唾液分泌量が減るとやばい!?唾液が持つ驚異のメカニズム

口臭 2018.10.13

普段は、あまり気にしないことかもしれませんが、ちゃんと唾液出てますか?

唾液の分泌量が少なくなると、とても困ったことになるかもしれません。

実は唾液は健康を保つ驚きのメカニズムを持っています。

ここでは唾液が持つ役割やそのメカニズムについてご紹介していきます。

唾液が分泌されるメカニズム

唾液は、唾液腺から分泌されます。

唾液腺には、耳下腺(じかせん)、顎下腺(がっかせん)、舌下腺(ぜっかせん)などがあり、唾液腺によって、分泌される唾液の特徴は異なります。

そして、唾液腺は自律神経による影響を受けており、交感神経が活発なときと、副交感神経が活発なときで働き方が変わります。

どのように変わるかというと、副交感神経が活発なときは唾液の分泌が促され、分泌される唾液は水分量の多いサラサラとしたものになります。

反対に交感神経が活発なときには唾液の分泌は抑制され、分泌される唾液は水分量が少なく粘度が高いものになります。

なお、それぞれの唾液の特徴については後述します。

また、食べ物が口に入ったときや食べ物を噛んだとき、舌や口腔粘膜が刺激されます。

これによる刺激が唾液分泌中枢に伝わると、唾液の分泌が促されます。

こうして分泌される唾液は、「反射唾液」もしくは、「刺激時唾液」などと呼ばれます。

最も唾液が分泌されるメカニズムは、この「反射唾液」のメカニズムです。

一方で、刺激を受けていないときにも唾液は分泌されています。

こちらは、「固有唾液」または、「非刺激時唾液」などともと呼ばれます。

唾液の働き

唾液にはさまざまな働きがあり、どれも人間にはなくてはならないものです。

主な唾液の役割は以下の通りです。

1、食べ物の消化を助ける

唾液にはデンプンを分解する消化酵素が含まれており、食べ物の消化を助ける働きをします。

2、細菌などから口の中を守る

唾液には殺菌作用があり、細菌の活動を抑制することで、口の中の健康を保っています。

唾液分泌が少ないと、虫歯や歯周病などのリスクが高まります。

3、食べ物の味を感じやすくする

舌で味を感じるとき、食べ物の味の成分が唾液に溶けることでそれを感じることができます。

唾液が少ないと、味を感じにくくなります。

4、食べ物を飲み込むのを助ける

食べ物を飲み込む際、乾燥したままでは飲み込みづらいですが、唾液が分泌されることで食べ物を湿らせ、飲み込みやすくなります。

5、歯の修復をする

唾液は、再石灰化という働きによって、歯の表面の修復をしています。

こちらのメカニズムについては後述しますが、これにより虫歯を予防しています。

6、酸を中和して、口の中を中性に保つ

これは緩衝作用と言われます。

こちらのメカニズムも後述しますが、この作用と再石灰化によって健康な歯は保たれています。

唾液の成分

唾液の主な成分は水ですが、ほかにもさまざまな成分が含まれています。

一般に唾液は99.5%が水で、残りがナトリウムやカルシウムなどの無機物と酵素やタンパク質などの有機物です。

これらのさまざまな成分を持つことで、唾液にはさまざまな役割があるのです。

また、先述した通り、実は唾液には種類があり、その違いから二つに分けられます。

サラサラとした唾液は「漿液性唾液(しょうえきせいだえき)」と呼ばれます。

漿液性唾液は、主に耳下腺から分泌される唾液で、副交感神経が働くことで分泌されます。

水分や消化酵素などを多く含み、サラサラとしています。

その役割は、食べ物を飲み込みやすくしたり、食べ物の消化を助けたりすることです。

一方、粘度が高く、ネバネバとしている唾液は「粘液性唾液(ねんえきせいだえき)」と呼ばれます。

粘液性唾液は、主に舌下腺から分泌される唾液で、交感神経が働くことで分泌されます。

水分は少なめで、ムチンなどを多く含むことからネバネバとしています。

こちらの役割は、粘膜を保護したり、細菌などを絡め取り体内に侵入することを防いだりすることだと言われます。

