歯磨きにかける時間はどのくらいが理想?歯の健康を守ろう

虫歯予防 2019.09.12

毎日習慣的に行う歯磨きに、どのくらいの時間を充てていますか。

少しでも歯の汚れを落とせるように、できれば長い時間を確保して磨きたいと思っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、実は長時間の歯磨きは思わぬ口腔トラブルに繋がることがあります。

この記事では、一回の歯磨きにかける理想的な時間を始め、歯磨きのタイミングや効果的な方法など詳しくお話していきます。

歯磨きにかける理想的な時間は?歯磨きが歯を守る仕組み

歯磨きは虫歯・歯周病予防のための大切なオーラルケアです。

だからこそ、一回の歯磨き時間をしっかり確保し、より丁寧に磨きたいと思う方もいれば、なんとなく長い時間歯磨きを行っている方もいることでしょう。

しかし、冒頭でお伝えしたように、長時間の歯磨きはかえって口腔内に悪影響を及ぼすケースもあるため、理想的な歯磨き時間を知っておくことが大切です。

それを知るために、まずは、歯磨きが私たちの歯を守る仕組みからおさらいしておきましょう。

歯磨きが歯をきれいにすることは誰でも分かりますが、具体的には歯の表面や歯茎、舌に付着する歯垢(プラーク)を取り除く目的があります。

プラークとは、数億もの細菌が集まったかたまりで、舌で触るとネバネバしたりざらざらとした不快感があります。

歯磨きを怠って放置することで、増殖した細菌は虫歯や歯周病などの口腔トラブルに発展していきます。

また、水に溶けにくく粘着性のあるプラークは、口をゆすぐ程度では落とすことができないため、食後の歯磨きでできるだけプラークを取り除くことが大切です。

一回の歯磨きにどのくらいの時間が必要?理想的な目安は?

では、口腔トラブルの原因となるプラークを取り除くのに、歯磨きはどのくらいの時間をかけるのが理想的なのでしょうか。

結論から言うと、一般的に推奨されている歯磨き時間の目安は3分間です。

3分間というと、徹底的に磨きたい方には少し短く感じる長さかもしれませんし、忙しい方には長く感じる時間かもしれませんが、大切なのは時間ではなく「質」ということです。

例えば、1993年に行われた「歯磨きの時間とプラークの落ち具合」に関する実験では、ある程度きれいになる一定水準までプラークを取り除くのに、3分間程度の時間が必要になることが分かっています。

また、一定水準まで汚れを落とし、その後さらに時間をかけて歯を磨いても、それ以上に大きな変化は望めないことも分かっています。

つまり、およそ3分間が一定水準まで汚れを落とすのに必要な時間であり、歯磨きの理想的な時間と言えます。

ただし、オーラルケアをより効果的にする歯間ブラシやフロスの時間を含めると、おおよそ10分以内になると考えることができます。

長時間の歯磨きは思わぬ口腔トラブルに!

一回の歯磨きにかける理想的な時間についてお話してきましたが、前述したように、長時間の歯磨きは口腔トラブルに繋がる可能性があるということも忘れてはいけません。

と言うのも、長時間徹底して歯を磨く方の特徴としては、きれいにしたいがために、ゴシゴシと強く磨くケースが多く見られます。

もともと歯の構造は、表面の「エナメル質」、その内側で歯を形作る「象牙質」、神経が集まる「歯髄」の3つから成り立っています。

私たちが普段磨いているエナメル質は、体の中で最も硬い組織であり、歯を堅固に守る役割があるため、少しのことでは傷つかないイメージもあるかもしれません。

しかし、毎日の歯磨きを強い力で、かつ長時間行うことで、エナメル質は傷ついて摩耗されていきます。

エナメル質が摩耗された結果、内側の象牙質がむき出しになり、歯がしみるなどの口腔トラブルに繋がってしまうわけです。

さらに、ゴシゴシと強い力で歯を磨いてしまうと、歯だけではなく、歯肉を傷めてしまう場合もあります。

したがって、歯磨きは長くとも10~15分以内に留め、力加減に注意しながらプラークを取り除けるようにしましょう。

歯磨きの理想のタイミングは?食後すぐor時間を空ける?

