舌の磨きすぎが口臭をさらに悪化させる可能性がある?

口臭 2019.06.25

人と話すときに「自分の口臭、きつくないよね?」と気になりますよね。

最近は歯科グッズも充実してきていて、口臭予防に舌ブラシを使っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、磨きすぎは口臭を悪化させるってご存知でしたか?

口臭を防ぐために舌を磨いているのに、悪化させているとしたら本末転倒ですよね。

そこで今回は舌の磨きすぎが口臭の悪化につながる原因から、適切な磨き方までお伝えしていきます。

そもそも口臭の原因って何があるの?

周囲に臭っていないか、自分の口臭って気になりますよね。

昨日飲みすぎたとか、焼き肉を食べたとかだと思わず、手で覆って臭いを確認したりします。

口臭の原因は主に3つあるとされています。

1つ目は生理的口臭です。

誰にでもある臭いです。

朝起きて口の臭いが気になるときがありますよね。

睡眠中に唾液の分泌量が減ることで、細菌が増殖して口臭の原因である揮発性硫黄化物が作られるためです。

食事をしたり歯を磨いたりすることで唾液の分泌量が増え、揮発性硫黄化物の量が減ると臭いは気にならなくなります。

口をあけて寝る人は口の中が乾燥するので、朝の口臭がよりきつくなります。

また、口を開けていると乾燥によって歯の表面に汚れが付きやすくもなるのです。

表情筋などの口周囲の筋肉が衰えると、意識のない睡眠中は口が開いた状態になってしまいます。

2つ目は食べ物による口臭です。

これはみなさん良くご存じだと思います。

ニンニクを食べた後や、タバコを吸った後、お酒を飲んだ後は口臭が気になりますよね。

マウススプレーやマウスウォッシュでケアされている方も多いのではないでしょうか。

3つ目は病気による口臭です。

呼吸器や消化器系の病気でも口臭が起こる場合がありますが、ほとんどは口の病気が原因であることが多いです。

歯周病や虫歯を放置していたりすると口臭は悪化します。

これは、歯周病菌によって、メチルメルカプタンという臭い物質が高濃度で作られるためです。

また、歯周病が悪化すると、舌苔(ぜったい)も増えます。

ですから、重度の歯周病の方は、口臭がきつくなります。

主に3つあるとされる口臭の原因を紹介させていただきましたが、その中でも舌苔は臭いのもと揮発性硫黄化合物の6割を作っているとされており、口臭の大きな原因とされています。

舌苔が口臭の原因と言われたら、磨きたくなりますよね。

しかし、舌苔を落としたいと磨きすぎると、却って口臭を悪化させることもあります。

舌苔(ぜったい)舌の苔とは?

先ほど紹介した口臭の原因である舌苔についてお話しします。

舌を鏡で見ると、白くなっていませんか?

