで食べること。

唾液は、食べ物が舌や粘膜などに刺激を与えたり、咀嚼したりしたときの刺激によって分泌が促されます。

ガムなどを噛むことなども有効です。

ほかには、唾液腺をマッサージすることも有効です。

唾液腺は顎の下から耳のあたりまでの位置にあり、ここをマッサージすることで唾液の分泌が促進されます。

これらを実践していくことで、口の中が乾くなどの問題に対処するだけでなく、アミラーゼによるデンプンの消化吸収も助けることができるでしょう。

唾液は生きていく上で欠かせないもの

唾液などに含まれるアミラーゼのことや、デンプンが吸収されるまでについて、少し詳しくなれましたね。

人間が活動するためには食べ物を消化吸収してエネルギーにしなくてはならないため、唾液の持つ消化液としての役割はとても重要です。

また、唾液が持つさまざまな役割も、人間にとってなくてはならないものです。

普段はあまり唾液にありがたみを感じていないと思いますが、少しだけ見直してあげても良いかもしれませんよ。

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