歯石が付くと歯茎が下がる!?原因を知って予防しよう!
歯茎ケア 2019.04.23歯茎が下がる原因の歯石とは
歯石とは、歯垢(しこう)がだ液によって固まったものです。
歯垢とは、口の中にいる細菌の固まりです。
歯の表面や、歯と歯茎の境目などに付着し、ねばねばとした粘着性なので、歯ブラシなどでこすらなければ取れません。
その歯垢が、だ液によって固まって歯石になり、歯ブラシでは取れなくなってしまいます。
歯石には、縁上(えんじょう)歯石と縁下(えんか)歯石の2種類があり、それぞれ特徴が違います。
縁上歯石は歯茎の外側、目で見える歯の部分に付着する歯石で、白黄色をしています。
一方、縁下歯石は、目では見えない歯茎の中(歯周ポケット内)に付着する歯石で、黒褐色をしています。
どちらの歯石にもたくさんの細菌がおり、そのままにしておくと、歯茎が下がるという結果になってしまうのです。
では、なぜ歯石を放置すると歯茎が下がるのか、原因は歯茎の炎症にあるのです。
その原因を探っていきましょう。
歯石で歯茎が下がる!?原因は歯茎の炎症
歯石によって歯茎が下がる原因の一つに、歯肉炎という歯茎の病気があります。
歯肉炎とは歯と歯茎の隙間に歯垢や歯石が溜まることにより、歯茎が炎症を起こした状態です。
では、歯茎の炎症とは何なのでしょう。
健康的な歯茎の色は、サーモンピンクのように綺麗な色をしています。
一方、炎症が起こっている歯茎の色は、真っ赤にただれたような色をしていたり、赤黒かったり、赤紫色だったりします。
なぜピンク色の歯茎がそのような色になってしまうのかというと、歯茎にはたくさんの毛細血管があり、歯垢や歯石の中にいる細菌が出す毒素によって、その毛細血管が膨張します。
分かりやすく言うと、血が溜まっているような状態です。
そのような状態なので、歯ブラシなどで刺激をするとすぐに出血してしまうのです。
歯肉炎は、歯石を取ってきちんと歯磨きを行えばすぐに改善に向かいます。
歯肉炎が治ると、ぶよぶよに腫れていた歯茎が引き締まり、元の状態に戻るので歯茎が下がったように見えます。
歯肉炎の場合は、歯石によって歯茎が下がったのではなく、健康的に引き締まり、元に戻ったということになります。
しかし、歯肉炎を放置して病状が進行すると元の歯茎には戻れなくなることがあります。
次は歯肉炎が進行してしまった場合のお話をさせて頂きます。
歯石を放置すると歯茎が下がる!?原因は歯周炎!?
歯石によって歯茎が下がる原因の一つに、歯周炎という歯茎の病気があります。
歯周炎とは、先程ご説明した歯肉炎が進行し、歯石の中にいる細菌が、歯槽骨(歯を支える顎の骨)を溶かしてしまっている状態です。
歯、歯茎、歯槽骨には、歯と歯茎の境目から歯茎の中約3mm下に歯槽骨が存在するという、生物学的幅径(せいぶつがくてきふくけい)=バイオロジックウィズと呼ばれるそれぞれの関係性があります。
歯周炎によって歯槽骨が溶けてしまうと、歯茎が歯槽骨の方へ引っ張られて行き、歯茎が下がるという状態になるのです。
この場合、溶けてしまった歯槽骨は外科的な手術などをしても完全に元に戻すことは難しいので、下がってしまった歯茎も元には戻りません。
歯周病が進行していくと、歯茎が下がるだけではなく、だんだん歯がぐらぐらとして、最終的には歯が抜けてしまいます。
歯石が原因の歯周炎で歯茎が下がってしまう前に、歯石を取っておきたいものですね。
歯石の大きさも関係
歯茎の炎症によって歯茎が下がるのはご理解いただけたと思いますが、その他にも、歯石の重みによって歯茎が下がる場合もあります。
歯石は、始めにご説明したように、歯垢が固まったものです。
