気になる犬歯を抜歯したい!痛みとかのデメリットはあるの?
歯科矯正 2019.08.23犬歯の上にある歯は抜歯して良いの?
通常の歯並びとは関係の無い箇所に歯が生えてくる歯は、親知らずか八重歯の可能性があります。
親知らずや八重歯が生えてくる理由は、歯の生えるスペースが口腔内で不足しているからです。
というのも、現代の日本ではやわらかい食べ物が増え、噛む回数が昔に比べて少なくなってきています。
噛む回数が減ると咬筋力が減少し、それに伴って顎が小さくなり、歯の生えてくる顎のスペースが不足しています。
人間は必要のない能力を捨てるように対応しているので、顎が小さくなるのは人類の進化として仕方がありません。
親知らずが元々存在していたという方もいらっしゃいますが、誰もがそうとは限りません。。
そうなると、顎のスペースに合うように犬歯の抜歯などが考えられますが、痛みなどのデメリットが心配なところです。
なぜ犬歯周辺に抜歯したい歯が生えるのか?
犬歯周辺に抜歯するべき歯が生えてくることが多いですが、それはなぜでしょうか。
それは、個人差はありますが歯の生え変わる順番が乳切歯、乳臼歯、乳犬歯だからです。
切歯と臼歯が生えるとスペースが埋まってしまい、新たな犬歯の生えるスペースが不足する可能性があります。
これらの生え方によっては口腔内に刺さったり、歯に痛みを感じたりする場合があります。
他にも、親知らずが歯肉に部分的に被った状態で生えてくると、食べ物などの汚れが蓄積しやすくなり、智歯周囲炎を引き起こす可能性があります。
智歯周囲炎が悪化すると下記のような症状を引き起こす可能性があります。
・歯肉が腫れる
・歯肉から膿が出る
・口が開きにくくなる
・飲み込むときに痛みが生じる
・じっとしていても、ズキズキとした痛みが生じる。
この智歯周囲炎がさらに悪化すると、呼吸困難を引き起こす頬部蜂窩織炎になる可能性もあります。
軽度の智歯周囲炎であれば、炎症の起きている箇所を洗浄し、化膿止めや痛み止めなどの抗菌薬を使用することで改善が見込めます。
それでも炎症が収まらない場合は被っている歯肉を切除して様子を見るか、抜歯が必要になります。
犬歯などの抜歯は痛みなどのデメリットを引き起こす
八重歯になっている犬歯や親知らずが異常な方向で生えてきた場合、口腔内に悪影響を及ぼす恐れがありますし、智歯周囲炎のリスクまで抱えているとあらば、早めに抜歯したいところです。
ただ、抜歯をする前に抜歯のデメリットをよく理解したうえで決断する必要があります。
●痛みが生じる
抜歯をした箇所が大きく腫れあがったり、しばらくの間が痛みを感じる可能性があります。
あくまで歯を無理矢理抜いているわけなので、炎症を起こすのは当然と言えます。
●矯正治療の土台が無くなる
歯列矯正には他の健常な歯を土台にする治療法があります。
また、八重歯や親知らずは矯正治療によって正常な噛み合わせにできる可能性もあります。
噛み合わせる歯は大きい方が噛む力も強くなります。
奥歯を1本失うだけで全体の噛む力の30~40%が失われると言われるくらいですので、虫歯になっていない限り、できるだけ抜歯しない方が良いです。
痛みを伴う親知らずは抜歯しましょう
この章では、抜歯をするべきパターンをご説明します。
1.虫歯になってしまった場合
八重歯になってしまった犬歯や親知らずの生え方にもよりますが、通常の歯に比べて歯磨きが困難なため、虫歯を治療したとしても再び虫歯になる可能性が高いです。
親知らずは無かったとしても生活に大した支障は無く、生まれつき親知らずの無い方もいるくらいなので、抜歯してしまった方が良いでしょう。
何回も虫歯治療をする為に歯科医まで出向く手間や時間と治療費を考えるのであれば、抜歯も一つの手です。
