歯ブラシを水で濡らすよりも濡らさない方がいいって本当?

歯ブラシ 2018.12.13
歯磨きをする前に、歯ブラシの先を水で濡らすか濡らさないかのどちらが良いか迷っている人もいるのではないでしょうか? 歯ブラシを濡らすと、水分のおかげで歯磨き粉の泡立ちが良く、時短になっている気もしますが、「歯ブラシの先は濡らさない方が良い」と言われています。 それはなぜなのか、また歯磨き粉の役割や理想的な歯の磨き方などについてご説明します。

歯ブラシを水で濡らすよりも濡らさない方がいい理由①

歯磨きの前に歯ブラシを水で濡らすと、歯磨き粉を付けて歯を磨いたときに口の中がすぐに泡になり、濡らさないときよりも歯を磨く時間が無意識に短くなります。

なせなら、歯ブラシに水を付けてから磨くと、ただでさえ泡立ちやすい歯磨き粉が、余計に泡立ちやすくなり、無意識に早く吐き出したいという考えになるからです。

さらに、歯磨き粉をつけて磨くことで爽快感が得られ、綺麗になったと錯覚してしまうのです。

このような思い込みを防ぐためにも、乾いたままの歯ブラシに歯磨き粉を付ける方が、きちんと歯を磨けると言われています。

せっかく歯を磨いていても、きちんと磨けていなければ本末転倒ですね。

歯磨き粉の泡が増えただけで口の中が綺麗になったという思い込みは今日で最後にして、まずは、しっかりと歯を磨きましょう。

歯ブラシを水で濡らすよりも濡らさない方がいい理由②

現在市販されている歯磨き粉のほとんどには、フッ素が配合されています。

歯の表面に付着したフッ素は、虫歯や歯周病を予防する効果があるとされており、歯ブラシを濡らすと、歯磨き粉が薄められてしまい、その予防効果が十分に得られなくなってしまう場合があるのです。

歯磨き粉の効果には、その他にも「修復」や「口の中の食べ残しの除去」などが挙げられます。

歯ブラシを濡らしてしまうと、結果的に歯磨き粉の持つ数々の効果を得られなくなってしまいます。

さらに、磨き終わった後のうがいにも少しだけ注意が必要です。

歯磨き後のうがいは、できるだけ少ない量の水ですすぎ、すすぐ回数も何度も重ねないことがポイントです。

すすぐときの1回の水の量の目安は、大体大さじ1杯程度が推奨されており、ペットボトルのキャップ1杯程度です。

「そんな少ない量じゃ口をすすげない!」と思われた方も多いかと思いますが、考え方によっては、節水と時短に繋がりますし、慣れてしまえばメリットの方が多いですね。

本来の歯磨き粉の虫歯の予防効果や修復の効果を十分に発揮させるためにも、最初に歯ブラシは水で濡らさないで、うがいもできるだけ少ない回数で行いましょう。

歯磨き粉の本来の役割は?

どんな物にでも用途や役割がありますよね。

では、歯磨き粉の役割とはいったい何でしょうか。

役割の観点から見ると、水に濡らすべきなのでしょうか、濡らさないべきなのでしょうか。
歯磨き粉は本来、研磨剤としての役割を担っています。

研磨剤とは、ざっくりいうと「やすり」のことです。

例えばホームセンターなどで見かける紙やすりには独特なザラザラ感がありますが、これは細かい石の粉を表面に付けてあるからです。

用途により、その細かい石の粉が紙に付いているのか、液体に混ぜてあるのか、などの違いがあります。

スポンジなどで、金属や硬い物の表面に付いた汚れを取るために研磨剤を使い、さらに元よりも良い状態になるよう磨いてピカピカにします。

歯磨きも同じことです。

歯ブラシに歯磨き粉を付けて磨くことで、歯磨き粉に含まれている粒状の成分が、歯に詰まった歯垢を除去したり、虫歯や歯周病を防いだりして、日々歯の状態をベストに保ちます。
歯磨き粉にはそんな重要な役割があったんですね。

歯ブラシを濡らす濡らさない以前に理想的な歯の磨き方とは

歯磨き粉が持つ予防効果などを得るためには、しっかりじっくりと歯磨きをする必要があります。

ここで、モデルとなる磨き方をご紹介します。

まずはじめは、歯磨き粉を付けずに歯ブラシのみで磨きます。

その後もう一度、歯磨き粉を付けて磨きます。

ポイントは、1回目は、歯に付いた汚れを落とすため、しっかりと磨きます。

しっかりと言っても、ブラシを歯に強く押し当ててゴシゴシと磨くということではなく、歯のすき間や奥歯などの汚れを落としたり、食べ物が溜まりやすいところを入念に磨くように意識する、という意味です。

2回目は、歯磨き粉の虫歯や歯周病の予防効果を最大限受け入れるために、軽く磨くことがポイントです。

このように、歯磨きは歯ブラシを濡らす濡らさない以前に、繊細に丁寧に行いましょう。

歯ブラシを濡らすと虫歯や歯周病になる?

