永久歯の本数が多いことで人生の楽しみが増える!
歯の生えかわり 2018.10.17永久歯が乳歯より多いのはなぜ?
永久歯は、乳歯が抜けたあとに生える歯を指します。
1番早く生えてくるといわれる永久歯は、下あごの前歯にあたる中切歯の2本で、6~7歳頃に生えるとされています。
次に生えてくるといわれる永久歯は、上あごの前歯の中切歯2本と、下あごの前歯2本の両隣にある側切歯2本で、7~8歳頃に生えるとされています。
このように、上下交互に前歯から少しずつ年月をかけ、14歳頃までには生え揃うと言われています。
乳歯は20本あり、永久歯になると奥歯である臼歯が増え、他の歯は生え変わるような感覚です。
永久歯は、中切歯・側切歯・犬歯・第1、第2小臼歯・第1、第2、第3大臼歯があります。
切歯には噛み切る役割、犬歯には切り裂く役割、臼歯にはすりつぶす役割があり、永久歯は合計32本あります。
「学校で歯の本数は、28本と習った覚えが…32本は多いように感じる!」と思った方、多数いるでしょう。
1番奥にある第3大臼歯は、親知らずともいわれる歯で、親知らずも含めて合計32本ある計算になります。
そうすると、親知らずが生えていない人は合計28本、生えている人は29~32本となります。
永久歯の本数は加齢によって変化する
永久歯はずっと口に中に残るわけではなく、加齢とともに減少します。
厚生労働省が発表した平成28年度の永久歯の本数の結果です。
・40~44歳は平均28本
・45~49歳は平均27.6本
・50~54歳は平均26.4本
・55~59歳は平均25.3本
・60~64歳は平均23.9本
・65~69歳は平均21.6本
・70~74歳は平均19.7本
・75~79歳は平均18本
・80~84歳は平均15.3本
・85歳~は平均10.7本
永久歯が減少する原因は、虫歯、歯周疾患、咬耗などが挙げられます。
虫歯と歯周疾患は、日々のオーラルケアを行えば防げます。
しかし、咬耗は止めることが難しく、加齢によって自然と進行していきます。
咬耗とは、歯と歯や歯と食物の接触により、歯の表面にあるエナメル質が磨り減る症状を指します。
歯や食物との接触以外に、食いしばりや歯ぎしりでも咬耗は進行します。
個人差はありますが、ほぼすべてのヒトに咬耗はみられるといわれています。
しかし、噛むことを怠ると、
・唾液の分泌が悪くなり、消化が助けられない
・唾液の分泌が悪くなり、口腔内を清潔に保てない
・頭やあごの骨、顔の筋肉の成長に響く
などのリスクが挙げられます。
永久歯が多いに越したことはありません。
食べ物はきちんと噛み、アフターケアの歯磨きを忘れずに行いましょう。
永久歯の本数は多い方が圧倒的に良い
日本歯科医師会が推進している、「8020運動」をご存知でしょうか。
「8020運動」の8020とは、80歳と20本を指し、「80歳でも20本より多く自分の歯を保とう」という運動です。
また、歯の本数が20本以上あると、食生活の大部分を満足できるといわれています。
そして、歯の健康はヒトの心身に影響し、楽しくおしゃべりをすることなどができるように私たちを支えてくれます。
そのうえ、発音を助けたり、表情を豊かにし、食事のときには歯ごたえを楽しみ、味覚を豊かに保つ役割もあります。
また、奥歯である臼歯が1本失われると、ものを噛み砕く能率が約40%も低下するとされています。
そうすると、体内の消化器官に負担がかかってしまい、栄養の吸収が悪くなります。
他にも、上あごの前歯である中切歯が抜けると「さ行」、奥歯の臼歯が抜けてしまうと「は行」と「ら行」が発音しにくくなり、言葉が不明瞭になってしまいます。
他にも、顔の筋肉が落ちるため、顔の輪郭が変わったり、表情が老けて見えるという変化もあります。
永久歯が減って得することは1つもなく、永久歯が多い状態を保つことが、今の私たちにできることです。
前述したように、加齢とともに永久歯は減少してしまうので、今からでも、永久歯を多く残せるように心がけましょう。
永久歯が蝕まれる機会は多い
永久歯が蝕まれる機会は多く、口内が不潔の状態が続くと虫歯、歯周疾患になってしまいます。
また、虫歯になってしまうと、元の歯の状態に戻すことが難しくなります。
虫歯になりやすい場所の歯が、複雑な溝がある臼歯、かつ奥にあり磨きにくく、歯肉が邪魔をしてくる親知らずの歯です。
