奥歯に違和感を感じたらどうする?親知らずは抜歯するべき?

歯科矯正 2019.09.02

奥歯に違和感を感じたことがありますか?

もしかしたら、その違和感は親知らずが原因かもしれません。

今回の記事では、親知らずが口腔内にどういった影響を与えているのか、病気になってしまったらどういう治療法があるのか、それを予防するにはどういった習慣が必要なのかを詳しくご紹介します。

そもそも親知らずという奥歯は何者なのか

成人の永久歯は上下の顎に14本ずつ、計28本あります。

親知らずは、それに加えて最も奥側に上下左右に1本ずつ生えてくる奥歯のことを言います。

親すらずが4本とも全て生え揃うと、永久歯を合わせて計32本となります。

親知らずの生え方には個人差があり、そもそも親知らずの無い方や、1~3本しか生えてこない方、歯茎に全て埋まったままの方や親知らずの一部だけが埋まっている方もいらっしゃいます。

現代人に親知らずが生えてこなくなる理由は人類が進化してきた為です。

現代人は昔の人に比べて硬い食べ物を噛むことが少なくなりました。

その為、咬筋力(噛む力)が不要になり、それに伴って顎が小さくなりました。

顎が小さくなっても歯の大きさはほぼ変わらない為、親知らずの生えてくるスペースが狭くなり、親知らずが不要になったという訳です。

ただ、生まれた時から親知らずが無い現象は近年だけの話ではなく、弥生時代から起きていたと言われています。

弥生時代から現代まで気の遠くなるような長い年月をかけて人体の進化は進んでいます。

親知らずが生えたり生えなかったりするのは、歯の進化が顎の進化に対応しきれていない為です。

進化途上の親知らずは口腔内に違和感をもたらすこともあります。

次の章ではこの親知らずが口腔内に及ぼす影響についてご紹介します。

奥歯に違和感があるのは智歯周囲炎が原因かもしれません

親知らずは口腔内で最も奥に生えてくる奥歯ですので、歯ブラシが届きにくく歯磨きのしづらい箇所です。

もし、その親知らずが歯肉に部分的に被った状態で生えてくると、食べ物などの汚れが蓄積しやすくなり、智歯周囲炎を引き起こす可能性があります。

智歯周囲炎の智歯とは、親知らずを意味しています。

智歯歯周炎が悪化すると下記のような症状を引き起こす可能性があります。

・歯肉が腫れる
・歯肉から膿が出る
・口が開きにくくなる
・飲み込むときに痛みが生じる
・じっとしていても、ズキズキとした痛みが生じる。

この智歯歯周炎がさらに悪化すると、呼吸困難を引き起こす頬部蜂窩織炎(きょうぶほうかしきえん)になる可能性がありますので、親知らずに違和感を感じたら早めに歯科医に相談することをお勧めします。

