歯磨きのコツを知って奥歯をきれいに!奥歯の正しい磨き方
歯磨き 2019.11.27現存率の低い奥歯!奥歯の磨き方を見つめ直す!
私たちの口内には、親知らずを除いて上下28本の歯があり、それぞれ形も異なれば役割も変わってきます。
特に、奥歯は食事での役割が大きいこともあり、失ってしまえばまともに食事をするのは難しいでしょう。
しかし、日々なんとなく歯磨きをする中で、私たちは奥歯の役割や重要性について深く考えることはほとんどありません。
歯磨きが習慣づいている私たちは、確かに幼い頃から歯の大切さを学んではいるものの、厚生労働省の調査によれば、日本では70歳の平均現存数が15本と少なく、先進国という視点から見ても、日本は虫歯や歯周トラブルが際立って多い国です。
特に、前歯よりも奥歯のほうが現存率が低く、手入れが悪いとより早いうちから抜けてしまいます。
つまり、習慣的に磨いてはいても、内容が伴っていないということです。
年とともに奥歯が抜けることは、決して老化による自然現象ではなく、普段の歯磨き次第で防ぐことができます。
大人になった今、奥歯の磨き方を中心に改めて見つめ直す必要があるでしょう。
では、次項から奥歯の役割や重要性について詳しく見ていきましょう。
臼歯と言われる奥歯の役割と重要性
まず、一般的に奥歯とは「臼歯」を指します。
そもそも臼歯は「小臼歯」と「大臼歯」に分けられ、親知らずを除くと、それぞれ上下左右に2歯ずつ、合計で16歯あります。
そんな歯の大部分を占める臼歯には、主に2つの役割があります。
まず1つ目は、前歯で噛み切った食べ物を嚙み砕いたり、すり潰したりする咀嚼能率です。
この一見当たり前で気にもとめない役割は、食べ物を消化器官で消化し、栄養として吸収するためには欠かすことができません。
つまり、食べ物を細かく砕いて胃に送ることで、消化器官への負担を和らげる働きをしているのです。
そして、2つ目の役割は、噛み合わせの安定性です。
例えば、臼歯が1本でもないとうまく噛みしめることができず、踏ん張りがきかなくなったり、瞬発的な力を出したりすることができなくなります。
臼歯がきれいに揃っていて初めて、バランス良く食べ物を噛みしめることができ、ふとした動作で踏ん張る力を引き出すことができるのです。
このような2つの役割は、当たり前の機能として私たち人間には備わっているため、失うことへの危機意識がなかなかつきません。
失ってからでは遅すぎるので、奥歯の役割・重要性をしっかりと胸に留め、歯磨きの磨き方を見直すことが求められます。
奥歯はなぜ虫歯になりやすい?その理由を知って歯磨きを
では、なぜ前歯よりも奥歯のほうが悪くなりやすいのでしょうか。
考えられる理由は、少なくとも2つ挙げられます。
まず1つ目は、歯垢が溜まりやすく、磨きにくいという点です。
食べ物を咀嚼する際、前歯よりも奥歯をメインに使うため、必然的に歯垢が溜まりやすくなります。
特に、噛み合わせ部分の溝は、歯垢細かく溜まりやすい一方で、歯ブラシが届きづらいために磨き残しが多くなりがちです。
また、最奥から中途半端に親知らずが生えることもあり、余計に磨きづらく、歯垢が溜まりやすい部分とも言えるのです。
そして、2つ目の理由は、噛む力によって加わる奥歯の負担です。
そもそも、人の噛む力はその人の体重と同等程度あると言われることから、奥歯には相当の負担がかかっていることが分かります。
例えば詰め物や被せ物がある場合、噛むことによる負担が蓄積されることで、その表面に亀裂や隙間が生じ、細菌の侵入を許してしまいます。
また、奥歯が一本でもなくなってしまうと、隣接していた歯にその分の負担がかかるなど、噛む力による影響は決して軽視できないのです。
したがって、上記の2つの理由を踏まえた上で、歯磨きの磨き方を改めて見直していきましょう。
奥歯の基本的な歯磨き方法!磨き方のポイントは?
