乳歯から永久歯に変わる!歯は頭蓋骨の一部「顎」の中にある
電動歯ブラシ 2019.04.11生まれるまえから「歯の元」が頭蓋骨の一部である顎の骨の中にある!?
歯の元となる「歯胚」というものは、まだお母さんのお腹の中にいるころの妊娠3~10週目に作られ、頭蓋骨の一部である上顎骨や下顎骨の骨の中で成長します。
その後、生後8か月くらいからどんどん歯胚は成長し、乳歯として生え、3年程度で全て生えそろうのが平均的です。
乳歯の本数は上10本・下10本の合計20本で、嚙み合わせることで顎を鍛えて、成長を促します。
乳歯の特徴としては、歯の表面を覆っているエナメル質や象牙質の厚さが薄く、神経までの距離が近いです。
また、石灰化度も低いため、白みかかったような色をしています。
乳歯が生え揃うと、上下の歯でしっかりと嚙み合わせることができるため、顎の力も付き、顎の大きさも大きくなります。
お子さんによっては、顎が成長したことで乳歯と乳歯の間に広い隙間ができてしまうケースがあり、歯並びや永久歯の成長・生え方を心配されるお母さんもいらっしゃることでしょう。
しかし、この隙間は、永久歯が綺麗に生えてくるのに必要なスペースであるといわれています。
次は、永久歯についてお話ししましょう。
永久歯も頭蓋骨の一部の顎の中で成長している!
永久歯は乳歯とは大きく異なる点がいくつかあるのでお伝えします。
まず本数は、親知らずを含めると全部で32本あります。
また、歯の強さに関しても大きく違い、永久歯は乳歯に比べて、エナメル質や象牙質が約2倍の厚みがあり丈夫です。
しかし、まだ生えてから間もない頃の永久歯は弱く、虫歯になりやすい傾向にあるとしています。
6歳くらいから徐々に生え変わりが始まり、全ての乳歯が永久歯が生え変わるのは、平均で14歳くらいです。
ちなみに、親知らずは10代後半から生えてくる方もいますが、生えてこないというケースもあります。
永久歯は乳歯と同じく歯胚からできており、頭蓋骨の一部である上顎骨と下顎骨の中で成長しています。
次項からは、歯の生え変わりについてお伝えします。
乳歯が抜けるためには永久歯が必要だった!
永久歯となる歯胚が成長し、乳歯の根に近づくにつれて圧力が発生します。
その圧力によって骨中の「破骨細胞(はこつさいぼう)」が、別の特殊な細胞に変わります。
その特殊な細胞は「破歯細胞(はしさいぼう)」というもので、この細胞から乳酸・クエン酸・コラーゲンを分解することができる酵素が放出され、歯を溶かします。
こうして、破歯細胞から放出されたものによって、乳歯の根はゆっくり溶かされていきます。
この乳歯の根が溶かされていくことを「歯根吸収」といいます。
歯根吸収された乳歯は、支えがなくなり抜け落ちて、やがてそこに永久歯が生えてくるのです。
歯科などで、生え変わりの時期のお子さんの歯のレントゲンを見ると、頭蓋骨の一部である上顎骨と下顎骨にいくつもの歯が写るので、「ビックリした」という声もあります。
しかし、これは歯の成長のために大切なことなのです。
乳歯・永久歯問わず歯並びのためにできることは「噛むこと」
これまで、乳歯や永久歯について、歯の生え変わりなどのお話をしてきました。
お子さんの歯が永久歯に生え変わった時、できる限り綺麗な歯並びであってほしいものですね。
できるだけ綺麗に歯が生えてくるようにするのには、顎を成長させる必要があり、そのためには食べ物をよく噛んでもらうことがされています。
「噛むことは顎の成長に関係する」ということはご存知の方も多いかもしれませんが、他にも噛むことでさまざまな効果が期待できます。
・唾液の分泌が増える
・食べすぎを防ぐ
・脳を発達させる
・頭蓋骨のバランスがよくなり、豊かな表情になる
このようなことも挙げられます。
