歯石の色がおかしい?黒い歯石が取れたら「歯周病」対策を!
虫歯予防 2018.08.24「歯石」ができるメカニズムとは?
小さなこどもからお年寄りまで、さまざまな年代の人にできる「歯石(しせき)」は、どのような仕組みで溜まっていくのかご存知ですか?
歯茎の上にできる白い歯石は、歯の表面に蓄積された「歯垢(しこう)」が唾液に含まれている「カルシウム成分」と結びつくことによって生まれます。
この現象を「石灰化(せっかいか)」といいますが、歯垢が石のように固まる工程を繰り返し、歯石が溜まっていくのです。
もともと歯垢は細菌のかたまりですから、歯石となって残ってしまうことは、口内環境にとって悪影響です。
そのため、歯石は歯科検診で治療の対象になることも多く、歯石除去のために歯科医院へ通った経験がある方も多いでしょう。
歯の表面にできた白い歯石は、ツルツルとした歯のエナメル質のおかげで、比較的すぐに取り除くことができますが、歯石の色が黒いケースでは、そう簡単にはいきません。
さらに、黒い歯石が取れた方は「歯周病」が進行していることが考えられます。
次項で詳しくお話ししていきましょう。
黒い歯石が取れた?!色が黒くなる理由を解説!
先ほど、「黒い歯石は簡単に取り除くことはできない」とお話ししました。
それはいったいなぜなのか、ご説明していきます。
通常歯の上にできる白い歯石は、別名「歯肉縁上歯石(しにくえんじょうしせき)」といいます。
それとは対照に、歯の下である「歯茎の内側」にできる歯石を「歯肉縁下歯石(しにくえんかしせき)」といいます。
この歯肉縁下歯石が「黒い歯石」の正体です。
歯石の色が黒くなる理由は、唾液のカルシウム成分が、歯茎から染み出ている「浸出液(しんしゅつえき)」や「血液」と結びつくためです。
血液中には「赤血球」が含まれているため、色が黒っぽく見えるのですね。
そのため、歯茎からの出血が多い歯周病と黒い歯石の発生は、密接に関係していることがわかります。
また、黒い歯石は時間をかけて溜まっていきますので、びっしりとこびりついてしまっていることが多く、非常に厄介な歯石であるといえます。
さらに、軽度の場合は、目視で発見することが難しいため、黒い歯石が取れたときには、歯周病が進行してしまっていることがあるようです。
取れた方は要注意!黒い歯石の危険性
黒い歯石についてのお話は、まだ続きます。
前述したように、軽症の場合は目視での発見が難しいとされていますが、重症化していくことで歯茎の隙間から黒い歯石が見えるようになります。
定期的に歯科検診を受けていれば、このような状態に陥ることはありませんが、仕事が忙しい成人男性は、なかなか歯科医院を訪れる機会が少なく、悪化していくケースもあるようです。
中には黒い歯石の存在を知らず、「食べ物の磨き残し」や「ステイン汚れ」と勘違いし、歯を丁寧に磨くことで汚れが取れたように錯覚してしまう方もいるといいます。
これらの理由により、歯石を放置してしまうことが多いのですが、歯周病の進行に大きく影響してしまうため大変危険です。
症状が進行していくと、だんだん痛みや痒みを感じるようになり、口臭もひどくなっていきます。
そして最終的には、歯を支えている骨が溶かされて、抜けてしまうこともあるのです。
こうした最悪の結果を招く前に、早めに治療していくことが正しい選択です。
そこで次項では、黒い歯石を取り除く方法についてお話しします。
自力で取れたら大丈夫?黒い歯石の治療法
ここからは、黒い歯石ができてしまったときの治療法についてご紹介していきます。
歯石の治療は歯科医院で行いますが、もしも自分で歯石が取れたとしたら、「通う手間がなくなるし費用も抑えることができる!」と思いますよね。
しかし、実際に自力で行うことは避けたほうがいいでしょう。
