健康を保つ唾液の働き!加齢に伴う分泌量と飲み込む回数

お口のトラブル 2019.05.03

唾液は「天につばする」や「固唾を呑む」、緊張のあまり「つばを飲み込む」等、言葉や行動の表現で使われたりします。

そんな唾液ですが、本来身体の健康を保つためにとても重要な役割を担っているのです。

この記事では、健康を保つために唾液が持つ役割、加齢に伴う唾液の分泌量の変化や、飲み込む回数への影響等をご紹介していきます。

唾液とは何?分泌する場所や分泌量と飲み込む回数

唾液は唾液腺(耳下腺・顎下腺・舌下線)から口腔へ分泌されます。

そして、1日平均約1~1.5ℓの唾液が分泌されており(安静時700~800ml)、若い方ほど分泌量は多く、加齢により減少していきます。

また、唾液を飲み込む回数は人によりさまざまですが、唾液量は女性より男性のほうが多く分泌します。

これは、体格差による唾液腺の大きさが唾液量に関係しているからです。

唾液は無味、無臭、無色、成分が99.5%水分で、残りは無機質や有機質で構成され、プチアリン(唾液アミラーゼ)を含みます。

このプチアリンはデンプンを麦芽糖に分解する働きがあります。

ご飯を良く噛んだときに、甘みを感じるのはプチアリンの働きによるものです。

唾液は、常時分泌している唾液「安静時唾液」と、食事の時に分泌される唾液「刺激時唾液」の2種類に分けられます。

まず、常時分泌される「安静時唾液」は口腔内を潤し、粘膜を傷から保護したり、雑菌の増殖を防いでいます。

そして、食事のときに分泌される「刺激時唾液」は、摂食嚥下(食べ物を噛んで飲み込む時)に必要な唾液です。

唾液分泌量は神経系刺激で変化、食べ物を飲み込む事が困難に

唾液の分泌は、神経系の刺激で性質が変化します。

まず、家族団らんの食事等、和やかな雰囲気で食卓を囲んでいると会話も弾み食べ物を噛む回数が多くなります。

すると「副交感神経」が働き、「漿液性唾液(しょうえきせいだえき)」が分泌されます。

漿液性唾液はサラサラとしており、成分は水分やタンパク質です。

そして、主に耳下腺から多量に分泌され、炭水化物を消化するアミラーゼが含まれています。

逆に、企画をプレゼンテーションをする等、緊張やストレスを感じると「交感神経」の活動が優位になり、「粘液性唾液(ねんえきせいだえき)」が分泌されます。

すると、唾液の分泌量は減少してネバネバになり、成分は水と糖タンパクで、主に「舌下線」や「小唾液腺」から分泌されます。

このような状態で食事をすると食べ物は飲み込む事が困難になり、食事は味気なく、とても食事を楽しむ余裕はなくなります。

また、分泌する唾液量が少なく、食事の消化がしにくくなります。

食べ物を噛む回数を多くして、唾液で補助し飲み込む事が大切

前述で少々ふれましたが、唾液には食べ物に湿り気を与えて飲み込むことを補助し、含まれた成分により食べ物の消化を助けます。

その消化を助ける唾液の物質はアミラーゼといい、デンプンを糖に変換させる働きがあります。

食事はゆっくりと回数を多く咀嚼し、食べ物に唾液をまんべんなく混ぜ合わせ飲み込むと、胃腸、内臓への負担を減らすことになり消化器官を助けます。

そして、唾液には食後酸性化した口内環境のphを中和させるため、虫歯予防にも一役買っているのです。

また、唾液には抗菌作用もあり、歯や歯茎を化学的物質から保護する働きも担っています。

それは、「ヒスタミン」という抗菌作用を持っている物質で、口腔内を清潔に保ち虫歯の原因になる酸を洗い流す作用です。

唾液に含まれる「カルシウム」や「リン酸」が歯のエナメル質に沈着し、初期段階の虫歯を修復する「再石灰化」を促します。

「再石灰化」はよく聞かれる言葉ですが、特に対策を講じなくても健康な唾液にはこのような働きがあるのです。

噛む回数に関係なく味を感じさせる唾液効果

私たちは、毎日の食事を何気なく摂っていますが、唾液の働きで食物の味を感じ、食事を楽しむことができているのです。

これは食べ物に含まれる「味物質」が唾液に溶け、舌の表面にある「味蕾(みらい)」という器官に、「食べ物の味物質が溶け込んだ唾液」が届きます。

そして「味蕾」が、「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「うま味」を、食事の回数に関係なく私たちに感じさせてくれるので、食事を楽しむことができているのです。