体調や食べた物でも変わるので、もしかしたら白ではなく、黄色という方もいらっしゃるかもしれませんが、この白~黄色になっているものが舌苔です。

舌苔は食べかすや死んだ細胞などのタンパク質が舌の表面に溜まって出来た汚れになります。

舌苔が厚くなりすぎると、味の感じ方が変わることもあります。

この舌苔が細菌によって分解されて、口臭の原因物質となる揮発性硫黄化合物を発生します。

舌苔が口臭の原因と言われたら、磨いて落としたくなりますよね。

しかし、舌苔は舌の粘膜を保護する役割も持っているので、磨きすぎには注意が必要です。

次は磨きすぎによる負の作用をご紹介します。

舌を磨きすぎることによる負の作用

舌は繊細な器官になります。

磨きすぎると色々な負の作用が出てきます。

①磨きすぎによる口臭の悪化

舌苔を落とそうと強く磨きすぎることにより舌に傷がつくことで、かえって汚れが付きやすくなり、口臭が悪化することがあります。

また、傷つけることで舌が炎症を起こし、硫化水素のガスを発生させて、卵の腐ったようなひどい臭いになることがあります。

②磨きすぎによる味覚障害

口の中には味蕾(みらい)と呼ばれる食べ物の味を感じる繊細な器官が集中しています。

舌をブラシでごしごしと磨きすぎることによって、傷がついてしまい、味覚に影響を及ぼす可能性があります。

③磨きすぎによる唾液減少

口臭の原因には乾燥もあるということをお伝えしましたが、磨きすぎることによって、口の中を守っている唾液中のムチンという成分までをも落としてしまいます。

その結果乾燥を起こし、傷つきやすくなり、炎症を引き起こすにまでいたる場合があるのです。

磨きすぎはNG!口臭を予防する舌の磨き方

では、口臭を予防するのに適した舌の磨き方をご紹介します。

舌は繊細な器官になるので、傷をつけないように奥から手前、内から外へ優しくブラシを動かすだけで大丈夫です。

舌の後ろの方が舌苔が発生しやすい部分になるので、舌の先の方は入念に清掃しなくても大丈夫です。

歯磨きも力を入れて磨きすぎると良くないということを聞いた事がある方もいらっしゃると思いますが、舌も同じです。

舌を磨くときに推奨されているのは、100g程度の力が良いとされています。

秤に舌ブラシを押し当てて、100gになるまで力を入れてみましょう。

一度秤で計ってみると、100g程度の力がわかるかと思います。

実際にやってみると、少し力を入れる程度で十分な加減だと実感できるでしょう。

「こんなに軽いの?」と驚くかもしれません。

磨くタイミングですが、朝、もしくは夜どちらか1回に留めておいてください。

1日に何度も磨いたりする必要はありません。

気になるようでしたら1日1回、それほど気にならなければ1週間に3日くらいのペースで十分です。

磨きすぎを防ぐためのおすすめの舌苔ケア製品

舌を磨いた方が良いことはおわかりいただけたかと思いますが、磨く際に用いるのは歯ブラシではありません。

舌を磨く専用のグッズを使ってください。

舌ブラシと呼ばれる歯ブラシのように毛がついているタイプと、舌べラと呼ばれる毛が付いていないタイプなどいくつか種類があります。

舌べラのタイプは表面の汚れを一度に掻き出すことから一見よさそうに見えますが、舌ブラシと舌べラでしたら、舌ブラシの方が口臭予防効果が高いとされています。

ブラシが舌の隙間など細かな部分まで届き、きれいに掃除ができるからだと推測されます。

「ブラシで磨けばいいなら、わざわざ舌ブラシじゃなくても歯ブラシでも良いんじゃないか?」と考える方もいるかもしれません。

しかし、舌ブラシは歯ブラシよりもやわらかい毛で作られていたり、毛の本数が多くなっていたり、舌を傷つけないことを第一に考えられているのです。

歯ブラシは歯を磨くことを想定した造りですので、舌磨きには舌ブラシを使うのがベストです。

各メーカーによってもブラシの固さが違いますが、なるべく柔らかいブラシで、自分の好みのものを選んで、磨きすぎに注意してください。

最近はブラシタイプでもヘラタイプでもなく、ループ状に繊維をまとめたものも出ていますよ。

ちゃんと磨いても口臭が気になる方は歯科医院での口臭測定はいかが?

口臭の原因、舌ブラシの選び方、舌の磨き方をお伝えしました。

口臭が気になるから舌を磨いてみたけれど、まだ気になるという方や、「そもそも自分の口臭って臭いのかしら?」と思っている方は一度、歯科医院で口臭測定というものをしても良いかもしれません。

口臭の三大要素ガスを測定するもので、硫黄化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドのガスを測定します。

器械の種類によっても測定方法は変わりますが、主には機器に息を吹き込むだけで、痛みを感じるようなこともなく、その場ですぐに測定することが可能です。

口臭に含まれるガスの種類から口臭の原因を探し、それに合った歯科医院での治療や家でのケアの仕方などを教えてもらえます。

例えば、硫黄化水素が測定される方では今までもご紹介してきたとおり、舌を磨きすぎない磨き方、歯磨きを推奨されます。

また、メチルメルカプタンは歯周病由来であると思われるので、歯科でのPMTCや歯石取り、ブラッシング指導がされます。

ジメチルサルファイドは飲食物や嗜好品に由来するので、思い当たるものをやめたり、控えたりするような指導がされます。

もちろん測定した結果、ガスの量が問題なく特に処置が必要ない場合もありますよ。

また、歯科医院での口臭検査では、多くの場合同時に唾液の検査、細菌の検査をします。

唾液検査では、量を測定します。

唾液が少ないと口の中が乾燥して、細菌が発生しやすく口臭が気になることがあるからです。

細菌の検査というのは、細菌の数や種類を測ります。

歯周病がひどい方は口臭がきついとお話させていただきましたが、歯周病の方の口の中にはある種の菌がいるので、その菌がいるかどうか、菌の種類や数を調べるためにします。

ただ、どの歯科医院でも口臭検査をしているわけではないので、一度電話等で確認してから受診するのがベターです。

測定は基本的に自費治療になりますので、値段も医院によって変わりますから、そちらも確認してからが良いと思います。

舌の磨き方をマスターしてさわやかな口臭を目指そう

口臭の原因の6割を占めるとされる舌苔。

よりきれいにしたいからと舌を磨きすぎると、口臭を悪化させるだけでなく、味覚障害になってしまう可能性も否定できません。

歯周病などの問題で口臭がある場合もあるので、歯科医院でのプロケアと、舌のクリーナーを使ってのセルフケアで口臭を気にせずに快適に過ごしたいですね。

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