噛むことは、顎の成長に大きく関わりますが、他にもよいことがたくさんあるのです。
次項では、ここで挙げた4つの噛むことで得られる効果について、詳しくお話しします。
噛むことで得られる効果!頭蓋骨周りの筋肉にも関わる
それでは、「噛むことで得られる効果」には、具体的にどのようなことがあるのでしょうか。
【唾液の分泌が増える】
よく噛むことで、唾液の分泌量が増えます。
唾液には酵素が含まれており、その酵素によって、消化吸収を助けてくれるなどの働きをしてくれます。
それだけでなく、カルシウムと唾液が結び付き、歯を強くしてくれる役目もあるのです。
【食べすぎを防ぐ】
「たくさん噛むと満腹感が得られる」ことは、多くの方がご存知でしょう。
近年、食生活が大きく変化したことで、「柔らかい食べ物を多く食べる傾向にある」とされ、噛む力が成長できず「顎が弱い」といわれています。
顎がしっかり成長できていないと、乳歯から永久歯に生え変わった時に、歯並びに影響を及ぼしてしまう可能性もあります。
しかも、やわらかい食べ物の場合、口の中に入れるとすぐにお粥のような状態になってしまうので、「噛む」という動作が不要になりがちです。
よく噛まずに食べ物を飲み込んでしまうと、胃腸に負担がかかるだけでなく、必要な栄養を吸収して不要なものを排出させるという、正しい働きができにくくなる可能性があります。
そのため、適度に歯ごたえのあるものをよく噛み、顎を鍛え、消化を助けてあげることが大切です。
【脳を発達させる】
噛むと、顎と一緒に頭蓋骨近辺の筋肉も運動をします。
噛む時に使う顎の筋肉と側頭部にある筋肉が動き、自然と頭蓋骨に圧力が加わり、その動きから脳に血液が送られやすくなるといわれているのです。
脳の中でも「前頭前野」という、人間の知性に関わるところの活性化が期待できます。
【頭蓋骨のバランスがよくなり豊かな表情になる】
ちいさなころからしっかり顎を使って咀嚼をすることで、顎だけでなく、頭蓋骨全体がバランスよく成長することができます。
また、口の筋肉も使うので、表情豊かな美しい笑顔が生まれます。
どんな食べ物を食べたらいいの?乳歯から噛む訓練をしよう!
噛むことは、食べすぎを防いだり唾液の分泌を促してくれるだけでなく、頭蓋骨近辺の筋肉が使われることなどが分かりました。
噛むことのの大切さをお分かりいただけたところで、どんな食べ物を食べたら噛む訓練になるのかをお伝えします。
平均的に乳歯が生えそろう2~3歳のお子さんは、りんご・かきなどの少し歯ごたえのあるフルーツからスタートしてみましょう。
4歳ごろからはすりつぶすような力を付けるためにも、セロリ・ゴボウ・レンコンなど繊維の多い食べ物を与えてみてください。
その際に、繊維が喉につかえてしまうことを防ぐためにも、短冊切りなど小さめに切ると安心です。
味のクセが強い食べ物であれば、ケチャップやマヨネーズなど、お子さんが好きなソースを付けて与えるなど工夫をしてみてください。
乳歯・永久歯に関わらず、顎のトレーニングは継続していくとよいでしょう。
それから、食べ物を片方の歯で噛む「片噛み」の癖がないかも見ておく必要があります。
片噛みをしていたとしても、食事中に指摘をし正そうとしてしまうと、お子さんにとって食事の時間がつらいものになってしまうことも考えられます。
食事以外の時間にガムやグミなどを使い、普段噛んでいない方の歯で噛んでもらうようにしましょう。
お子さんの顎を強く成長させよう
今回は、乳歯や永久歯についてから、歯の生え変わり方などをお伝えした後に、咀嚼の大切さなどについてもお話ししました。
子供のころから顎の力を付けることは、今後の歯並びに大きく影響すると考えられます。
そのため、ある程度歯ごたえのある食べ物を積極的に与えて、お子さんの歯が正しく成長できるためのサポートをしましょう。