ちなみに、先に述べた唾液腺のうち、顎下腺が出てきていませんが、顎下腺は両方の唾液を分泌します。

さて、唾液について少し詳しくなれたところで、次の項からは先ほど省略した二つのメカニズムについてお伝えしていきます。

唾液分泌による再石灰化のメカニズム

唾液には再石灰化という働きがあり、虫歯を予防するのに一役買っています。

通常、歯の表面はエナメル質に覆われています。

歯が酸に晒されると、脱灰といって歯の表面のエナメル質が溶け、初期の虫歯状態になります。

再石灰化とは、この溶けてしまったエナメル質を修復し、元に戻すことです。

歯のエナメル質の主成分は「ハイドロキシアパタイト」というミネラルなのですが、唾液にはこのミネラルが多く含まれています。

唾液は、初期虫歯にこのミネラルを補給することで、初期虫歯を修復してくれます。

私達の口の中ではこの脱灰と再石灰化が毎日繰り返されているのです。

虫歯とは、この再石灰化のメカニズムが追いつかないほどに脱灰が進んでしまい、歯に穴が空いてしまった状態のことだと言われています。

そのため、再石灰化を促進するためには、十分な量の唾液が分泌される必要があると言えるでしょう。

また、フッ素は再石灰化を促進させることから、フッ素が入った歯磨き粉などを使うと虫歯の予防に繋がります。

唾液が持つ緩衝作用のメカニズム

普段、口の中は中性に近い状態に保たれています。

ところが、食事を摂った後の口の中は酸性に傾きます。

酸に晒され続けると、歯は溶け出して虫歯になってしまいます。

しかし、唾液には口の中の酸を中和して、中性に戻す働きがあります。

この働きは、緩衝作用と呼ばれます。

そのメカニズムは、重炭酸イオンによって、酸を中和するものだと言われています。

この重炭酸イオンの濃度は唾液の分泌量によって変動し、唾液分泌量が多くなると緩衝作用が大きくなります。

また、これは先述の再石灰化とも関わりがあり、再石灰化が行われるためには、緩衝作用によって口の中が中性に戻る必要があります。

唾液がしっかり分泌されることは、虫歯を防ぎ、口内の健康を保つ上でもとても重要なのです。

ところで、、唾液の分泌量が少なくなった場合、どのような原因があるのでしょうか。

最後は唾液の分泌量が少なくなったときの原因とその対処について考えます。

唾液の分泌量が少なくなった?そんなときはどうする?

年齢や性別などによって個人差はありますが、唾液は一日あたり、およそ1リットルから1.5リットルほど分泌されると言われます。

唾液の分泌量が少ないと、虫歯になりやすくなったり、食べ物を飲み込みにくかったりと、さまざまな悪影響があります。

唾液の分泌量は、さまざまなものに影響され、減ってしまうことがあります。

たとえば、加齢によって唾液の分泌量は減っていきます。

また、喫煙をしたりすると唾液の分泌量は少なくなります。

ほかにも、ストレスや薬の副作用でも唾液の分泌量が少なくなります。

このように、唾液の分泌量が少なくなるのには、さまざまな原因が考えられます。

これらはそれぞれが原因として関係し合い、複雑に関わっている場合もあるため、もしも唾液の分泌量が減っていることが気になったら医師に相談するようにしましょう。

それから、自分でもできる対処もしてみましょう。

たとえば、反射唾液が分泌されるメカニズムに則って、食事の際に酸味などの刺激が強めのものを用意してはどうでしょう。

または、ガムなどを噛むことで唾液の分泌を促すのも有効です。

唾液は実はすごいやつ

普段は意識していないかもしれませんが、唾液には体にとってさまざまな役割があり、とても重要なものです。

それだけに、唾液の分泌が少ないことで起きる悪影響もさまざまで、決して小さくないということがお分かりいただけたかと思います。

もしも唾液が少なかったり減ってきていると思ったら、まずは医師に相談するようにしましょう。

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