仮に唾液がない場合だと潤滑作用がなくなり、舌炎を起こし「味蕾」が壊れ味覚障害になり、食べ物本来の味を感じられなくなります。

また、唾液に含まれるリゾチームという抗菌作用を持った酵素ですが、外部から侵入する細菌を防御する働きがあります。

このリゾチームは汗や涙、鼻粘膜、リンパ腺、肝臓、腸管などの体内に分布しており、細菌感染から身体を守っているのです。

また、ムチンという唾液に含まれている成分には細菌を凝縮する機能があり、菌を固めて口腔内から排出する働きをし、菌を体内に飲み込むことを防ぎます。

年齢に関係なく食事は良く噛み飲み込む習慣を

前述で、唾液の効果により再石灰化、抗菌作用等、身体に対し大切な働きをすることをお伝えしました。

ただし、これらの働きは唾液の量が正常に分泌されることが前提になります。

何らかの病状により唾液の量が減ると虫歯、歯周病、味覚障害、口臭が強くなるなどのトラブル発生の恐れがあるのです。

例えば、ドライマウスといわれる症状には、会話困難感(会話しづらい)、咀嚼困難感(噛むことが困難)、嚥下困難感など(飲み込むことが困難)もあります。

特に、本来食べ物を噛む回数を多くして唾液を分泌させますが、噛むことが困難では唾液の分泌は望めません。

そして、ドライマウスの検査により糖尿病や、シェーグレン症候群(口腔、眼球の乾燥症状を特徴とする自己免疫性疾患)が発見されることがあります。

また、唾液腺自体の損傷(唾液腺腫瘍・唾石症)やストレス、精神疾患等の自律神経の乱れによっても唾液の分泌量に影響が出ます。

唾液の分泌を促す食事前の唾液腺マッサージ

唾液と健康の関係は緊密で、健康を保つためには適切な唾液量が必要になります。

しかし、加齢と共に唾液の分泌量が減ってきますので、食事の時は食べ物を噛む回数を多くして、唾液をまんべんなく混ぜ合わせ飲み込むようにしましょう。

また、回数を多く噛むことにより唾液の分泌を促せますが、もう一つの対策として食事前の「唾液腺マッサージ」をおすすめします。

これは、唾液腺3カ所(耳下腺・顎下腺・舌下線)をマッサージして、唾液の分泌を促し食べ物を飲み込みやすくするマッサージです。

まず、耳下腺(じかせん)のマッサージですが、耳の前に指全体をあて、上奥歯付近を後ろから前に円を描く要領で10回位刺激します。

つぎに、顎下腺(がっかせん)のマッサージは、親指を下顎の内側の骨を柔らかい部分にあて、前の方へ順番に顎の中程まで5回位押します。

最後の舌下線(ぜっかせん)マッサージでは、頬づえをつく要領で前顎の内側の骨を両手親指で、顎の下から上にむかって押します。

とてもお手軽に出来ますので、食事前や時間の空いた時にお試しください。

唾液で口内環境を快適に、健康維持に大切な味方!

何気なく「つば」、「つばき」等と呼ばれ、ヒトの身体にそれ程重要なイメージがない「唾液」。

しかし、食べ物の入口や病気の入口でもある口内環境をコントロールし、健康維持には欠かせない働きをすることがわかりました。

唾液が口内環境を整え、健康寿命まで左右するとも言われますので、日頃から唾液の分泌量をチェックし、快適な口腔環境の維持に務めましょう。

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