そして、虫歯になりやすい条件は、口の中の細菌のバランスが取れていない状態です。
代表的な細菌はミュータンス菌で、虫歯菌として知られています。
ミュータンス菌などの虫歯菌の役割は、食事の糖分を体に取り込み、口の中に酸を出すことです。
この酸が歯を表面から溶かし、溶かしすぎることで虫歯になってしまいます。
この作用を「脱灰」といいます。
その脱灰で作り出された酸を、中和してくれる役割が唾液にはあります。
脱灰された歯を補修する役割もあり、その役割を「再石灰化」といいます。
また、唾液が少なく、ミュータンス菌が多い状態だと脱灰が強くなり、歯が溶け、虫歯になってしまいます。
今まで虫歯ができたことない方は、この脱灰と再石灰化のバランスがうまく取れている状態なのです。
永久歯は、1度抜けると2度と生えてきません。
自分の天然の歯の本数をなるべく残せるように、口内環境は健やかに保ちましょう。
歯の本数をなるべく多い状態で維持する対策~飲食物~
今後の自分のためにも、永久歯の本数は多い方が良いですよね。
歯は体の一部なので、歯に効果が期待される栄養を摂る必要があります。
歯に効果があると言われている栄養は、以下が挙げられます。
・カルシウム
歯の再石灰化のサポートをする役割があり、ヨーグルト・チーズ・高野豆腐などがあります。
・たんぱく質
歯の象牙質をつくる役割があり、肉・魚介類・卵・大豆・牛乳などです。
・ビタミンA
歯のエナメル質を良くする働きがあり、ほうれん草・かぼちゃ・レバーなどがあります。
・ビタミンC
歯の象牙質を良くする働きがあり、柑橘系、ブロッコリー、小松菜などです。
・ビタミンD
歯のカルシウムの吸収を助ける役割があり、鮭・さんま・かれい干ししいたけなどがあります。
・フッ素
歯を強化する役割があり、めざし・桜えび・わかめ・のり・緑茶・紅茶などです。
反対に、歯に悪いのは「糖質を多く含む飲食物」「酸性に傾いている飲食物」で、歯のエナメル質を溶かしやすいといわれています。
糖質を含みながらも酸性に傾き気味の飲食物の代表的な一例は、ヨーグルト飲料・スポーツドリンク・乳酸菌飲料・グレープフルーツ・レモンです。
汗をかいたあとにはおすすめですが、日常的に飲んでいると思わぬ糖分摂取につながり、かつ歯を虫歯予備軍に晒している状態になります。
歯の健康を考えるのであれば、飲食物の摂り方を気にかけてみましょう。
歯の本数をなるべく多い状態で維持する対策~オーラルケア~
オーラルケアとは、虫歯や歯周病の予防のために、歯や口の中を清潔に保つ手入れをすることを指します。
歯の手入れとして代表的なのは、歯ブラシ、歯磨き粉が挙げられ、併用して使うと良いアイテムは、デンタルリンス、デンタルフロスなどがあります。
デンタルリンスは、歯磨き前に使うタイプと歯磨き後に使うタイプがあります。
歯磨き前に使うタイプは、リンゴ酸などが着色汚れを浮き上がらせる働きがあり、歯磨きの補助をします。
歯磨き後に使うタイプは、きれいになった歯を、薬用成分で殺菌コーティングをする働きがあり、歯磨きの仕上げに使います。
フレーバーが多いことがデンタルリンスの強みでもあるので、お気に入りが見つかるはずです。
デンタルフロスは、歯と歯の間のケアに最適です。
糸巻きタイプ、ホルダータイプF字型・Y字型と、清掃しやすい場所ごとに使い分けができます。
糸巻きタイプは、必要な分だけを使用できて経済的で、前歯奥歯どこにでも使えますが、慣れるには少々時間が必要です。
ホルダータイプF字型は、初めての方でも使いやすい設計で、前歯を中心として清掃しやすく作られています。
ホルダータイプY字型も同じく使いやすい設計で、形を活かし、奥歯も清掃しやすく作られています。
歯ブラシと歯磨き粉しか使ったことがない方はまず、自分が気になるアイテムから使ってみると良いでしょう。
年を重ねても、永久歯の本数をなるべくキープしたいですね。
日頃からオーラルケアを行い多くの永久歯を残そう!
歯の本数が20本以上あると、食生活の大部分を満足できるといわれています。
そのうえ、歯の健康はヒトの心身に影響し、楽しくおしゃべりをすることなどができるように私たちを支えてくれます。
しかし、永久歯は永久にあるわけではなく、加齢とともに少なくなっていき、永久歯は1度抜けると2度と生えてきません。
そのためにも、歯に効果が期待される栄養を摂取し、オーラルケアを行うことが大切です。