仮歯は見た目が悪すぎることもある?それって防げるの?

お口のトラブル 2018.11.17

歯科で治療を受けていると、「今回は仮歯ですが、最後にはきちんとしたものが入ります」というような説明を歯科医師からされたことのある人は少なくないはずです。

しかし、仮のものであるからこそ気になるのは、「見た目が悪すぎる」「仮歯だとまる分かり」というような問題が起こるかどうかでしょう。

そこで今回の記事では、仮歯とはどんな歯で、仮歯を入れるとどれほど快適になるのか、また審美性などについてお話ししていきます。

仮歯って何?

そもそも「仮歯」とはどういった歯なのか、お話ししていきます。

まず、仮歯とは大まかに最終的な人工の歯を入れる前段階であり、それなりに形や色を似せて作る仮の歯です。

主に、差し歯やインプラント治療をおこなう際に使用されています。

仮歯は大体2週間程度で取り除かれますが、最終的な歯の代わりになるものが完成するまでの間、食事やおしゃべりなどで不自由にならないためにされるものです。

材質は、多くの歯科で「レジン」という樹脂を使って作られており、「セラミックや金属のような強度はない」としています。

そのため、硬い食べ物を食べたりすると、壊れてしまう可能性も少なくありません。

また、素材自体のキメがとても荒いため、長期間使用すると着色してしまったり、汚れが目立つ傾向にあるとしています。

そうなれば、「見た目が悪すぎる」という状態になってしまうかもしれません。

見た目だけに関わらず、仮歯を放置すると、治療している最中の入れている部分の衛生面が悪くなり、新しい口内トラブルを作ってしまうことにも繋がるといわれているのです。

そのため、仮歯の処置をしてもらったら「もう痛くないし、歯科に行くのはやめてしまおう」ということのないように、最後まで治療を受けるようにしましょう。

仮歯を入れるメリット①

仮歯と聞くと、「色や形が悪すぎる」「見た目が分かりやすい」というイメージを持つ人もいるかもしれません。

しかし、仮歯はとても重要なものといわれています。

①歯が移動してしまうのを防いでくれる

歯の表面を削ると、その周辺にはスペースが生まれ、歯はしばらくすると、空いたスペースを活用して移動し始めます。

しかし、そこに仮歯があることで、歯を削って空いてしまったスペースを埋めてくれるので、移動してしまうのを防いでくれるとしています。

また、歯がない場合も、そのぽっかりと空いたスペースに向かって、歯は倒れてこようとする傾向にあります。

そのような場合にも、仮歯を入れておくことで、歯の移動による歯並びの悪化や、正しい嚙み合わせの維持をしてくれるのです。

②虫歯になるのを防いでくれる

差し歯などの処置で、「失ってしまった歯の両サイドの歯を削って土台にする」という治療をすることがあります。

両サイドの歯を削った際、歯の周りにある「象牙質」「エナメル」といった、虫歯から守る役割をするものも一緒に削り取られてしまうといわれています。

そうなれば、せっかく土台として作った歯が、虫歯になってしまう可能性も出てきてしまいます。

しかし、仮歯をその部分にかぶせておけば、虫歯から守りつつ治療を進めることができるのです。

仮歯を入れるメリット②

他にも仮歯は、様々な面で活躍してくれています。

③歯茎の変化を防いでくれる

歯をたくさん削ると、今まで歯によって避けられていた歯茎は、歯を削った後の空いたスペースに広がっていこうとする傾向にあります。

そうなると、最終的なかぶせ物を入れる際に、広がってしまった歯茎を押し広げて入れることになるため、歯茎の炎症や痛みが生じてしまうケースもあるのです。

しかし、仮歯を入れておくことで、歯茎が広がって覆いかぶさってくるのを防いでくれるといいます。

④食事やおしゃべりがいつも通りできる

治療をしている間、食事をする上で不都合が起こらないようにするために、仮歯を入れます。

しかし、くっ付きやすいガムやキャラメルといった食べ物は、仮歯が取れてしまう原因となります。

さらに、硬い食べ物も仮歯が破損してしまう可能性があるので、そういったものを避ければ普段通りの食事が可能です。

また、前歯の治療をしている際に、仮歯がなく歯が抜けた状態であれば、見た目も悪くなります。

しかも、歯のない所から息が漏れて発音がしにくくなることもあり、不便さを感じることがありますが、仮歯を入れることによってしゃべりにくさも防いでくれるのです。