あらゆる病気への注意喚起がされている昨今、虫歯や歯周病と聞くと、他人事ではないと思う方も多いのではないでしょうか。

しかし、虫歯も歯周病も痛みがない場合は、放置し治療を先延ばしにしてしまうことがあると思います。

一見、歯ブラシを濡らすこととは関係ないような気もしますが、助長しかねない場合もあるのです。

こちらでは、虫歯と歯周病を放置してしまった場合に起こりうることをご紹介します。

【虫歯を放置した場合】

虫歯を放置すると、だんだんど歯が溶けていってしまいます。

人によっては歯が欠けていくこともあります。

この時点で、痛みが増していると思いますが、それをも通り越してしまうと、痛みさえなくなり、歯の原型すらとどめない姿になっていきます。

そして、原型のない歯は、歯並びに影響し、かみ合わせが悪くなります。

かみ合わせが悪くなると、顎の骨に影響し、炎症を起こします。

そこまでいくと、虫歯の原因菌が顎の骨をはじめ、血液に侵入し、体全体に蔓延します。

最悪の場合「死」も想定しなければならない状態になりかねません。

【歯周病を放置した場合】

歯周病とは、歯を支える骨が溶けてしまい、最後は歯が抜けてしまう病気と言われています。

そして、歯周病が原因で発生する歯周病菌が身体全体に回ると様々な疾患を引き起こします。

例えば、症状として、歯磨きの際に血が出たり、歯茎がムズムズしたり腫れたり、歯茎からすっぱい膿が出て口臭がひどくなるということなどが挙げられます。

恐ろしいことに、一回腫れてしまうと、歯を支える骨が溶け、溶けたら二度と元に戻りません。

さらに、口の中だけの問題ではなく、体全体に悪影響を及ぼし脳梗塞や心筋梗塞などの原因になり得ます。

前述している通り、歯ブラシを水に濡らすことで歯磨き粉の虫歯や歯周病の予防効果が十分に発揮されないだけでなく、結果的に歯へのケアが行き届かず、取り返しがつかなくなってしまった、ということになりかねません。

そうならないためにも、歯を磨く際は、歯ブラシを水で濡らさないようにしましょう。

実は奥が深い!歯ブラシと歯磨き粉の選び方

歯ブラシを水で濡らすよりも濡らさない方がいい理由や歯の病気の恐ろしさ、歯磨き粉の役割についてお分かりいただけたと思います。

そこで気になるのは、自分の使っている歯ブラシと歯磨き粉はいったいどんな物なのか、どんな物を選ぶべきか、ということではないでしょうか。

薬局などで販売されている歯ブラシや歯磨き粉は、見た目は似ていますがそれぞれ特徴が違います。

人それぞれ、好みもあるかと思いますが、良い歯ブラシと歯磨き粉の選び方をご紹介します。

【歯ブラシの選び方】

・毛先の高さが平らにカットされているものを選びましょう。

歯ブラシの毛先のカットはギザギザとしたものなど、様々な形状がありますが、一直線にカットされた平らな形状は、汚れが溜まりやすい歯と歯肉の境目を磨くのに適しています。

・毛の硬さは「ふつう」または「やわらかめ」を選びましょう。

口の中や歯茎を傷めないためにも、「ふつう」「やわらかめ」の使用をおすすめします。

ちなみに、「かため」の歯ブラシは、手の力の弱い、子供やお年寄りの方が使用するのに適しています。

・ヘッドは小さめのものを選びましょう。

ヘッドが大きい歯ブラシは、前歯などの表面は綺麗に磨けても、奥歯はサイズが合わず磨けていない、ということが起こる場合があるからです。

そのため大きいヘッド、小さいヘッドの両方使い分けるのが理想的です。

【歯磨き粉の選び方】

・フッ素濃度950ppm以上のものを選びましょう。

フッ素濃度が高いほど粒子が大きいとされており、基準として、950ppm以上で虫歯予防の効果があるとされています。

歯磨き粉の成分表を見れば、フッ素濃度を確認することができます。

「モノフルオロリン酸ナトリウム」「フッ化ナトリウム」などと表示されていることが多いです。

ただし、5歳以下の子どもには、細かい粒子で歯ブラシが届きにくいところでも歯垢を取り除ける、1000ppm以下の歯磨き粉を選びましょう。

・歯を傷つけにくい低研磨性がおすすめです。

歯のエナメル質を削り過ぎないためにも、研磨剤の配合量を確認することは大事です。

歯磨き粉の成分表に「水酸化アルミニウム」「炭酸カルシウム」などと表記されているのが研磨剤です。

・泡立ちを抑える低発泡性のものを選びましょう。

前述したように、歯磨き粉の泡が口いっぱいに広がることにより、綺麗に歯を磨けたと錯覚してしまい、その結果、歯を磨く時間が無意識に短くなってしまいます。

また、泡が立ちすぎるとすすぐ回数が増えるため、フッ素が流れ出てしまい、虫歯や歯周病の予防効果が得られないこともあります。

歯磨き粉の成分表に表記されている「ラウリル硫酸ナトリウム」「ショ糖脂肪酸エステル」などが発泡剤です。

歯ブラシも、歯磨き粉も必要不可欠な存在ですから、できれば良い物を選んで使っていきたいですね。

虫歯や歯周病を防ぐために!歯ブラシは水で濡らさずに使おう

ついつい歯ブラシを水に濡らしていた方も、濡らしてはいないけれども理由を知らなかった方もいるでしょう。

歯ブラシを水に濡らして使用すると、虫歯や歯周病などの病気に繋がる恐れがあります。

今日から、歯ブラシを水で濡らす習慣には終止符を打ち、正しく気持ちいい歯磨きライフを送りましょう!

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