無理やり歯石を取ろうとすると、歯の表面にあるエナメル質まで傷つけ、虫歯などの原因をつくってしまうことがあります。
そうならないためにも、歯科医院でプロによる正しい治療が適切です。
歯石の除去には、主に2種類の治療法がありますので、ご紹介していきます。
●軽度の場合:スケーラーによる除去
先端が鋭くU字に曲がっている「スケーラー」という専用機器を使用して、歯石を取っていきます。
手動のものは「ハンドスケーラー」、電動のものは「超音波スケーラー」といいます。
汚れが付着している箇所によって使いわけ、施術は主に歯科衛生士が担当していることが多いです。
●中度以上の場合:フラップ手術
スケーリングでは対処しきれない場合、外科的な手術が必要になります。
局部麻酔をしてから、メスで歯茎を切り開き、スケーラーでは届かない歯石を除去します。
フラップ手術の最大のメリットは、医師による目視が可能になることで、的確に歯石を取り除くことができます。
主な治療法を2つご紹介しましたが、症状が進行している場合は手術が必要になることがわかりましたね。
そうなる前に、「正しい歯磨き」で歯垢の付着を予防することからはじめていきましょう。
次項でご紹介していきます。
歯周病予防は「正しい歯磨き」から!
日頃、何気なく行っている歯磨きですが、正しいやり方を知っている方は少ないのではないでしょうか?
黒い歯石を残さないためにも、効果的なブラッシング方法を学ぶことが大切です。
そこで、歯磨きをするときに気をつけていきたいポイントをご紹介します。
《歯磨きする時間》
「そんなに長時間磨くの?」と思う方もいるかもしれませんが、10~15分間ブラッシングすることが理想的です。
逆に、長すぎるブラッシングは歯を傷めることがありますので、やりすぎには注意してくださいね。
また、汚れがきれいに取れたように思えても、隙間に残っていることがありますので、しっかりと鏡を見ながら磨きましょう。
《歯を磨くタイミング》
食後は必ずブラッシングすることを心掛けてください。
さらに、就寝中は細菌の繁殖が活発化するため、布団に入る前にも歯磨きできるといいですね。
《歯ブラシの持ち方》
歯ブラシは、鉛筆を持つような力加減で、あまり力まずにブラッシングしましょう。
そして、毛先は歯に対して直角の角度を保ちながら、細かく磨いてください。
これから歯を磨くときは、上記のポイントを意識してみてください。
また、歯周病予防のためには、歯磨きの習慣を改めるだけではなく、生活習慣の改善も必要です。
次項で見ていきましょう。
「生活習慣」を見直して歯周病対策をしよう!
前項でご紹介した「正しい歯磨き」を実践していくことも大切ですが、毎日の「生活習慣」にも目を向けていきましょう。
まず最初に注意したい習慣は「喫煙」です。
煙草の煙に含まれる「一酸化炭素」は、口内環境に悪影響をもたらします。
さらに、煙草の成分「ニコチン」は、血管を収縮させてしまうため、歯茎の血行不良を招きます。
歯周病の状態が深刻な方は、だんだんと吸う本数を減らしていけるといいですね。
次に気をつけていきたい習慣は「食事」です。
栄養バランスの偏りは抵抗力を弱め、歯周病の悪化につながります。
また、歯垢ができやすい「甘いお菓子」や「甘いジュース」は、摂取しすぎないように注意しましょう。
黒い歯石が取れた方は、このような点に注意しながら生活してみてください。
続けていくことで、口内環境によい変化が見られるかもしれません。
黒い歯石を見つけたらすぐに歯医者へ!
いかがだったでしょうか。
黒い歯石は、歯周病が進行していることを知らせる重要な手がかりです。
見つけたときには無視をしないで、歯科医院へ足を運び、きちんと治療していくことが大切です。
また、日頃の歯磨きや生活習慣を見直して、歯周病対策をしていくことも忘れてはいけませんね。
環境を改善し、口内トラブルとは無縁な日々を送りましょう。