歯磨き後のうがいは何回するのが理想?フッ素を残す習慣とは
歯磨き 2020.06.04歯磨き後のうがいは何回してる?回数が虫歯予防効果を左右する
歯磨き後の泡だらけになった口内には、食べカスやプラーク(歯垢)などの汚れが浮遊し、うがいをすることでこの汚れを洗い流します。
口内の汚れをしっかり落とすために、歯磨き後のうがいを念入りに何回もしている方は少なくないでしょう。
また、口内に発泡した歯磨き剤の不快さから、毎回しっかり口をゆすいで吐き出している方は多いのではないでしょうか。
何度もゆすぐことで、口内の隅々まできれいさっぱりにすることができ、気持ち良く歯磨きを終えることができますよね。
ところが、実は歯磨き後に何回もうがいをすることは、虫歯予防に効果的な成分を結果的に薄めていることが分かっているのです。
歯磨き後の汚れや細菌をしっかり吐き出しているにもかかわらず、なぜこのようなことが言われているのでしょうか。
その理由について、次項で詳しく見ていきましょう。
まずは歯磨き粉の効果に着目!うがいとのつながりは?
何回も行う歯磨き後の念入りなうがいが、かえって虫歯予防効果を弱める理由を知るためには、まずは歯磨き粉の役割について着目する必要があります。
歯磨き粉は、歯磨きをする際にほとんどの方が使用する欠かせないもので、その大半には「フッ素(フッ化物)」が配合されています。
フッ素とは、虫歯や歯周トラブル予防に有効的な成分ですが、具体的な効果としては主に3つ挙げられます。
まず1つ目の効果は、歯の石灰化を促進することです。
そもそも虫歯の仕組みは、食べカスから形成された細菌の塊、いわゆるプラーク(歯垢)に棲みつく虫歯菌から酸が生成されることで歯を溶かしていきます。
酸で溶け出した歯の物質は、唾液が持つ「再石灰化」という働きによって修復されますが、さらにフッ素が歯の再石化を促すことで、虫歯予防をより効果的にサポートします。
また、2つ目の効果は、虫歯菌が生成する酸を抑制すること、そして3つ目は酸に負けない強いエナメル質をつくることです。
以上のように、虫歯菌に対して多角的にアプローチするフッ素の働きは、虫歯予防より効果的にするためには必要不可欠と言えます。
ただし、このような虫歯予防効果を享受するためには、フッ素成分を長く口内に残し、歯にしっかり吸着させることが前提とされます。
歯磨き後のうがいは何回が理想?フッ素滞留量とうがいの関係
フッ素を口内に長く残すためには、歯磨き後の「フッ素滞留量」を高めることが重要です。
また、歯磨き後のフッ素滞留量は、その後の時間の経過に伴って減少することもあり、歯磨き後のうがい回数が大きく影響するわけです。
例えば、歯磨き後に念入りに何度もうがいをしてしまえば、歯磨き剤とともにフッ素も吐き出してしまい、口内のフッ素滞留量は下がるでしょう。
したがって、フッ素滞留量を高めるためには、歯磨き後のうがいの回数を抑えることが求められます。
では、歯磨き後のうがいは何回に留めることが理想なのでしょうか。
フッ素滞留量の臨床データに基づいて推奨される回数は、できるだけ少ない水で1、2回程度とされています。
歯磨き後に何度もうがいをしている方にとっては、1、2回程度では物足りないでしょうし、もどかしさを感じてしまうかもしれません。
しかし、フッ素の虫歯予防効果を得るためには、フッ素を「長く残す」習慣を身に付けるべきで、日頃のうがいの回数を見直していくことをおすすめします。
就寝前はうがいを抑えるタイミング!何回もせずに1、2回に留めて
歯磨き後のうがいは何回もせずに、少ない水で1、2回程度が理想であることが分かりました。
さらに、虫歯予防効果をより望むためには、フッ素滞留量を高めるタイミングを知っておくことも大切です。
フッ素滞留量をより意識したいのは、特に夕食後の就寝前です。
これには、身体を休める睡眠中に、唾液の分泌量が大きく落ちることが関係しています。
もともと唾液には抗菌・自浄作用に加えて、前述したように歯の再石灰化を促す虫歯予防効果がある程度備わっています。
そのため、唾液の分泌量が低下する睡眠時は、一日の中で最も口内の細菌が活発になるタイミングとも言えるのです。
起床時に口臭や口内の粘つきが気になるのは、睡眠中に細菌が繁殖した証拠です。
したがって、唾液量が低下する睡眠前に、歯磨き後のうがい1、2回程度で留めることができれば、高いフッ素滞留量によって虫歯菌の増殖を抑えることが期待できるでしょう。
フッ素滞留量を高める洗口液もおすすめ!歯磨き後の併用で虫歯予防を
前項では、就寝前のうがいを抑えるタイミングについてお話ししてきましたが、口内のフッ素滞留量をさらに高める方法があります。
それは、通常の歯磨き後、もしくは就寝前に「フッ素洗口液」を併用することです。
洗口液とは、口臭対策や口内洗浄に用いられるマウスウォッシュですが、近年ではフッ素が配合された虫歯・歯周トラブル予防の洗口液も販売されるようになりました。
液体の洗口液では、ペースト状の歯磨き粉と比べて口内の隅々までフッ素が行き渡りやすいうえに、最後は軽く吐き出す程度で済ませるので、口内の高いフッ素滞留量を望むことができるでしょう。
また、歯磨き後のうがいをどうしても何回もしてしまう方は、フッ素滞留量をカバーするためにも洗口液の併用が推奨されます。
フッ素の効果は歯磨きがきちんとできてこそ!普段の歯磨きを見直そう
これまでに、歯磨き後のうがいは何回が理想的であるのかを、フッ素滞留量と絡めて詳しくお話ししてきました。
しかし、歯磨き粉のフッ素効果を望むにしても、洗口液で効果をより高めるにしても、あくまで歯磨きがきちんとできていることが前提で、食べカスやプラークが残っていては意味がありません。
歯磨きでプラークを効果的に落とす基本的なポイントは以下の通りです。
①歯面に対し毛先を垂直に当て、軽く微振動させて磨く
歯面にブラシを押し付けてしまうと、毛先が倒れてしまい、歯ブラシが持つ本来のブラッシング機能が望めません。
また、毛先が倒れたままゴシゴシと磨くことは、歯や歯茎を傷付ける場合もあります。
毛先は垂直に軽く当て、小刻みに微振動させて磨いていきます。
②歯と歯茎の間は45度に当てる
斜め45度に当てることで、歯と歯茎の間の食べカスやプラークを取り除くことができます。
歯周ポケットがある方も、効果的に汚れを落とすことができるでしょう。
③「デンタルフロス」などを併用する
歯ブラシだけでは歯間部に行き届かず、口内の全ての汚れを落とすことはできません。
そこで、歯磨き後はデンタルフロスを使って歯間部の汚れを除去することが推奨されます。
以上の3つのポイントをしっかり押さえ、うがいの回数だけでなく、普段の歯磨きから見直してみてください。
フッ素を口内に残す習慣を
歯磨き後は、発泡した歯磨き剤や汚れを洗い流すために、入念なうがいをしたいものです。
しかし、それでは配合されたフッ素も一緒に吐き出されてしまい、フッ素滞留量を十分に望むことができません。
歯磨き後のうがいは1、2回程度に留めることを習慣づけて、できるだけフッ素を口の中に残すことを意識しましょう。