差し歯に値段の違いはある?犬歯や前歯に選びたい素材は?
歯科矯正 2018.12.28差し歯ってどんな歯なの?
差し歯とは、虫歯やなんらかの外傷によって歯の大部分を失ってしまい、歯の根だけが残された場合に行われる処置のことをいいます。
残された歯の根の中に「コア」という心棒を入れて、その上から「クラウン」という歯に似た物をかぶせるという処置です。
ちなみに、コアやクラウンに使用される素材はさまざまで、値段も違います。
差し歯を入れることで、今まで通りの生活を送ることができるようになりますが、一方でこういったリスクもあるといわれています。
・歯の根が割れてしまう
天然の歯には必ず神経が通っています。
しかし、差し歯の場合、神経を取り除いてしまうケースが多いとされています。
神経を取り除かれた歯は、栄養がいきわたらなくなるので、もろくなってしまうといわれています。
そのため、差し歯に「コア」などの土台を長期間つけておくと、歯の根が割れてしまう可能性も少なくないのです。
・抜けてしまう
コアやクラウンは、歯科専用の接着剤を使って接着されますが、時間が経過すると接着力が弱くなることがあります。
接着力が弱くなると、コアやクラウンが抜けてしまうといったこともあり得るのです。
・再治療が困難
差し歯は、歯の根に接着させているので、再治療で差し歯を外すとなれば、その衝撃により割れてしまったりなどのリスクが高いとされています。
また、一度割れてしまった歯は元には戻らないので、再び差し歯の処置を行うのは難しいとしています。
差し歯についてお話ししましたが、前歯や犬歯など審美的に大切な部分の差し歯となれば、素材などを重要視したいところですね。
次項からは、差し歯の素材についてお話ししていきます。
歯科によって差し歯の値段が違う!その理由とは?
「差し歯」とひとくちにいっても、値段は素材などによってまったく異なります。
本来、日本の医療は原則保険診療であり、国が医療費を定めています。
しかし、一部の素材は、保険外診療になります。
つまり、保険診療の差し歯であれば、定められた値段で治療を受けることができますが、保険外診療になると、歯科医師が自由に値段を設定しているということです。
保険外診療の素材を使った差し歯の場合、歯科医師が自分で差し歯の値段をつけているために、歯科によって値段が違うというようなことがあるのです。
奥歯などの見えにくい場所ではなく、犬歯や前歯など「人に見られやすい場所」であれば、素材の特徴などを知っておくと、選択肢が増えるかもしれません。
保険診療と保険外診療の素材には、どんな種類や特徴があるのでしょうか。
犬歯や前歯は審美的に重要!差し歯に使われる素材を知ろう①
保険診療で使用される大まかな素材は、「硬質レジンジャケット冠」・「硬質レジン前装冠」・「CAD/CAM冠」・「銀歯」の4つがあります。
また、基本的に保険診療で作る差し歯は、値段が安いといわれています。
1つずつどんな違いや特徴があるのかお伝えしてきます。
●硬質レジンジャケット冠
硬質レジンジャケット冠は、保険診療の中でも、天然の歯に近い色合いを再現することができるとされている素材です。
しかし、時間が経過するにつれて着色が目立つことがあるともいわれています。
また、前歯から犬歯までの合計6本の歯は保険診療となります。
●硬質レジン前装冠
硬質レジンジャケット冠と少し似ていますが、見えにくい裏側に金属が使用されているのが特徴です。
硬質レジンジャケットよりも強度があるので、使用される歯科医師は多いといわれています。
なお、保険適応になるのは、硬質レジンジャケット冠と同様で、犬歯から前歯までの6本となります。
●CAD/CAM冠
「セラミック」という素材をご存知の人も多いと思いますが、セラミックは通常であれば保険外診療になります。
しかし、このCAD/CAM冠は、セラミックとレジンを使用したハイブリットな素材で、一部保険適応で差し歯を作ることができます。
