歯磨きをしない子供はどう対処する?楽しむ工夫から習慣に
虫歯予防 2019.09.08子供が歯磨きをしない!まずは歯磨きの必要性を親が知っておく
子供は3歳にもなると乳歯列が完成し、5歳からは毎食後の歯磨きをするようになります。
しかし、仕上げ磨きを嫌がったり、歯磨きをなかなかしないなど、日々の歯磨きがスムーズにいかないことも多々あります。
また、親が必死になればなるほど子供が歯磨き嫌いになることもあり、どのようにしたら子供が歯磨きをしてくれるのか悩む方も多いでしょう。
歯磨き嫌いな子供への対処法を知る前に、そもそも子供はなぜ虫歯になりやすいのか、歯磨きが子供にとってなぜ必要なのか、親はしっかり知っておく必要があります。
実は、もともと生まれたての赤ちゃんの口内には、虫歯菌となるミュータンス菌が存在しません。
では、なぜ子供が虫歯になってしまうのかというと、それは母親などの身近な大人による母子感染にあります。
例えば、親のキスによる愛情表現や、食事でスプーンや箸を共有することにより、親から子供へミュータンス菌が移っていきます。
特に、乳歯が生えてくる1~2歳は、ミュータンス菌に感染しやすい時期とも言えるため、離乳食がスタートする生後6か月くらいから歯磨きを徐々に慣れさせていく必要があります。
そのため、まずは親が子供の歯をしっかりと把握し、管理することが大切です。
なぜ子供は虫歯になりやすいの?乳歯の特徴とは
では、ミュータンス菌が移った子供の口内では、どのようにして虫歯になっていくのでしょうか。
まず、ミュータンス菌は、食後の食べカスに含まれる糖分をエサにすることで、歯の表面や舌に歯垢(プラーク)を形成していきます。
プラークは数億もの細菌が集まったかたまりで、ネバネバとした形状で歯の表面に付着します。
これを歯磨きをしないで放置すると、ミュータンス菌は糖分から「酸」をつくりだし、歯の表面となるエナメル質を溶かして虫歯をつくっていきます。
特に、乳歯の特徴として、永久歯に比べるとエナメル質が薄く、酸に対する抵抗力が弱い点が挙げられます。
そのため、虫歯の進行が大人よりも早く、短い期間で重篤になりやすい傾向があります。
さらに、乳歯の虫歯は、今後生えてくる永久歯の歯並びにも影響してきます。
「どうせ抜けるのになぜ?」と思うかもしれませんが、虫歯になると、痛みを伴うことで咬合(噛み合わせ)が悪くなり、柔らかい食べ物ばかりに偏るようになります。
その結果、顎がうまく発達せず、永久歯の並ぶスペースが確保できなくなってしまうのです。
これらのことを考えると、子供にとって歯磨きがどれだけ大切なことかが分かりますね。
子供が歯磨きをしない・嫌がる理由を探ろう
これまでに、子供が虫歯になりやすい理由や歯磨きの必要性を詳しくお話してきました。
歯磨きの大切さを改めて知った今、歯磨きをしない子供を見過ごすわけにはいきません。
しかし、一旦子供が歯磨きを嫌と感じた場合、無理やり歯磨きをさせてしまうと、さらに歯磨きに対する嫌悪感や拒絶が強まります。
まずは、そもそもなぜ子供が歯磨きを嫌がるのか、その理由を探る必要があります。
歯磨きを嫌がる理由は子供にもよりますが、主な理由としては以下が挙げられます。
・歯ブラシに慣れない
大人にとっては当たり前の歯ブラシでも、子供にとっては感じたことのない違和感を覚えるものです。
敏感な口内に異物が触れることを不快に感じたり、気持ち悪く感じることがあります。
・親が怖い、押さえつけられる
嫌がる子供を無理やり羽交い絞めにしたり、強い力で押さえつけることで、「歯磨き=痛い、楽しくない」というイメージがついてしまいます。
上記の理由は、親の心がけや歯磨きのやり方を工夫をすることで改善することができます。
それについて、次項で詳しく見ていきましょう。
