歯ブラシは「電動」と「手動」どちらがしっかり磨けるのか?
電動歯ブラシ 2020.03.08電動歯ブラシの種類
電動歯ブラシは、1961年アメリカで開発されました。
当初は、体が不自由で、手動で歯磨きを行うのが困難な人に向けた製品でしたが、その後、一般化されて広まっていくことになります。
日本では1990年代に普及しはじめ、口腔ケアの意識が高まった2000年以降には、普及率は急速に高まりました。
2010年には携帯用電動歯ブラシも発売され、電動歯ブラシの普及に拍車が掛かり、その勢いはそのまま継続しています。
電動歯ブラシにはいくつかの種類があるので、それらをご紹介していきましょう。
【振動式】
数百円のものもある、お手頃な電動歯ブラシです。
毛先を歯に直接触れさせることで、汚れを落とします。
動きとしては、高速で往復運動をするという単純なもので、使い方を間違えると歯や歯茎にダメージを与えてしまうこともあるので注意が必要です。
また、振動回数が毎分数千回ほどと、他の電動歯ブラシに比べると低めで、電源が乾電池の場合は特に力が弱いという特徴があります。
【回転式】
回転式も歯に直接ブラシをあてて、汚れを落とすタイプです。
丸いブラシが回転して汚れを落とします。
通常の形の歯ブラシでは磨きにくい、歯と歯茎の境目や歯の裏側、奥歯などにも毛先が届くという特徴があります。
本体がやや大きく、振動も大きめです。
他にもある電動歯ブラシの種類
引き続き、電動歯ブラシの種類について見ていきましょう。
【音波式】
振動式の歯ブラシに音波を発生させることで、歯垢を取り除いていきます。
その振動は、毎分約3万~5万回と言われています。
音波式の特徴は、毛先を歯にあてて汚れを落としながら、音波振動によって発生する「高速水流」や「気泡」によって2~3mm離れた部分の歯垢も落とすことです。
これまでご紹介した振動式や回転式、手動歯磨きではできない磨き方と言えます。
【超音波式】
音波式よりも振動数の高い、毎分約100万~150万回もの振動で汚れを落とします。
あまりにも高速なので、人間の耳では聞き取ることができないほどです。
そのため、歯垢を剥がす効果が高いだけでなく、細菌同士の連鎖を断ち切ることもできるので、歯垢をつきにくくする効果があります。
また、歯茎や骨の細胞を活性化する効果もあるので、特に歯周トラブルの改善に効果を発揮すると言われています。
超音波式は高性能なため、一部の電動歯ブラシでしか採用されていません。
電動歯ブラシは手動歯ブラシよりも優れている?
電動歯ブラシの種類をご紹介しましたが、性能だけ見ると手動歯ブラシよりも、電動歯ブラシのほうが優れています。
しかし、電動歯ブラシには電動歯ブラシに合った磨き方、というものがあります。
それを知らずに磨いていると、手動で磨いているよりも歯垢が落ちていないことがあり、せっかくの高性能が活かされません。
電動歯ブラシを使った場合、歯の表面はしっかり磨けていますが、歯と歯の間や歯と歯茎の間の汚れがほとんど落ちていないというケースが多いと言います。
電動歯ブラシは磨く力が強いので、短い時間でもしっかり磨いた気分になり、爽快感が得られすので、磨き残しに気付きにくいというデメリットがあります。
手動で磨くと、自分で歯ブラシを動かし、しっかり時間をかけて磨かないと、爽快感が得られません。
そのため、電動ブラシの正しい使い方を知らずに磨くよりも、丁寧に時間を掛けて磨いた手動のほうがしっかり磨けていることがあるのです。
では、電動歯ブラシの機能を活かす磨き方とは、どんなものなのでしょうか?
