1歳を過ぎたら歯磨きが嫌いになった!どう対処したら良い?
歯磨き 2020.01.07歯磨きが嫌いになるのは1歳を過ぎると心が成長するから
1歳を過ぎると、体と一緒に心も成長します。
個人差はありますが、身長は生まれたころの約1.5倍、体重は約3倍となり、1歳3か月~1歳6か月くらいになると、歩けるようになる子どもも増えてきます。
心も成長し、喜怒哀楽をはっきり示すようになり、表情から人の感情を読むということもできるようになります。
また、自立心が芽生えるのもこの頃です。
自立心が芽生えると、自分で思ったようにできなかったり、言葉がつたなく意思が伝えられないことに苛立つことも増えてきます。
ぐずる、泣く、癇癪を起すことなどで、イライラを発散させるのもこの時期です。
人見知りをしたり、近くに親がいないと不安になったりするのは、人の顔を認識しているからで、これも心の成長によるものです。
このように心が成長してくると、自我が強くなり何でも自分でやりたがる反面、できると感じることも多くなります。
そのため、歯磨きも自分ひとりでやりたいと思うようになったり、親のペースでやらされたりすることを嫌がります。
この時期に「まだ子どもだから」と、親のペースに巻き込んで、嫌がっても無理やり歯磨きをさせてしまうと、歯磨きが嫌いになってしまうのです。
1歳を過ぎると歯磨きが嫌いになる理由
歯磨きを嫌いになる子どもは、1歳から急激に増えると言われていますが、それはさきほどお話ししたように心の成長が大きく関わっているからです。
実際には、口を開けなかったり、仰向けになってくれなかったりと、歯磨きができる状況ではなくなってしまうことが多いようです。
大人の場合で考えてみましょう。
歯科医院に行き、仰向けで寝て口を開けたときに、「何をされるのだろう?」と不安に思ったことはありませんか?
上を向いたまま、歯科医の手元が見えないまま、口の中をあれこれ触られるのは、あまり心地良いものではないと思います。
それでも、同じようなことを何度か経験していくうちに慣れてきます。
1歳児の歯磨きは、はじめて歯科医院に行ったときのような感覚で、見えないところで何をされるのか不安なのです。
親の膝に仰向けに寝かされるだけで、不安に思う子どももいるでしょう。
また、口の中はかなり敏感にできているので、ちょっとした力の入れ加減で痛い思いをしたら、子どもは同じ思いをしたくないと思い、歯磨き嫌いになってしまうのです。
1歳児の「歯磨き嫌い」は親の押し付けが原因になることも
「子どもの虫歯は親の責任」と考え、しっかり歯磨きさせなくてはと考える親御さんは多いと思います。
しかし、子どものためを思うのはわかりますが、口うるさく歯磨きをさせようとするのはかえって逆効果になることがあります。
無理やりおさえつけて、口をこじ開けて歯を磨いても、1歳児にとっては苦痛でしかないのです。
「歯磨きは苦痛、苦痛なことを無理やりさせる親は嫌い」と思われてしまうかもしれません。
また、歯磨き=苦痛とインプットされてしまうと、成長していくうちに歯磨きをしなくなってしまうことも考えられます。
そして、1歳児のうちは、そこまで歯磨きに神経質にならなくても良いのです。
1歳児は唾液の分泌が多いので、自浄作用が働き、口の中の環境はある程度整っています。
毎回きちんと「大人と同じように歯磨きをしないと虫歯になってしまう」というわけではありません。
したがって、食後に楽しく歯磨きをしたあと、1日1回仕上げ磨きをすれば、虫歯リスクの心配はいりません。
1歳児にも分かるようにすれば歯磨き嫌いじゃなくなる
では、どのようにすれば、1歳児が歯磨き嫌いじゃなくなるのでしょうか。
まずは、歯磨きがどんなものなのか、親が見本を見せてあげましょう。
1歳児になると自我が出てきて親と同じことをしたがるので、自分専用の歯ブラシを与えてあげれば、歯磨きに関心を持ちます。
向かい合って、一緒に歯磨きをすのも良いでしょう。
はじめは、「面白い」「楽しい」などの興味をひくことが大切です。
そして、とにかく、褒めましょう。
褒められると、もっと褒められたくなりますし、親が喜んでいれば子どもも嬉しい気分になります。
そうして、親子で歯磨きを習慣化していきましょう。
「汚れがちゃんと落ちているか」「きちんと磨けているか」「虫歯にならないか」などの心配もあるかと思います。
しかし、はじめは楽しく歯磨きをして、習慣化することを目標にしてください。
歯磨き絵本などで、歯磨きの大切さを教えるのも良いでしょう。
歯磨き嫌いな1歳児には根気が必要
これまでお話ししてきた方法で上手くいく場合は良いのですが、それでも歯磨きが嫌いで、イヤイヤをする子どもにはどう接したら良いのでしょうか?
1歳児は、自分の言葉はつたないのですが、親の言葉に対する理解度はかなり上がってきています。
危険なことや悪いことをしたときは、子どもと目線を合わせて、真剣に話をすることが大切だと言われています。
歯磨きについても同じで、なぜ大切なのか、親としてはどうして欲しいのかなど、きちんと話すことで1歳児なりに理解してくれます。
1度言っても分からなかったら、何度でも繰り返し伝える努力をしましょう。
親の表情や声のトーン、雰囲気を敏感に察知して理解しようとしてくれます。
それでも、イヤイヤを続ける場合には、「なぜ嫌なのか」と問い詰めるのではなく、「嫌なんだね」と子どもの気持ちに共感することが大切です。
そこから、何が嫌だったのか、根気強く聞いてあげましょう。
例えば、仰向けが嫌であれば膝に抱っこしてあげるなど、対処の仕方がわかります。
1歳児の仕上げ磨きのやり方
最後に1歳児の仕上げ磨きについて見ていきましょう。
【前歯】
上唇をめくったときに見える、歯ぐきと唇をつないでいる「スジ」の部分に、歯ブラシが当たると子どもは痛がります。
まず、歯と歯ぐきの境目が見えるくらい、上唇をやさしく持ち上げ、歯ブラシを持っていない手の人差し指で「スジ」を隠すようにして、仕上げ磨きをしてあげましょう。
隠すときには、人差し指の腹でやさしくおさえてください。
【奥歯】
奥歯を磨くときは、歯ブラシを奥から前に動かすようにしましょう。
奥歯は、歯垢が残りやすいので、歯と歯の間や歯と歯茎の境目をしっかり磨きましょう。
乳歯の場合は、奥歯が2本だけなので手早くできます。
【手早く】
仕上げ磨きに時間が掛かってしまうと、歯磨きを嫌いになることがあります。
短時間で済むように手早く行いましょう。
1本の歯を3回ほどブラッシングする目安で、子どもが疲れないように休みながら行ってください。
歌を歌ったり、話しかけたりしながらブラッシングすると良いでしょう。
1歳児は歯磨き習慣の基礎を作る大事な時期
1歳児が歯磨きを嫌いになるのは、何をされるのか不安だったり、無理やり歯磨きをさせたりすることが原因の場合があります。
1歳児の場合、唾液が多く分泌されているので、虫歯リスクはそれほど大きくはありません。
そのため、この時期の歯磨きは、虫歯予防というより、今後の歯磨き習慣の基礎を作ることのほうが重要です。
あまり神経質にならずに、楽しい歯磨きを心掛けましょう。