「デンタルケア」と「オーラルケア」の違いについて

オーラルケア 2020.02.05
「デンタルケア」と「オーラルケア」は、どちらも歯や口の中を健康に保つための方法です。 通常同じような意味として使われていますが、明確な違いはあるのでしょうか。 また、日本と海外ではとらえ方や意味が違ってくるのでしょうか。 今回は、「デンタルケア」と「オーラルケア」について、ご紹介しましょう。

「デンタルケア」と「オーラルケア」言葉としての違い

まずは、「デンタルケア」と「オーラルケア」の違いについて、言葉の意味を見てみましょう。

デンタル(dental)は、「歯の」「歯科の」という意味があり、多くの場合複合語として用いられます。

例えば、デンタルクリニック、デンタルフロスなど、他の言葉と組み合わせて使われ、単独で使われることはほとんどありません。

したがって、「デンタルケア」は、「歯や歯茎を健康に保つためのケア(手入れ)」をすることです。

オーラル(oral)は、「口頭の」「口を使って行うこと」という意味があります。

歯や歯科に関してのだけの言葉ではなく、口頭での意思伝達という意味の「オーラルコミュニケーション」や、口頭弁論を表す「オーラルアーギュメント」などのような使い方をします。

「試験をオーラルで行う」といえば、口頭試問、つまり言葉で答えさせるものという意味です。

そのため、「オーラルケア」は、「洗浄液や歯ブラシなどを使って、口の中を健康に保つためのケア」をすることです。

つまり、「デンタルケア」は歯や歯茎に限ったもので、「オーラルケア」は口の中全体のケアする、ということです。

「デンタルケア」と「オーラルケア」の歯科から見る違い

さきほどもお話ししたように「デンタルケア」は、歯や歯茎を健康に保つためにケアすることをいいます。

そして、デンタルケアには、もうひとつの「歯を美しくする」というケア目的もあります。

歯を健康に保つためのケアとしては、毎日の歯磨きで歯垢を取り除き、歯のトラブルを予防することが挙げられます。

また、トラブルが起きてしまった歯や歯茎を、それ以上悪化させないためのケアもあるでしょう。

自分ではどうにもできないほど悪化してしまった場合には、歯科医へ相談することもケアのひとつです。

もうひとつの歯を美しくするケアとは、歯並びの矯正や歯の着色などのを取り除くホワイトニングなどを指します。

「オーラルケア」は、口腔衛生(こうくうえいせい)という意味があります。

口腔とは口の中のことで、ここを清潔に保つことで、体の健康も保たれるという考え方です。

口の中のトラブルは、体全体にまで影響を及ぼすといわれています。

そのことについては、次項でお話ししますが、歯科から見ると、歯と歯茎の健康と美しさを保つ「デンタルケア」と、体にまで影響する「口腔衛生(オーラルケア)」という違いがあります。

「オーラルケア」は体全体の健康に影響を及ぼす!?

それでは、「デンタルケア」と「オーラルケア」の違いが分かったところで、「オーラルケア」が体に与える影響についてお話ししましょう。

口の中の状態は、常に体温により37度ほどに保たれていて、唾液により水分も確保されています。

そこを食べ物が通るので、細菌が繁殖しやすい環境が揃っている場所といえます。

そのため、口の中を清潔に保つように心掛けていないと、なんとなく粘ついたり、息が臭く感じたりすることがあるでしょう。

唾液がきちんと分泌されていれば、ある程度口の中は清潔に保たれますが、そのままにしておくと、細菌が歯に付着し、虫歯をはじめとした口腔内トラブルに発展し、痛みが出ることもあります。

口の中の不快感は、とても気になるものですし、人をイライラさせます。

痛みがあればなおさらです。

また、歯や歯茎に問題があって、食べ物を噛み砕くことが難しくなると、消化器官に負担がかかってしまいますし、噛み合わせが悪いことで、思わぬ体の不調を呼び起こすこともあります。

口の中で繁殖した細菌が、そのまま体内に入ってしまうことでも、体に不調をきたすことがあります。

口は、食べ物の味覚を感じ、咀嚼し、飲み下すという機能がありますが、それらの機能が低下すると、上手く食べ物を摂ることができなくなり、栄養不足や免疫力低下に繋がってしまいます。