本来歯磨きで取り除くことが出来る歯垢は、徐々に固まり、歯ブラシなど自分では取れないほど強固な歯石になるのです。
歯石の表面はザラザラとしており、その歯石にまた歯垢が付着して固まって、少しずつ大きくなっていきます。
大きくなった歯石が歯茎の上に乗っかるような位置にあった場合、その下の歯茎は自然と押し潰される形になります。
そのため、本来の位置よりも歯茎が下がってしまいますが、歯石を除去し、歯周病になっていなければ、元の位置に戻ります。
ただし、歯並びが原因で元に戻らない場合も稀にあります。
歯石の表面には、着色と言って、たばこのヤニやお茶やコーヒーの色素も付着します。
そのため、本来白黄色の縁上歯石が茶色や黒色になることもあります。
歯石の上に着色が付着し、その上にまた歯石が付着するという悪循環にならないようにしたいものです。
では、歯石が付くのを防ぐために出来ることは何なのか、考えてみましょう。
歯石で歯茎が下がる前に自宅でできる事
歯石が付かないようにするためには、何よりも歯磨きでとれるうちに、歯垢をきちんと除去しておくことです。
歯の表面、歯と歯の間、歯と歯茎の境目を丁寧にブラッシングし、歯ブラシだけではなく、デンタルフロスや歯間ブラシ、ワンタフトブラシなど補助器具を使用することも重要です。
歯茎の炎症が起こると、歯磨きなどの刺激で出血することはご説明させていただきましたが、血が出るから磨くのをやめよう、というのは間違いです。
むしろ磨かなければ、歯垢はどんどん固まり歯石になってしまいます。
出血だけではなく痛みを伴う場合は、柔らかめの歯ブラシに変えてブラッシングしましょう。
一方で「歯磨きで出る血は悪い血だから、出なくなるまで磨く」というのも間違いです。
ゴシゴシ強く磨いて出血させたところで、歯茎を傷つけてしまい、痛くて歯磨きが出来ないという状況になってしまいます。
歯ブラシは大きく動かさず、細かくリズミカルに動かします。
歯ブラシで全体的な歯垢や食べかすを除去してから、デンタルフロスなどの補助器具で細かい部分の歯垢を除去していきましょう。
その際、出血してもゆすぐと止まります。
きちんと歯磨きをして、歯石のせいで歯茎が下がるのを防ぎましょう。
歯石になってしまったら!歯石を除去する方法
歯垢が歯石に変わってしまったらもう歯磨きでは取ることはできません。
しかし、歯石になってしまったからもう遅いということはなく、きちんと歯医者さんへ行き、歯と歯茎のクリーニングをすれば、歯茎が下がることなく健康的な歯茎を取り戻せます。
すでに歯茎が下がり始めていても、それ以上下がらないようにすることが可能です。
歯茎が下がると、歯が伸びたように見えて顔の印象が変わったり、歯の根っこが見えてきて知覚過敏が出たりと様々な症状が出てきてしまいます。
自宅で歯石を除去できる器具なども売っていますが、専門家でないと、歯や歯茎を傷つけてしまったり、歯石を取り残してさらに歯垢が付きやすくなってしまったりというようなことが起こりやすくなってしまいます。
歯石になってしまったら、自分でどうにかしようとせず、歯医者に行くことをお勧めします。
歯磨きをして歯茎が下がるのを予防しよう!
きちんと歯磨きをしていても、苦手な部分や、磨き癖によって、磨き残しが出て歯石になってしまったり、歯と歯茎の境目の歯周ポケットの中に歯石が付着してしまうことがあります。
お口の中を隅々まで自分で確認することはとても難しいので、歯石のせいで歯茎が下がらないように、定期的に歯医者さんへ行き、歯茎の検査をしたり、クリーニングを受けたりして、健康な歯茎を手に入れましょう。