では、奥歯の歯磨きを見つめ直すために、磨き方のポイントについて詳しく見ていきましょう。
まず、歯ブラシは「ペングリップ」という鉛筆を持つ要領で軽く持ちます。
手のひら全体で握る「パームグリップ」という持ち方もありますが、ブラッシング時の力が強くなってしまうため、あくまでも子ども向きの持ち方と言えます。
奥歯でも、磨き残しが多い部分は溝だけでなく、歯と歯の間(歯間部)、歯と歯肉の境(歯頚部)があり、場所によって磨き方を使い分けることが大切です。
【磨き方の種類】
・スクラッピング法:歯面に対し毛先を垂直に当てて磨く方法
・バス法:歯面に対し毛先を45度に当てて磨く方法で、主に歯頚部に用いる
この2つの磨き方を使い分けながら磨いていきます。
ポイントは、小刻みに微振動させて磨くことです。
ゴシゴシと力を入れて磨いてしまうと、毛先が倒れてしまい、効果的に歯垢を落とすことができません。
毛先を歯面にきちんと当て、軽快に微振動させて歯垢を落としていきましょう。
奥歯をより丁寧に磨くコツ!毛先を工夫した磨き方
前項では、奥歯の歯磨きのポイントを見てきましたが、歯垢をより丁寧に落とす磨き方について、さらに掘り下げていきましょう。
奥歯の磨き残しが多い部分には、噛み合わせの溝や歯間部、歯頚部がありますが、それ以外にも注意したいのは歯の裏側です。
目の見える表面部分は比較的磨きやすいですが、裏側は磨きにくく、特に歯間部、歯頚部は歯垢が溜まりやすい部分です。
普通に磨いただけでは歯垢が落ちないので、奥側は歯ブラシのつま先(先端)、中央部はわき(サイド)、手前側はかかと(末端)というように工夫して磨きます。
細かい部分を丁寧に磨くことができ、磨き残しも極力少なくすることができるでしょう。
また、ここでお話しした奥歯の磨き方は、前歯でも同じことが言えます。
スクラッピング法やバス法などをしっかり押さえ、奥歯だけでなく歯全体の歯垢除去率を上げていきましょう。
歯磨きにデンタルフロスや歯間ブラシをプラスしよう
これまでに、奥歯の磨き方について詳しくお話ししてきましたが、実はどんなにきれいに磨いても、歯磨きだけでは全ての歯垢を落とすことができません。
歯垢除去率のデータによれば、歯ブラシだけを使った歯磨きだけでは、全体の約60%ほどしか落とせていないことが分かっています。
では、残りの40%の磨き残しはどこにあるのかというと、多くは歯間部、歯頚部です。
そこで、このような歯ブラシの届かない汚れをカバーするのが、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助的掃除用具です。
デンタルフロスとは、歯間部の歯垢を取り除く、虫歯予防を目的としたフロスです。
タイプには「ホルダータイプ(柄付き)」と「糸巻きタイプ」がありますが、初心者には使いやすいホルダータイプがおすすめです。
それに対し、歯間ブラシは、歯と歯の隙間が広い高齢者向けの補助道具で、歯周トラブル防止を目的とした補助道具です。
歯間ブラシには、ブラシの太さにいくつか種類があるため、事前に歯科医院で指導を受けてから自分に合ったサイズを購入するのが良いでしょう。
このような補助的掃除用具を使うことで、全体の歯垢除去率を80~90%にまで上げることもできるので、ぜひ使ってみてください。
奥歯の健康を守るために
奥歯には、食べ物をしっかり嚙み砕き、すり潰す咀嚼能率、そして踏ん張る際や瞬発的な力を手助けする役割があります。
このような当たり前の動作に関わる奥歯は、いかに私たちが生きる上で大切か知っておく必要があります。
奥歯の重要性を知った今、日々の磨き方を見直し、奥歯の健康を守っていきましょう。