唾液の酵素がでんぷんを分解する仕組みを詳しく解説!
口臭 2019.07.27そもそもでんぷんって何?
でんぷんとは、300個以上ものブドウ糖が長い鎖を作るようにして結びついている物質です。
300以上ものブドウ糖が結びついたでんぷんのままでは、大きすぎて体内に栄養素として吸収することができません。
その為、でんぷんをよく噛んで唾液の酵素を混ぜ込み、でんぷんをより細かく分解する必要があります。
でんぷんを分解する酵素はアミラーゼとマルターゼの2種類存在しており、アミラーゼはでんぷんをデキストリン、麦芽糖にまで分解し、マルターゼは麦芽糖をブドウ糖までに分解します。
このブドウ糖にまで分解されて初めて腸の壁から吸収できるようになります。
ごはんをただ飲み込むだけでは栄養素として吸収しづらいばかりか、消化器官に負担をかけてしまいます。
次の章ではアミラーゼやマルターゼがどのように働いているのかを詳しくご説明します。
でんぷんを分解する唾液の酵素
まずはでんぷんをデキストリンや麦芽糖にまで分解するアミラーゼという酵素からご説明します。
アミラーゼは鎖のようにつながっている分子の結び目を切って分解します。
この切り方には次の2種類の方法があります。
(1)細長い鎖をでたらめに切っていく方法
(2)鎖の端から一定の間隔で切っていく方法
(1)の方法で切っていった場合、切られた後もブドウ糖が3個以上繋がっています。
この3個以上のブドウ糖が繋がっている状態の物質はデキストリンと呼ばれており、でんぷんよりは細かいものの、そのままでは体内に吸収できません。
(1)の方法を使用するアミラーゼはαアミラーゼと呼ばれており、唾液とすい臓から分泌されるすい液の中に含まれています。
αアミラーゼはアミラドセ、プチアリンとも呼ばれております。
(2)の方法で切っていった場合、2個のでんぷんが繋がった状態で切り離されます。
このブドウ糖が2つ繋がっている物質は麦芽糖と呼ばれております。
(2)の方法を使用するアミラーゼはβアミラーゼと呼ばれており、すい臓から出るすい液の中に含まれています。
でんぷんを分解する唾液の酵素
お米など、でんぷんが多く含まれている食べ物をよく噛むと甘さを感じることがありますが、これは唾液の酵素であるαアミラーゼがデキストリンにまで分解するためです。
この時によく噛まないで、でんぷんが分解されていない状態で飲み込んでしまうと内臓への負担が大きくなるなってしまうだけでなく、栄養素を十分に吸収することができません。
では、分解されなかったでんぷんやデキストリンがどうなるかについてご説明します。
αアミラーゼによって分解しきれなかったでんぷんやデキストリンは胃の中に入ると、胃液の酸によってαアミラーゼの活動が止められます。
この分解しきれなかったでんぷんやデキストリンが胃を通りすぎると、次は十二指腸にたどり着きます。
十二指腸は指を横に12本並べた長さと同じくらいの長さであることが名前の由来になっていますが、実際にはそれよりも長く、25cm程の長さがあります。
十二指腸の役割は、胃で消化された食べ物をすい液や胆汁などの消化液と混ぜることです。
この消化液に含まれるすい液の中にはαアミラーゼとβアミラーゼが含まれており、でんぷんやデキストリンが再び分解され、最終的に麦芽糖にまで分解されます。
でんぷんやデキストリンが分解する酵素はこの十二指腸で最後になります。
麦芽糖にまで分解されなかったでんぷんやデキストリンは不要物として排出されますので、食べ物の栄養を効率的に吸収するためには、よく噛んで口腔内の時点で栄養素を十分に分解する必要があります。
麦芽糖を分解する酵素
でんぷんやデキストリンは口腔内の唾液や十二指腸のすい液によって麦芽糖にまで分解されますが、麦芽糖のままでは栄養として吸収することができないため、ブドウ糖にまで分解する必要があります。
この麦芽糖は、小腸から分泌されるマルターゼという酵素を含んだ腸液によってブドウ糖にまで分解されます。
麦芽糖とは、二つのブドウ糖が繋がった物質です。
唾液やすい液に含まれるアミラーゼよって麦芽糖まで分解し、小腸から分泌される腸液に含まれてたマルターゼによって、二つのブドウ糖が繋がった麦芽糖を切り離し、ブドウ糖にまで分解します。
このブドウ糖になることによって初めて、体内にエネルギーとして吸収されます。
ブドウ糖とは脳や筋肉を正常に動かすために必要な成分です。
特に脳はブドウ糖しかエネルギーとして吸収できませんので、頭が働かない時はブドウ糖が不足しているかもしれません。
唾液以外の消化酵素もご説明します!
小腸から分泌される腸液の中にはマルターゼが含まれていることはご説明しましたが、そもそも小腸がどこの内臓なのかはご存知でしょうか。
胃を通り過ぎると十二指腸があり、空腸、次に回腸にたどり着くのですが、この十二指腸、空腸、回腸のことをまとめて小腸と呼びます。
つまり、小腸から分泌されているマルターゼは十二指腸、空腸、回腸の全ての内臓から分泌されているということになります。
そして、小腸からはマルターゼ以外にもタンパク質を分解するプロテアーゼ、脂質を分解するリパーゼという酵素が分泌されます。
冒頭ではでんぷんを分解する唾液からご説明しましたが、ブドウ糖になるまでに多くの酵素が必要であることをご理解して頂けたと思います。
しかし、その酵素はほんの一部分に過ぎず、体内全体の酵素は3000種類以上もあると言われております。
酵素との生存
唾液に含まれるでんぷんを分解する酵素や、小腸から分泌される麦芽糖を分解する酵素。
これらは消化酵素と呼ばれており、大きく分けて3種類に分類される酵素の一つで、他に代謝酵素と食物酵素と呼ばれる物質があります。
代謝酵素とは、細胞の自然治癒力を促す酵素で、病気に強い体づくりに必須の酵素です。
食物酵素とは、生野菜などに多く含まれており、食物自身が持っている消化酵素によって体内の消化酵素を助ける働きを持っています。
ただ、現代社会において、これらの食物酵素を摂取する機会が大幅に減りました。
というのも、酵素は熱に弱く、ほとんどの酵素は48度で死滅すると言われています。
加工食品の多い現代社会では、意識的に食物酵素を摂取するようにしないと不足してしまいます。
食物酵素が含まれている食材は、刺身や生野菜、果物などです。
他にも日本には発酵食品という強い味方がいます。
みそや納豆など、健康的な食品も多く挙げられます。
食物酵素を多く摂取すると、便秘が解消される効果が期待できるので、一日に一つ食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
唾液を含めて全ての酵素バランスが大切
でんぷんを分解する消化酵素には唾液やすい液に含まれており、よく噛むことによって体内で吸収できるブドウ糖にまで分解されやすくなります。
また、食物酵素を摂取することによって、体内に流れる栄養素が吸収しやすくなります。
毎日野菜を食べると健康に良いという話はよく聞きますよね。
野菜が不足しがちだという方は、今後の食生活に気をつけてみてください。