毎日の歯磨き「ペースト」と「ジェル」どちらがおすすめ?
歯磨き 2020.03.17歯磨きにはペーストとジェルのどちらがおすすめ?
歯磨きをするときに、歯にとっておすすめなのはペーストでしょうか、それともジェルでしょうか。
まずは、それぞれの特徴を見ていきましょう。
【歯磨きペースト】
・白く、ある程度の硬さがある。
・「発泡剤」が含まれているので、泡立ちが良く、口のなかに成分を広げやすい。
・「研磨剤」が含まれているので、着色汚れステインを落とす効果がある。
・泡立ちが良く、磨いた後がすっきりとして、歯磨きの感覚を得やすい。
【歯磨きジェル】
・透明でやわらかい。
・やわらかいので成分が歯に密着しやすく、細かいところまで届きやすい。
・「発泡剤」や「研磨剤」が含まれていないので歯にやさしい。
・発泡剤が含まれていないため、泡立ちがなく、歯が良く見えるので磨き残しを防げる。
歯磨きジェルには含まれていない「発泡剤」と「研磨剤」について
それでは、歯磨きジェルには含まれておらず、歯磨きペーストには含まれていることの多い、「発泡剤」と「研磨剤」について見てみましょう。
【発泡剤】
発泡剤の主な役割とは、歯磨きを行うときに泡立つことで、口のなかに歯磨き剤の成分を広げ、汚れを落としやすくさせます。
しかし、発泡剤によるこの泡立ちは、歯を磨いた気になるということもあり、歯磨きの時間を短縮させていまい、磨き残しが出てしまうとも言われています。
また、発泡剤に含まれることの多い「ウリル硫酸ナトリウム」は、口腔内の粘膜を守る「ムチン」の働きをおさえてしまいます。
そのため、口のなかが乾きやすい人などには、発泡剤が含まれている歯磨き剤はおすすめしません。
【研磨剤】
研磨剤は細かいつぶでできていて、主な成分には「リン酸水素カルシウム」や「炭酸カルシウム」などがあります。
これらの成分には、歯の表面の歯垢や着色汚れなどを落としやすくします。
しかし、その反面、研磨剤の細かいつぶが歯や歯茎を傷つけてしまう場合もあるので、注意が必要です。
近年では、つぶのとても細かい「低研磨」のものもあり、おすすめです。
歯磨きペーストのメリットデメリット
それでは、歯磨きペーストのメリットデメリットをご紹介しましょう。
【メリット】
・研磨剤が含まれているので、歯の着色を落としやすく、ホワイトニング効果が高い。
・やわらかいジェルと違い、ほど良い硬さがあるので、液だれなどせず使いやすい。
・種類が豊富で目的に合わせて選びやすい。
【デメリット】
・発泡剤の泡で磨いた気分になり、磨き残しができやすい。
・研磨剤が含まれている場合が多く、エナメル質が傷ついてしまう可能性が高い。
・研磨剤の細かいつぶが歯周ポケットに入り込み、歯茎トラブルを起こす可能性がある。
特にインプラントにしている人は、研磨剤などの顆粒が含まれているものはトラブルを起こしやすいので、歯磨きペーストはおすすめできません。
また、子どもの歯はやわらかいので、研磨剤が含まれた歯磨きペーストは避けましょう。
電動歯ブラシも、磨く力が強いので、研磨剤が含まれた歯磨きペーストは向きません。
歯磨きジェルのメリットデメリット
次は、歯磨きジェルのメリットデメリットをご紹介しましょう。
【メリット】
・発泡剤が含まれていないため、泡で口のなかが見えにくくなることがなく、磨き残しが少ない。
・歯の表面を削る研磨剤が含まれていないため、エナメル質を傷つける心配が少ない。
・ジェルが歯のすみずみに行き渡りやすい。
・性状がやわらかいので歯に密着しやすく、ジェルに含まれる成分が歯に留まりやすい。
・研磨剤が含まれていないので、電動歯ブラシやインプラントの人におすすめ。
【デメリット】
・歯の着色を落とす力が弱いので、ホワイトニング効果が低い。
