重曹を使った歯磨きで歯は本当に白くなる?実際の効果とは
虫歯予防 2019.09.17重曹は歯磨き粉の代わりになる?重曹はどのような物質?
歯磨き粉の代用として話題になっている重曹ですが、そもそもどのような物質なのかご存知でしょうか。
口に入れて歯磨き粉として使うからには、まずは重曹がどのようなものなのか知っておくことが大切です。
そもそも重曹とは、炭酸水素ナトリウムと呼ばれるもので、自然界に存在する人体に無害な物質です。
主に掃除に大活躍する理由には、汚れに対して以下のような特徴を持っていることが挙げられます。
・結晶が丸く微細な粒子であるため、少量の水を混ぜることで研磨作用を発揮する
・重曹溶液が弱アルカリ性なため、油汚れなどの酸性の汚れを中和する作用がある
・酸性の悪臭を消臭し、湿気を吸収する作用がある
以上のような特徴から、料理だけでなく、掃除や洗濯などの幅広い汚れに対応できる万能薬とも言われています。
確かに上記の重曹効果を聞くと、「歯を白くする効果があってもおかしくはない」と思う方も多いことでしょう。
では実際、重曹を歯磨き粉として使うことで、歯を白くする効果はあるのでしょうか。
次項から詳しくお話ししていきましょう。
重曹は本当に歯を白くする?歯磨き粉としての効果とリスク
結論から言うと、重曹を歯磨き粉として使用することで、一時的に歯を白くする効果は確かにあります。
しかしながら、歯や歯茎を傷める可能性が高く、歯磨き粉として代用することは控えたほうが望ましいと言えます。
その理由としては、重曹の持つ「研磨作用」が関係しています。
前述したように、重曹は丸く細かい粒子になっており、それが研磨剤の役割となって台所や洗濯物の頑固な汚れを落とします。
それと同様に、重曹は歯に付着したステインやヤニなどの汚れを落とす効果がありますが、逆に歯にとっては重曹の細かい粒子も粗く強力で、磨く度に歯の表面を覆うエナメル質や歯肉を傷つけてしまいます。
そのため、重曹を使用したことで一時的に歯が白くなったとしても、エナメル質が傷つくことで、むしろその後の汚れが付着しやすくなります。
また、エナメル質が摩耗されることで内側の象牙質(ぞうげしつ)がむき出しになり、歯がしみる原因をつくります。
したがって、歯を白くしたいのであれば、歯科医院できちんとホワイトニングを受けるのが望ましいでしょう。
重曹の研磨作用は歯磨き粉としてNG!重曹水のうがいは?
重曹の持つ強い研磨効果は、歯磨き粉の代用として相応しくないということをご説明してきました。
しかし実は、重曹水をうがいに使用することで、虫歯を予防する効果が期待できます。
と言うのは、重曹の水溶液が弱アルカリ性であり、酸性の物質と互いに中和する特徴があるからです。
もともと、口内は中性~弱アルカリ性に保たれていますが、糖分を取り込んだ食後は酸性に傾きます。
酸性になった口内では、常在菌であるミュータンス菌(虫歯菌)が活動しやすい状態になっており、歯垢から酸を発生させることで、エナメル質を溶かしていきます。
これが虫歯になる仕組みです。
一方で、例えば唾液がアルカリ性に傾くと、虫歯菌が好む酸を中和することで、虫歯になりにくい口腔環境をつくりだします。
また、酸で溶けてしまったエナメル質を修復する効果もあります。
つまり、このようなアルカリ性の効果が、重曹うがいの虫歯予防効果に繋がっていることを裏付けているのです。
ただし、口内がアルカリ性に傾くことは、メリットばかりではありません。
それについて、次項で詳しく見ていきましょう。
重曹水のうがいには虫歯予防効果がある!歯石がつきやすいデメリットも
重曹が歯磨き粉の代用に適していない一方で、重曹を使ったうがいは虫歯予防効果を得られることが分かりましたが、口内がアルカリ性に傾くことは、いくつかのデメリットが挙げられます。
まず1つ目は、歯石がつくられやすくなるというデメリットがあります。
そもそも歯石とは、歯垢が唾液中のミネラルと結合し、石灰化した硬い固まりを指します。
唾液の分泌量が多いほど歯石になりやすく、歯垢が再石灰化を繰り返すことで大きな歯石が付着するようになりますが、通常の弱アルカリ性に傾いた唾液が、歯垢の石灰化を促します。
つまり、口内がアルカリ性に傾けば傾くほど、歯石の定着リスクはより高まるということです。
例えば、重曹を歯磨き粉の代わりに直接付けて使った場合、歯や歯茎を傷めるばかりか、歯石のつきやすい口腔環境にしていることになり、やはりおすすめはできません。
しかし、弱アルカリ性の重曹水による適度なうがいは、虫歯予防には効果的で推奨できるという専門的な見解も主張されています。
ただし、歯石がつくられやすいデメリットがあるということも覚えておきましょう。
重曹の口腔環境に対するデメリットに注意
弱アルカリ性の重曹水でうがいをすることの注意したいデメリットとして、歯肉が傷みやすいという点も挙げられます。
と言うのも、重曹水は弱アルカリ性とは言え、口内がアルカリ性に傾くことには変わりはなく、タンパク質を分解することで歯肉を傷めてしまいます。
そのため、重曹水によるうがいを習慣的に常用するには、歯肉へのダメージリスクを留意しなければなりません。
したがって、虫歯予防の効果をより安全に享受するためには、適度な頻度で使用するのが望ましいでしょう。
さらに、重曹をうがいに使用するデメリットには、塩分量が高いという点も挙げられます。
このようなデメリットも踏まえて、重曹をうがいに使用する際は飲み込まないように注意し、使用頻度は2、3日に1度を目安に使用することがおすすめされます。
また、何度もお伝えしているように、言うまでもなく歯磨き粉としての代用は控えるのが賢明と言えます。
うがい用重曹水の作り方!適度な頻度で効果的な口腔ケアを
これまでに、重曹を歯磨き粉やうがいに使用することに関して、口腔内への効果を詳しくお話ししてきました。
では最後に、重曹で効果的な虫歯予防をしたい方に向けて、うがい用の重曹水の作り方をご紹介しましょう。
【準備するもの】
・ペットボトル
・水 500ml
・食用重曹 2~3g(スプーン1杯)
上記のものを用意し、ペットボトルでしっかりシェイクするだけで完成です。
ネットでは使用頻度を毎食後1回などとしている記載も見られますが、口腔環境へのリスクを考慮し、やはり2、3日に1度の頻度が望ましいでしょう。
また、重曹の入れすぎには注意し、小さな子どもの場合は薄めの濃度で重曹水をつくることをおすすめします。
食用重曹はスーパーやドラックストアなどで入手できるので、ぜひ上記を参考につくってみてください。
重曹の口腔環境への影響を見極めよう
歯磨き粉の代用として重曹を使用することは、口腔環境への影響が強いため、控えるのが望ましいでしょう。
その一方で、重曹水による適度なうがいは、虫歯予防に効果があることが分かりました。
使用方法を守っている限りは、安全性の高い効果的な口腔ケアと言えるため、今回の記事を参考にケアアイテムとして使ってみてください。