軽度の智歯周囲炎であれば、炎症の起きている箇所をうがい薬で洗浄し、化膿止めや痛み止めなどの抗菌薬を使用することで改善が見込めます。

それでも炎症が収まらない場合は被っている歯肉を切除して様子を見るか、抜歯を勧められる場合があります。

親知らずに違和感があるなら抜くべきか

親知らずは、生えてくるスペースが足りずに正常に生えないことが多いです。

智歯周囲炎のリスクもあるなら早めに抜歯したいところですよね。

しかし、親知らずだからといって、よく考えずに抜歯の決断をするのはお勧めできません。

親知らずが違和感なく正常に機能しているなら、親知らずも使った方が噛む力が強いですし、他の奥歯を失ってしまった時の治療法であるブリッジの土台にすることもできます。

ブリッジとは、人口の歯を失った歯の部分に設置して、人口の歯から両隣に伸びた冠を両隣の歯に被せて固定する治療法です。

また、抜歯のデメリットとして、抜歯した部分が大きく腫れたり、痛みを感じる可能性が挙げられます。

一回抜歯をしてしまうと取り返しがつきませんので、歯科医から十分な説明を受け、納得してから決断しましょう。

では、どういう時に親知らずを抜くべきかをご紹介します。

親知らずにこんな症状や違和感があるなら抜くべき

1.親知らずが虫歯になってしまった場合は、虫歯治療をせずに抜歯をお勧めします。

理由は、虫歯を治療したとしても親知らずは最も歯磨きのしづらい奥歯ですので、再び虫歯になる可能性が高いからです。

親知らずは無かったとしても生活に大した支障はありませんので、何回も虫歯治療をしなければいけない手間と時間と治療費を考えるのであれば、抜歯も一つの手です。

2.親知らずが歯肉の中に横向きに埋まっていて、他の歯に悪影響を及ぼしている場合は抜歯をお勧めします。

理由は、親知らずが横向きに埋まっていると、隣の歯を吸収する可能性があります。

吸収された歯は一部を徐々に溶かされるように失ってしまいます。

歯の吸収が進行してしまうと、親知らずを抜いたとしても吸収された歯は一部を失っているので、歯の寿命が短くなります。

吸収された歯を抜いて、抜いた隣の歯の位置に親知らずを移動させるといった治療法もありますが、どちらにしろ奥歯に違和感を感じたり、親知らずが埋まっている可能性が考えられる場合は早めに歯科医に相談することをお勧めします。

3.親知らずの周囲に炎症が度々見られる場合は抜歯をお勧めします。

親知らずの生え方によっては食べ物などの汚れが蓄積しやすく、智歯周囲炎になりやすい状態になってしまいます。

他にも、嚢胞(のうほう)という膿の袋ができる可能性もあります。

親知らず付近が腫れたり、X線撮影で袋のような影がある場合は、嚢胞の可能性も歯科医と相談してみましょう。

親知らずが生えていてもこんな症状なら抜歯しなくても大丈夫

1.親知らずに噛み合う歯があり、特に違和感なく正常に噛み合っている場合は抜歯の必要はありません。

また、親知らずが正常に噛み合っていなかったとしても、矯正治療によって正常に噛み合うようになる場合もあります。

この場合は、一般の人よりも歯が多い分噛む力が強くなる為、親知らずを抜かないほうが大きなメリットを得ることができます。

2.親知らずが歯肉の中に完全に埋まっており、痛みや腫れもなく、奥歯に悪影響を与えていない場合は抜歯の必要はありません。

無理に親知らずを抜こうとすると、その部分が大きく腫れたり、痛みが生じる可能性があります。

歯を抜く行為自体が人体の構造を無理矢理変えるようなものなので、体に良い影響ばかり与えるとは考えにくいですよね。

親知らずを抜く必要が無いなら、抜かないでおくのが無難です。

3.入れ歯やブリッジによる治療法で必要な場合は抜歯の必要はありません。

ブリッジは失った歯の両隣に健康な歯が無いとできない治療法ですし、部分入れ歯ではバネをかける健康な歯が必要です。

また、他の歯を失ってしまった時に、親知らずの形が失った歯の部分に合っていて健康な状態であれば、移植することもできます。

親知らずが健康な状態で生活に支障が無ければ、他の歯を失ってしまった時の保険として、あえて抜歯しないのも一つの手です。

奥歯全体を大切に!智歯周囲炎のリスクを下げましょう

親知らずを残すメリットについてご説明しましたが、その親知らずを健康な状態で保つためには親知らずの最大の敵である智歯周囲炎を予防していかなければなりません。

智歯歯周炎を予防する為には丁寧な歯磨きが重要になります。

歯磨きをする時は、鏡を見て奥歯まで歯ブラシがとどいているか確認しましょう。

歯磨き粉やうがい薬はあくまでも歯磨きの補助です。

歯磨きに使用する歯ブラシは、人によってどういう歯ブラシが適しているか個人差がありますので、実際に使用しながら使いやすい歯ブラシを探すか、歯科医にどういう歯ブラシが適しているか相談してみましょう。

歯周炎は痛みや自覚症状をほとんど伴いませんので、歯に違和感がなかったとしても定期的に歯科医に見てもらい、歯周炎のチェックや歯磨き指導、プラーク除去をしてもらいましょう。

親知らずと上手く付き合っていくには

親知らずは歯磨きをしづらい箇所であり、智歯周囲炎を引き起こす可能性がありますので、違和感を感じたら早めに歯科医に相談することをお勧めします。

また、親知らずを抜くかどうかは口腔内の症状を見極め、よく考えて決断しましょう。

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