子どものブラッシング指導は一緒に楽しく!その手順とコツ

歯ブラシ 2019.09.23

子どもの歯も生え揃い、いよいよ歯磨きを始めようと思っても、思うように習慣づけることはなかなか簡単にはいきません。

ブラッシング指導のやり方もイマイチ分からず、どうしても自己流になってしまい、不安に思う方もいることでしょう。

この記事では、子どもが歯磨きを嫌がらず習慣化できるブラッシング指導の手順やコツ、注意点について詳しくまとめていきます。

ブラッシング指導の前に知っておこう!子どもの磨きはなぜ大切?

子どものブラッシング指導は、子どもの歯磨きを習慣化するための最初のステップであるゆえに、その手順も大切です。

歯磨きの習慣化がうまくできず、歯磨き嫌いな子どもに育ってしまっては、歯によって育まれる健康な身体にも影響を及ぼしかねません。

そこで、子どものブラッシング指導についてお話ししていく前に、なぜ歯磨きが子どもにとって重要なのかおさらいしておきましょう。

まず、子どもの乳歯も大人の永久歯も、歯が虫歯になるメカニズムは同じです。

簡単に言うと、虫歯菌(ミュータンス菌)が食べカスから歯垢を形成し、そこから酸を生産することで歯を溶かし、虫歯をつくっていきます。

では、なぜ子どもの乳歯のほうが虫歯になりやすいのでしょうか。

それは、乳歯は永久歯に比べるとエナメル質が薄く・やわらかく、酸へ対抗する力が弱い傾向にあるからです。

そのため、乳歯は一旦虫歯になってしまうと、短い期間で広範囲に広がりやすく、重篤になりやすい特徴があるのです。

また、子どもの虫歯は、子どもが健康に育つ上で様々な障害になる可能性があります。

それについて、次項で詳しく見ていきましょう。

乳歯の虫歯が及ぼす影響とは?

子どもの乳歯は、5歳を過ぎると下の前歯から順に抜けていき、6年間で全部の歯が永久歯に生え変わります。

そのため、「どうせ抜けて生え変わるから」と乳歯の虫歯を楽観視する方も少なくありませんが、実は乳歯の虫歯は将来的に生え変わる永久歯に害をもたらす原因になりかねません。

乳歯の直下には永久歯が待機しているという点を踏まえ、具体的な問題点を挙げていきましょう。

①永久歯の発育不全

虫歯が進行していくと、歯の根っこに細菌が感染し、その直下にある永久歯の発育が阻害されることがあります。

発育不全を起こした永久歯は、エナメル質が形成不全を起こし、白斑ができたり形に歪みが生じるなど、様々な影響が見られます。

②歯並びが悪くなる

虫歯で乳歯が失われると、空いたスペースに両隣の歯が倒れてきてしまい、永久歯の生えるスペースが確保できなくなってしまいます。

そうなると、永久歯はズレて生えるしかなく、最終的に歯並びにも影響してきます。

③顎の発育不全

乳歯が虫歯になると、痛みを避けようと左右の噛む力が偏り、顎の発育がアンバランスになります。

不正咬合が生じ、咀嚼機能が悪くなることで、矯正が必要になる場合も出てきます。

また、やわらかい食べ物を好むなど、偏食から身体の発育にまで影響が及ぶこともあります。

以上のように、乳歯の健康は子どもにとって非常に大切です。

したがって、歯磨きを習慣化するためのブラッシング指導を、手順良くしっかり行っていく必要があります。

ブラッシング指導の最初の手順!まずは歯磨きを慣れさせる

子どものブラッシング指導を行っていく最初の手順として、まずは「小さい頃から歯磨きを習慣づける、慣れさせる」ことが大切なポイントです。

子どもの乳歯は、おおむね生後6か月頃に前歯から順に生え始め、2~3歳頃に奥歯まで生え揃いますが、歯が生え始めた頃に、すでに歯磨きの習慣づけは始まっています。

「数本しか生えてないのに?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、生え始めの歯磨きはあくまでも習慣づけが目的であり、歯磨きの準備期間と言えます。

と言うのも、赤ちゃんにとって、口内はとても敏感な場所であるため、異物に触られることに慣れてもらうことが最初のステップです。

まずは、歯が生え始める生後6か月頃を目安に、ガーゼやウェットティッシュで口内を拭いていきましょう。

「磨く」というよりも、「口内を慣らしていく」ことを意識してみてください。

また、歯の生え始めは歯茎に痛みやムズ痒さを感じ、歯ぐずりをする時期でもあるため、ガーゼなどで歯茎をマッサージすることもおすすめです。

そして、生後10か月を過ぎて離乳食を口にする時期、もしくは上の前歯が生え始めたタイミングで、赤ちゃん用の歯ブラシに移行していきます。

子どもに本格的なブラッシング指導を行うのは、乳歯列が完成する2~3歳頃ですが、ここから「自分で磨きたい」という自発的な気持ちを育てていくことが大切です。

ひとり磨きのブラッシング指導!手順とポイントは?