年を重ねると、この傾向は強くなるので、体のトラブルを招きやすくなります。

そのようなことにならないために、「デンタルケア」だけでなく「オーラルケア」が必要なのです。

「デンタルケア」と「オーラルケア」日本と海外との違い

日本での「デンタルケア」や「オーラルケア」は、欧米をはじめとする先進諸外国と比べると、かなり遅れているといわれています。

その意識の違いは、「予防」という考え方にあります。

磨きにくい部分の歯は、自分の歯に合ったフロスやブラシを使って確実に歯垢を落とし、最後の仕上げとして歯ブラシでブラッシングをして、健康な歯を維持するというのが海外の考え方です。

また、必要に応じてマウスウォッシュなどで、口の中を清潔に保とうと努めています。

歯のトラブルを回避するために歯科に行き、歯垢を取るなどのケアをします。

日本では予防という考えがあまり浸透しておらず、毎日歯磨きをして、虫歯になったら歯医者に行くというのが一般的です。

近年では、予防を意識して、フロスやブラシ、マウスウォッシュなどを使ってケアをしている人もいます。

それでも、まだまだ、1本の歯ブラシを使って歯磨きをする人の方が多いといわれています。

このことから、日本では歯ブラシを使った「デンタルケア」だけを行っていて、海外ではブラシやフロス、マウスウォッシュを使った「オーラルケア」を行っている、といえるのではないでしょうか。

「オーラルケア」ができているかチェックしてみる

「デンタルケア」と「オーラルケア」の違いと大切さはお分かりいただけたでしょうか。

それでは、「オーラルケア」がきちんとできているかどうか、セルフチェックしてみましょう。

自分の歯を鏡で見ながらチェックしてください。

・歯と歯の間や、歯と歯茎の間に白っぽい塊(歯垢)がついていないか
・歯が黄ばんでいないか
・歯茎が腫れていないか
・歯磨きの際、出血していないか
・口臭が気にならないか
・口の中が粘つかないか
・舌の表面が白くなっていないか
・口の中が乾いていないか など

以上のような状況が見受けられたら、「オーラルケア」がきちんとされていない、ということです。

歯垢や黄ばみは、歯間ブラシやデンタルフロスを使って落としましょう。

歯茎の腫れや出血がある場合は、歯科医へ相談することをおすすめします。

舌の表面に白い苔のようなものが付いている場合は、歯ブラシで擦るのではなく、舌専用の道具を使って落としてください。

「デンタルケア」は「オーラルケア」のひとつ

引き続き、「オーラルケア」についてお話しをしましょう。

口の中が乾く場合は、唾液が上手く分泌されていないということが考えられます。

唾液は自浄作用があるので、細菌の増殖をおさえ、口の中を清潔に保つ働きがあります。

しかし、唾液が足りないと細菌が増殖しやすくなり、体内にもその細菌が入り込んでしまいます。

口が乾くときはうがいをしましょう。

特に朝起きたときのうがいは効果的です。

また、普段口呼吸をしていると、口の中が乾きやすく、口内環境を悪化させることがあります。

「オーラルケア」で口内環境を整えると、口臭や口の中の粘つきは緩和され、虫歯予防にもつながります。

今回、「デンタルケア」と「オーラルケア」の違いについてお話ししてきましたが、「デンタルケア」は「オーラルケア」のひとつであることがお分かりいただけたかと思います。

歯の健康は体の健康にも繋がっているので、日々の「オーラルケア」を大切に行ってください。

「デンタルケア」と「オーラルケア」を日本でも実践しよう!

1815年のアメリカでは、歯間を磨くことで歯のトラブルを回避できるという考えが生まれました。

スウェーデンでは、「デンタルケア」と「オーラルケア」がしっかりと行われ、歯科予防の先進国といわれています。

文化の違いもありますが、日本では「デンタルケア」は浸透してきましたが、「オーラルケア」はまだまだ遅れています。

健康維持に「オーラルケア」は、欠かせません。

まだ、「オーラルケア」をしていない人は、この機会にはじめてみませんか。

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