手動では得られない電動歯ブラシの機能を活かす歯磨きのポイント
電動歯ブラシを正しく使えば、優れた機能が活きて、手動ではできないような効果の高い歯磨きができるようになります。
それでは、電動歯ブラシで歯を磨くときのポイントをご紹介しましょう。
【スイッチは口の中に入れてからON】
歯磨き剤を付けて、口の中に入れる前にスイッチを入れてしまうと、歯磨き剤が飛び散り、口の中に歯ブラシを入れるときも歯にぶつかってしまいます。
そのため、歯磨き剤を付け、口の中に電動歯ブラシを入れてから、スイッチを押しましょう。
【歯ブラシは軽くあてる】
電動歯ブラシは歯にあてて使いますが、手動よりも力があるので、軽くあてるようにしましょう。
強く押しあててしまうと、歯や歯茎を傷つけてしまう可能性があるので注意してください。
【歯にあてる角度】
噛み合わせ部分と歯の側面は、90度または45度にします。
歯と歯茎の間、歯周ポケットには、ヘッドを45度に傾けることで汚れを効果的に落とすことができます。
また、45度であてると歯茎マッサージを行えます。
前歯の裏側は、磨きにくいので、ヘッドを縦にして1本ずつ磨くようにしましょう。
【ゆっくり動かす】
電動歯ブラシは、歯ブラシ自体が動くので、自分でゴシゴシ磨く必要はなく、あてているだけで十分汚れを落とすことができます。
毛先を1箇所に数秒間あてて、次の箇所も数秒間あてる、というようにゆっくり毛先をスライドさせましょう。
このようなやり方で歯磨きをすれば、電動歯ブラシの機能を活かすことができます。
電動歯ブラシは手動歯ブラシと同じ歯磨き剤は使えない!?
電動歯ブラシの機能を活かすには、歯磨き剤選びも重要です。
手動で歯を磨くときに使われるペースト状の歯磨き剤には、多くの場合、発泡剤や研磨剤が使われています。
発泡剤が含まれている歯磨き剤は、高速で振動する電動歯ブラシによって、泡立ちが良くなってしまい、口の中が泡だらけになってしまいます。
また、研磨剤が含まれているものは、電動歯ブラシの力が強いため、歯や歯茎を傷つけてしまうことがあります。
おすすめなのは、発泡剤や研磨剤が含まれていない、ジェルタイプの歯磨き剤です。
ジェルタイプでしたら、口の中が泡でいっぱいになったり、歯や歯茎を傷つけたりする心配がありません。
ペーストタイプの歯磨き剤でも、電動歯ブラシ用のものが出ているので、そちらを使うと良いでしょう。
なお、手動で歯を磨くときには、どのようなタイプの歯磨き剤も使えますが、歯や歯茎にやさしい、発泡剤や研磨剤が含まれていない歯磨き剤を使うことをおすすめします。
電動歯ブラシを使いこなすには手動の技術が必要
電動歯ブラシに対する一般的なイメージは、短い時間で手動よりもきちんと磨けるというものでしょう。
電動歯ブラシは水流によって、歯と歯の間や歯と歯茎の間の歯垢を除去するというものが多いのですが、歯垢を落とすには水流だけでなく、歯ブラシをあてて落とすことが必要です。
したがって、手動で磨くときと同じように、歯ブラシを歯にあてる角度が重要です。
歯磨きは鏡で口の中を見ながら行うことで、磨き残しをなくすことができます。
しかし、電動歯ブラシの場合は口を開けて磨くと、ブラシの振動で歯磨き剤などが飛び散ってしまうので、鏡でチェックしながら歯を磨くことはできません。
そのため、手動で磨くとき以上に磨き残しをなくすよう心掛けることが大切です。
特に歯周ポケット、歯と歯の間、歯の裏側などは、歯ブラシの角度によって、毛先が届かない場合があるので注意しましょう。
手動で正しいブラッシングができてこそ、電動歯ブラシの機能が活かせるのです。
そして、電動歯ブラシで磨くときも、手動のときと同じように、歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯垢をしっかり落としましょう。
電動歯ブラシも手動の歯磨きも磨き方が大切
高性能の電動歯ブラシも歯磨きの基本をしっかりおさえていないと、機能を充分に活かすことはできません。
手動で磨くときと同じように歯にあてる角度を守って、歯と歯の間や歯周ポケットの歯垢を落とましょう。
電動でも手動でも、歯垢を落とすことが目的です。
歯磨きだけでは落としきれない歯垢は、歯間ブラシやデンタルフロスを使って落としましょう。