では、次に着目していくのは歯磨きの理想のタイミングです。

巷では、「食後時間を空けて歯を磨いたほうが良い」という話も耳にすることもあり、食後すぐに歯を磨くことに躊躇する方もいるのではないでしょうか。

結論から言うと、一般的には食後すぐに歯を磨くことがおすすめです。

その理由としては、食後時間を置いてしまうと、口内の常在菌であるミュータンス菌(虫歯菌)が、食べカスに含まれる糖から酸をつくり、エナメル質を溶かし始めてしまうからです。

つまり、虫歯菌が酸をつくり始める前に、歯磨きで汚れを取り除くことが重要と言えます。

ではなぜ、「食後は時間を空けて歯を磨く」という話があるのでしょうか。

それは、食後の口内が酸性に傾くことが関係しています。

もともと、私たちの口内は弱酸性に保たれていますが、糖分が多く含まれる食事をすると酸性に傾きます。

酸性に傾いた口内は、虫歯菌が活動しやすい環境ですが、唾液によって元の弱酸性に戻されます。

つまり、弱酸性に戻るまでの間、酸性の状態のまま歯磨きをすると歯を傷めるのではないか、という先走った考え方が、「食後は時間を空けて歯を磨く」ことに繋がったというわけです。

しかし、口内が酸性の状態で歯を磨いたとしても、よほど強い力で磨かない限りは歯を傷つける心配はないと言えますし、それよりも食べカスを口内に放置しているほうが懸念されます。

したがって、食後はできるだけ早めに歯磨きをして、食べカスを取り除くようにしましょう。

一日の中で一番大切!夕食後は歯磨き時間の確保を

前項では、歯磨きの理想のタイミングについてお話してきましたが、とくに徹底して行いたいのは夕食後の就寝前です。

前述したように、食後の酸性に傾いた口内は、唾液によって弱酸性に戻されます。

また、唾液には自浄・抗菌作用も備わっているため、口内環境を清潔に保とうとする役割もあります。

しかし、身体を休めている睡眠中は、唾液の分泌量が大きく低下し、ほとんど分泌されません。

これはつまり、睡眠中の口内が無防備になることを意味し、それだけ細菌にとって活発に動きやすい環境と言えます。

このような理由から、夕食後の歯磨きは非常に重要な立ち位置であり、一日の中で最も欠かせないタイミングであることが分かります。

仕事で忙しく疲れていても、3分の時間を確保することは難しくありません。

遅くとも寝る前にはできる限り歯磨きをして、口内を清潔に保つよう心がけましょう。

磨き残しをきれいに除去!補助道具で汚れをカバー

これまでに、歯磨きに充てる理想的な時間やタイミングについて詳しくお話してきました。

歯磨きはできるだけ食後すぐ、3分の間に徹底して行うことが大切であることが分かりましたが、歯と歯の間の汚れは取り除くことができません。

しっかり歯磨きができたと思っても、磨き残しやすい歯間に虫歯ができてしまうことも多いため、歯磨き以外の補助道具を活用することが推奨されています。

前に少し触れましたが、歯間部のオーラルケア用品としては、デンタルフロスと歯間ブラシが挙げられます。

・デンタルフロス

持ち手の付いたホルダータイプで、糸ようじによって歯間のプラークを取り除いていきます。

ノコギリをひくように動かしますが、頑固にやると歯肉を傷つける恐れがあるため、力加減には注意が必要です。

・歯間ブラシ

先端の細長いブラシによって、歯間の汚れを取り除きます。

歯間の大きさをよく把握した上で、歯間ブラシのサイズを選びましょう。

歯磨き後にこれらを併用することで、プラークの除去率がおよそ30%上がることが分かっており、約90%の汚れを落とすことが期待できます。

ただ長時間歯磨きをするのであれば、3分間歯磨きをした後、これらの補助道具に時間をかけることをおすすめします。

歯磨きは時間よりも内容が大切

歯磨きは、ただ時間をかければ良いというものではありません。

虫歯を予防するための歯磨きであり、その原因となるプラークをしっかり取り除くことが大切です。

普段なんとなく歯磨きをしていた方も、この記事を参考にオーラルケアを見直してみてください。

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