「色や形が悪すぎる」といったイメージとは反対に、仮歯は様々な部分をフォローしてくれているといえるでしょう。

見た目が悪すぎると気になっても永久ではない

そんな便利で心強い仮歯ですが、あくまで仮の歯であって、治療の進行状況が進むと仮歯は取り除かれ、きちんとした歯となるものが入れられます。

最後まできちんと治療を受ければ問題はないといえますが、仮歯をそのまま放置してしまう人もいるようです。

仮歯をそのまま放置してしまう理由としては、「歯科に行くのが面倒になった」「歯科に通う時間がない」「見た目が悪すぎるといったこともないから」など様々です。

しかし、そのまま仮歯を放置してしまうと、次のような問題が起きる可能性があります。

問題① 虫歯になってしまう可能性がある

本来、仮歯の後に入れられる人工の歯は、とても高い精度で作られています。

しかし一方で、仮歯はあくまでも仮の歯であるため、物によっては精度が決して高いものではないといえます。

そのことから、仮歯のままにしておくと、細菌が入り込んで、虫歯や歯周病などになってしまう恐れも出てきます。

問題② 仮歯のままにすると様々な悪影響が起きる可能性がある

前項でもお伝えしましたが、仮歯の強度はそれ程強いものではありません。

仮歯を入れる時に、また取り外すことを考えて、強い力が掛からないように入れています。

そのため、食べ物を噛んだ際に仮歯で噛んでいるつもりでも、実はその周りの歯が噛む力を負担しているということになるとされています。

噛む力のバランスが不安定になると、肩こりや頭痛など全身に影響が及ぶ可能性も少なくありません。

そのため、最後まで歯科で治療を受けるようにしましょう。

仮歯にすると見た目が悪すぎる?

仮歯を入れる際、歯科医師はできるだけ周りの歯に合う色合いになるように作っているといいます。

「見た目が仮歯だとバレバレ」「色や形が悪すぎる」といったことにならないように、最善を尽くしてくれる歯科医師は多いとされているのです。

しかし、保険適応内に加え、診察時間も限られた中でおこなう歯科治療は、手の込んでいる仮歯を提供することは極めて困難ともいわれています。

そのため、歯というよりも単なる白いキャップのようなものであったり、色も形も歯とは思えないものになってしまうということも稀にあるといいます。

しかし、このようなケースは、歯科に「歯科技工士」がいない場合に多く、歯科医師自身が即席で作った場合だとされています。

歯科技工士とは、仮歯はもちろん、入れ歯・歯のかぶせ物・歯の詰め物・強制装置などの作成と加工、そして修理もおこなう人達で、歯科医師のように虫歯や歯周病などを直接治療するわけではありません。

そして、場合によっては、技工をするのが得意な歯科医師もいるので、一概に「歯科医師だから優れた技工ができない」というわけでもないのです。

仮歯の見た目に関して、修正の希望を受け入れてくれる歯科もあるので、一度相談してみるのもよいかもしれません。

見た目が悪すぎることが心配な人は

それでも、「仮歯であっても、どうしても自分の歯との色の違いが目立つ」「見た目が悪すぎる」と仮歯の審美性に不満を抱く人もいるでしょう。

そういう場合は、費用は保険適応の仮歯に比べて大きく違いますが、セラミック製の仮歯を入れることをお勧めします。

セラミックとは、透明度がとても高く、自然な歯に近い質感を求める人によいといわれている素材です。

透明度が高いだけでなく、微妙な色の調整も可能なため、自分の歯の色に近い色のセレクトができます。

色以外に形状の面でも、かなり細かい微調整もできるので、違和感なく過ごすことも可能といわれています。

また、劣化もしにくく汚れも付きにくい上に、衝撃にも強いのもメリットといえるでしょう。

しかし、セラミックであっても仮歯には変わりないので、後々は処置が進むと取り外されることになります。

少しの間お世話になる仮歯

今回は、仮歯の役割や審美性についてお伝えしました。

仮歯には、食事やおしゃべりをスムーズにしてくれたり、虫歯などの口内トラブルを防いでくれる役割があります。

あまりに「快適だから」と仮歯のまま通院をやめてしまうことはせず、最後まで治療を受け、最終的な歯の代わりとなるものをきちんと入れてもらうようにしましょう。

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