・ジェルはやわらかいので、ペーストに比べると扱いにくい。
・発泡剤が含まれていないため、泡が立たず、磨いた感覚に物足りなさを感じる場合がある。
歯磨きジェルには発泡剤や研磨剤が含まれていないので、子どものやわらかい歯にもおすすめですが、泡立ちがないため、物足りなさを感じる人もいるかもしれません。
しかし、その分、口のなかが良く見えるので、磨き残しが少なくなるというメリットがあります。
そのため、子どもや高齢者の仕上げ磨きにもおすすめです。
歯磨き剤のおすすめポイントは「成分」
これまで、歯磨きペーストとジェルについてお話してきました。
突き詰めれば、ペーストもジェルも製品の性状のことなので、問題はそこに含まれる「成分」です。
発泡剤や研磨剤については、前述した通りですが、歯の健康を守る上で大切なのが「フッ素」です。
フッ素は、魚介類や肉、野菜や牛乳など、ほとんどの食品に含まれている元素で、フッ化ナトリウムやフッ化カルシウムなど、多くの場合、他の元素と結合して存在しています。
食べ物からもフッ素を取ることで虫歯予防になるという考えもありますが、実際には海老の殻やイワシの骨に多く含まれるので、食べ物からフッ素を摂るのは難しいようです。
フッ素の効果は主に次の3つです。
【酸の生成をおさえる】
歯磨きで落としきれなかった歯垢は、虫歯の原因になる、細菌や酸を作り出しますが、フッ素には、細菌の力を弱めたり、酸の生成をおさえたりする働きがあります。
【歯の再石灰化を促進】
糖を食べると口のなかが酸性になり、歯の成分であるリンやカルシウムを溶かしてしまいます。
しかし、唾液が分泌され口のなかがアルカリ性に戻ると、唾液に含まれるリンやカルシウムが再石灰化を促し、エナメル質を作り出します。
この再石灰化を促進する働きがあるのが、フッ素です。
【歯質強化】
フッ素を取り入れることで、酸に溶けにくく、再石灰化が促進され、強い歯になります。
このように、フッ素には歯に良い働きがあるので、歯磨き剤を選ぶときには、フッ素が多く含まれるものがおすすめです。
フッ素の含有量の目安は、500ppmと言われています。
500ppm以上含まれたものを選びましょう。
おすすめの歯磨き選びは「成分」が決め手
歯磨き剤を選ぶときには「成分」が決め手になることがお分かりいただけたと思います。
発泡剤や研磨剤はできるだけ少なく、フッ素が多く含まれたものであれば、その性状はペーストであってもジェルであっても良いのです。
また、近年では歯磨きペーストのなかにも、研磨剤が含まれていないものや低発泡のものが販売されています。
「電動歯ブラシ用」と書かれているものは、研磨剤を含んでいないのでおすすめです。
研磨剤が含まれていない歯磨き剤は、歯や歯茎にはやさしいけれど、習慣でコーヒーや紅茶など、歯が着色してしまうものを好む人は、ホワイトニング効果が低いのは気になることでしょう。
歯の健康を維持しながら、ホワイトニングもしっかり行いたい人には、歯磨き剤の使い分けをおすすめします。
研磨剤は歯の表面を削るので、毎日使うと歯の表面を傷つける可能性が高くなりますが、1週間に1度など、間を空けて使うようにすると良いでしょう。
また、着色汚れを落とす「ポリリン酸ナトリウム」や、歯の表面をコーティングする「ハイドロキシアパタイト」などの成分を含む歯磨き剤も、ホワイトニング効果が高いのでおすすめです。
歯磨きはペーストかジェルかではなく成分が重要
歯磨き剤を選ぶときには、ペーストかジェルかで迷うのではなく、成分を見て自分に合ったものを選びましょう。
歯の健康を考えると、発泡剤や研磨剤が少なく、フッ素を多く含むものがおすすめです。
しかし、含有量が少量でも「フッ素配合!」などと大きく書いてある商品もあるので注意が必要です。
必ず含有量をチェックして選ぶようにしましょう。