2.親知らずが歯肉の中に横向きに埋まっていて、他の歯に悪影響を及ぼしている場合
親知らずが横向きに埋まっていると、隣の歯を吸収する可能性があります。
吸収された歯は一部を徐々に溶かされるように失ってしまいます。
歯の吸収が進行してしまうと、親知らずを抜いたとしても吸収された歯は一部を失っているので、歯の寿命が短くなります。
吸収された歯を抜いて、抜いた隣の歯の位置に親知らずを移動させるといった治療法もありますが、心当たりがある場合は早めに歯科医に相談することをお勧めします。
3.親知らずの周囲に痛みや炎症がよくある場合
親知らずの生え方によっては食べ物などの汚れが蓄積しやすく、智歯周囲炎になりやすい状態になってしまいます。
他にも、嚢胞という膿の袋ができる可能性もあります。
親知らず付近が腫れたり、エックス写真で袋のような影がある場合は、嚢胞の可能性もありますので歯科医と相談してみましょう。
八重歯や親知らずが生えていても痛みが無ければ大丈夫
前の章でもご説明した通り、犬歯などの八重歯や親知らずをむやみに抜歯するのもよくありません。
この章では、抜歯をしなくても問題ないと考えられるパターンをご説明します。
1.噛み合う歯があり、特に違和感なく正常に噛み合っている場合
八重歯や親知らずが原因で痛みを伴ったり、他の歯を邪魔している場合は抜歯した方が良いですが、特にそういった痛みもなく正常に噛み合っている場合は抜歯しなくても問題ありません。
また、噛み合わなかったとしても、矯正治療によって正常に噛み合うようになる場合もあります。
正常な歯並びの人よりも歯が多い分噛む力が強くなる為、親知らずを抜かない方が大きなメリットを得ることができます。
2.親知らずが歯肉の中に完全に埋まっており、痛みや腫れもなく、奥歯に悪影響を与えていない場合
無理に親知らずを抜こうとすると、その部分が大きく腫れたり、痛みが生じる可能性があります。
歯を抜く行為自体が人体の構造を無理矢理変えるようなものなので、体に良い影響ばかりではありません。
親知らずを抜く必要が無いなら、抜かないでおくのが無難です。
3.八重歯や親知らずが必要な場合
ブリッジは失った歯の両隣に健康な歯が無いとできない治療法です。
部分入れ歯ではバネをかける健康な歯が必要です。
また、他の歯を失ってしまった時に、親知らずの形が失った歯の部分に合っていて健康な状態であれば、移植することもできます。
親知らずが健康な状態で生活に特に支障が無ければ、他の歯を失ってしまった時の保険として、あえて抜歯しないのも一つの手です。
矯正治療法
犬歯などの八重歯や親知らずが原因で痛みを伴っている場合は抜歯という選択を選ばれるかもしませんが、歯科医に矯正治療についても一緒にご相談されることをお勧めします。
主な矯正治療法はブラケット矯正になります。
ブラケット矯正とは、歯にブラケットを装着してワイヤーで引っ張り、徐々に歯並びを矯正する方法です。
その中でもメタルブラケットは比較的、値段を抑えることができますが、白色の歯に対して銀色のメタルブラケットを装着するので目立ちやすいです。
それが気になる方はセラミックブラケットを装着する方法もあります。
セラミックはメタルに比べて強度は劣りますが、白色なので目立ちにくいです。
それでも気になるという方は、歯の裏側にブラケットを装着するリンガルブラケットという方法もあります。
八重歯や親知らずの取り扱いに気を付けましょう!
いくら必要の無い八重歯や親知らずだったとしても、むやみに抜歯をすると痛みを伴うなどのデメリットを引き起こす可能性があります。
あなたの症状を確認してから抜歯の決断をしましょう。
また、歯列矯正治療によっては、あなたの食生活においてかけがえのない歯の1本になるかもしれません。