歯磨きをしない子供を遊びで誘導!歯磨きに楽しみをプラスして
まず、歯磨きをしない・嫌がる子供には、「歯磨き=楽しい」という認識を持ってもらうことが大切です。
親が起こったりイライラしている歯磨きを、子供が楽しいと思えるはずがありませんよね。
そのため、まずは遊びの要素をプラスして歯磨きを楽しむ必要があります。
例えば、お気に入りのぬいぐるみを使って誘導する方法や、歯磨きの歌を歌いながら歯磨きをする方法があります。
また、スマートフォンなどで楽しい歯磨き動画を見せてあげると、子供もその気になってくれます。
現在では、子供向けの歯磨き動画が豊富にあり、簡単に探すことができるので活用してみましょう。
そして、歯磨きがうまくできたらたくさん褒めてあげることも大切です。
「歯磨きをしたら褒めてもらえる」と分かれば、次の歯磨きに繋がるステップになるはずです。
歯磨きを通して、親子で楽しいコミュニケーションができれば、歯磨きの習慣がついていくでしょう。
歯ブラシ・歯磨き粉選びも大切!子どもに合わせた選び方を
歯磨きに楽しめる遊びをプラスすることに加え、歯ブラシや歯磨き粉選びもチェックしたいポイントです。
自分が実際に使う歯磨きセットを、親と一緒に目で見て選ぶことで歯磨きに対する気持ちも変わってきます。
【歯ブラシ選び】
「歯磨き=怖い」と認識している子供には、無機質な無地の歯ブラシよりも、お気に入りのキャラクター歯ブラシを選ぶことがおすすめです。
好きなキャラクターと一緒に歯磨きができるように、歯磨きをしない子供をうまく誘導してみましょう。
また、歯ブラシの毛先は柔らかいタイプを選ぶこともポイントです。
と言うのも、毛先が固いタイプの場合、口内に触れるブラシをより敏感に感じてしまいます。
柔らかい歯ブラシであれば、口内の不快感を和らげることができます。
【歯磨き粉選び】
フレーバーが豊富な歯磨き粉は、一緒に選ぶのも楽しく、歯磨きを前向きにしてくれます。
定番のイチゴやメロン、バナナなどを始め、最近ではコーラ味やソーダ味なども販売されているので、好きな味を使うのが良いでしょう。
また、いくつか種類を揃えておくことで、子供も飽きずに楽しむことができます。
仕上げ磨きのポイントを押さえよう
歯磨きをしない・嫌がる子供の対処法について詳しくご紹介してきましたが、遊びを取り入れることで肝心の歯磨きが疎かになっては意味がありません。
子供はまだうまく歯を磨くことができないため、大人がポイントをしっかり押さえて磨いてあげることが大切です。
【仕上げ磨きの姿勢】
子供の頭を膝の上に寝かせると、歯全体を確認しやすいです。
歯磨き粉を使うようになったら、飲み込み防止のために立たせて歯磨きをしてあげましょう。
【磨く際のポイント】
特に念入りに磨くべき場所は、虫歯になりやすい「奥歯の上下4か所」と「上の前歯」です。
歯ブラシの毛先を歯に対して垂直にあて、微振動させて1本1本丁寧に磨いていきます。
力加減に注意し、毛先が広がらない程度で軽快に動かしていきましょう。
また、歯磨き時間は最低でも3分を目安にしてください。
【歯磨きのタイミング】
毎食後するのが難しい場合は、夕食後に徹底して行うのが良いでしょう。
と言うのも、睡眠中は、自浄・抗菌作用のある唾液の量が減るため、虫歯菌も活発に動きやすい時間帯だからです。
以上のポイントをしっかり押さえ、より効果的な仕上げ磨きを目指してくださいね。
歯磨きの時間を楽しもう
子供に無理やり歯磨きをさせてしまうと、子供はますます歯磨き嫌いになってしまい、歯磨きの習慣から遠のく一方です。
まずは、子供がなぜ歯磨きを嫌がるのか、その理由を探って取り除く工夫をすることが大切です。
毎日の歯磨きが苦にならず、親子で一緒に楽しむことができれば、歯磨きの習慣は必ず身に付くでしょう。