いざ本格的なブラッシング指導をスタートしたら、いよいよ歯ブラシを持たせて、ひとり磨きの練習をしていきます。

ただ、ひとり磨きといっても、ただ一人でやらせるのではなく、大人が磨いているところを見せながら、子どもに真似させます。

始めはうまく磨けませんが、とやかく手出しをせずに、まずは本人の自発的なやる気を尊重しながら一緒に歯磨きをすることが大切です。

では、ひとり磨きの大まかな手順について詳しく見ていきましょう。

まず、歯を磨く順番は、虫歯になりやすい下の奥歯の噛み合わせからスタートするのが良いでしょう。

咬合部から歯の表側、磨きにくい裏側と磨いていき、反対側の奥歯も同じ手順で磨いていきます。

そして、上の左右の奥歯を磨き、上下の前歯に移行していきます。

子どもが歯磨きをする際は、歯ブラシを咥えたまま歩き回ったりしないように、必ずイスに座らせ、子どもから目を離さないようにしましょう。

また、ぶくぶくうがいができない間は、歯磨き粉を使わないか、すすぎ不要の歯磨きジェルを使うのがおすすめです。

一般的に、ぶくぶくうがいは3~4歳にできるようになるので、ひとり磨きを始めたタイミングで練習していきましょう。

仕上げ磨きの手順と注意点!子どもが嫌がらない歯磨きを

前項では、ひとり磨きのブラッシング指導の手順を見てきましたが、当然、まだ歯磨きの練習段階なので、大人が必ず仕上げ磨きを行います。

そのため、「本人磨き用」の歯ブラシとは別に、「仕上げ磨き用」の歯ブラシを用意しておきましょう。

まず、仕上げ磨きは、口の中が見やすい「寝かせ磨き」の姿勢で行います。

膝の上に子どもの頭を乗せ、お腹や脇で固定してあげると安全です。

仕上げ磨きのポイントは、虫歯になりやすい「奥歯の噛み合わせ」と「上の前歯」をしっかり磨き上げること、そして、楽しみながらスピーディに終わらせることです。

また、仕上げ磨きのやり方次第では、子どもが歯磨き嫌いになる原因にもなりえるため、以下の2つのポイントを押さえておきましょう。

①上前歯の上唇小帯(じょうしんしょうたい)に注意

「上唇小帯」とは、上唇と上前歯の歯茎をつなぐスジで、歯ブラシが当たると子どもは痛がります。

上前歯を磨く際は、上唇を持ち上げて、上唇小帯を指で軽く押さえながら、歯ブラシとの接触を防ぎましょう

②無理やり押さえつけない

強い力で無理やり押さえつけてしまうと、子どもは「歯磨き=痛くて楽しくないもの」と認識してしまいます。

仕上げ磨きはコミュニケーションの一環となるよう、歌を歌うなどして楽しく行いましょう。

歯磨きに楽しく誘導!嫌がる子どもの対処方法

これまでに、ブラッシング指導の手順やポイント、注意点について詳しくお話ししてきました。

しかし、なかなか歯磨きをしてくれない・嫌がる子どもも多く、ブラッシング指導が思うように進まない家庭もあることでしょう。

苦戦すればするほど、大人は焦ってイライラしてしまいますし、余計に子どもは歯磨きを嫌がるようになります。

そこで、まずは「歯磨き=楽しい」という認識を持ってもらえるように、歯磨きに遊びの要素を取り入れることがおすすめされます。

・お気に入りのぬいぐるみで誘導する
・歯磨きの歌を歌う
・子供向けの歯磨き動画を見せる
・歯磨きを題材とした絵本を取り入れる

また、歯ブラシを子どもが好きなキャラクターものにすると、歯磨き意欲の手助けになるでしょう。

そして、歯磨きができたら子どもを褒めることも忘れてはいけません。

自発的な歯磨きにつながるように、大人が子どもをうまく誘導していきましょう。

歯磨きをコツコツ重ねて習慣づけよう

子どもの歯は、一旦虫歯になると進行が早く、あっという間に重篤化してしまいます。

これから生える永久歯だけでなく、顎の発育や栄養の偏りにまでつながるため、歯磨きは子どもの成長に決して欠かかすことはできません。

ブラッシング指導はなかなかうまくいかないこともありますが、毎日の歯磨きを積み重ねて、まずは子どもの歯磨きを習慣づけていきましょう。

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