レジンに比べて着色しにくくいのも特徴ですが、保険適応外になるのが、4番目・5番目の歯(犬歯から外側に2本)のみとなっています。
●銀歯
銀歯はパラジウム合金という金属からできています。
しかし、審美性を考えると劣るので、奥歯などの見えないところに使用されることが多い傾向にあります。
犬歯や前歯は審美的に重要!差し歯に使われる素材を知ろう②
一方で、保険外診療で使用される素材についても、いくつかお伝えしていきます。
●CAD/CAM冠
保険診療でできる素材でもお伝えしましたが、保険外診療であれば、4番目と5番目以外の歯にも使用することができます。
●オールセラミック
CAD/CAM冠のようにレジンとセラミックを混ぜた物ではなく、セラミックのみでできていて、変色しにくいのが特徴です。
目立つような前歯や犬歯に使われることが多い素材です。
●メタルボンド
コアの部分は金属でできており、クラウンはセラミックでできているのが、メタルボンドです。
コアが金属でできているため、強度がとても強い上に、セラミックの変色しにくい特性も生かした素材です。
●ジルコニアクラウン
ジルコニアは人体になじみが高く、柔軟性に優れているのが特徴で、ジルコニアクラウンはジルコニアでコアが作られています。
また、クラウンにはセラミックが使用されています。
ジルコニアクラウンは、差し歯と歯茎の境目が黒くなるようなこともないとされていますが、オールセラミックに比べると、歯の透明感に欠けるともいわれています。
それでは値段はどのくらいなのか、保険診療・保険外診療それぞれ見ていきましょう。
差し歯の平均的な値段はどのくらい?
差し歯の素材を選ぶ際は、素材も大切ですが、値段もまた重要な部分になります。
そこで、前項で挙げた素材で差し歯を作った場合の、平均的な値段などをご紹介します。
●硬質レジンジャケット冠
3割負担となり、値段は平均3,000円程度
●硬質レジン前装冠
3割負担となり、値段は平均5,000円程度
●CAD/CAM冠(保険診療が適応される場合)
3割負担となり、値段は平均8,000円程度
●銀歯
3割負担となり、値段は平均3,000円程度
●CAD/CAM冠(保険外診療の場合)
1本あたり約40,000円~120,000円
●オールセラミック
1本あたり約80,000円~160,000円
●メタルボンド
1本あたり約80,000円~150,000円
●ジルコニアクラウン
1本あたり約130,000円
保険診療と保険外診療での治療費は、こんなにも差があります。
差し歯にする部分が犬歯や前歯などの場合であれば、保険外診療の差し歯にしてみるのもよいかもしれません。
犬歯や前歯だけ保険外診療の値段の高い差し歯に!その寿命は長くなる?
保険外診療の素材を使用した差し歯を「思い切って犬歯や前歯などに入れてみた」という人は、値段が高額なだけあって、歯として活躍できる期間も長くなるのかどうか気になるところでもあるでしょう。
しかし、「値段の高い素材の差し歯を入れたから寿命が長くなる」というわけではありません。
どれだけよい素材を使用したからといっても、日頃のメンテナンスがされていなければ、歯茎の状態や土台となっている歯の根の部分に影響してきます。
そのため、定期的にかかりつけの歯科で歯の状態をチェックしてもらい、常に健康な口腔内でいられるようにすることが大切です。
また、歯茎に指を当て、円を描くようにマッサージを行うようにするのもよいといえます。
差し歯の値段は素材によっても全く違う
今回は、差し歯の値段について、また、素材の特徴なども一緒にお伝えしました。
どんなにいい素材を使用して差し歯を作ったとしても、きちんとケアがされなければ、抜けたり折れたり、歯の根が虫歯になってしまったりなどトラブルを招く可能性も高くなります。
また、素材にはそれぞれ長所や短所があるので、ご自身に合った素材を選べるとよいでしょう。